JW528 皆で祓いましょう
【垂仁天皇編】エピソード57 皆で祓いましょう
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前8年、皇紀653年(垂仁天皇22)。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)が、遷座(せんざ)を宣言。
次の宮の名は、飯野高宮(いいのたかみや)と発表された。
そして、御杖代(みつえしろ)の倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)は、従者たちと共に旅立ったのであるが、なかなか、宮の解説が出来ないのであった。
ワッコ「前回は、櫛(くし)を落としたり、川を下ったり、御饗(みあえ)を奉(たてまつ)る神様が出てきたが、此度(こたび)こそ、宮の候補地について、解説できるのじゃな?」
乙若「申し訳ござりませぬ。このあと、我(われ)が麻神(ぬさはらえ)と蒭霊(くさひとがた)を奉っておりまする。」
ワッコ「ん? 麻神? 蒭霊?」
カット「麻神とは、神に奉る幣帛(へいはく)にござりまする。麻(あさ)を細かく切った幣(ぬさ)にござりまするな。」
ねな「お祓(はら)いをする時に使うのよ。」
インカ「二千年後は、紙を小さく四角に切った幣となっておりまするぞ。」
おしん「蒭霊は、分かりやすく言うと、藁人形(わらにんぎょう)だべ。罪や穢(けが)れを祓うために、身代わりとなってもらうんだ。」
ワクワク「そして、人形を川に流すんだよね?」
おしん「んだ。そのまま、海まで行っちまうわけだな。」
市主「ちなみに、蒭霊ですが、二千年後は、紙で作った形代(かたしろ)として使われておりまする。」
ワッコ「して、これらの物を奉ったということは、私たちは祓(はらえ)をするのじゃな?」
乙若「左様にござりまする。これ以降、『アマ』様を祀(まつ)る際には、祓の儀式をおこなうこととなりもうした。」
こうして、一行は、祓の儀式を執(と)りおこなったのであった。
ワッコ「では、儀式も終わったゆえ、そろそろか?」
インカ「はい。飯野高宮の候補地を解説して参りましょう。」
カット「候補地は、六つにござりまする。」
おしん「一つ目は、久尓都神社(くにつじんじゃ)だべ。鎮座地(ちんざち)は、三重県松阪市(まつさかし)の郷津町(ごうづちょう)だったんだども、今は、ねぇんだ。」
ワッコ「なにゆえ、無いのじゃ?」
おしん「同じ松阪市の大平尾町(おおびらおちょう)に鎮座する、加世智神社(かせちじんじゃ)に合祀(ごうし)されちまったんだ。」
ワッコ「神社合祀令(じんじゃごうしれい)というヤツじゃな?」
おしん「んだ。でもよぉ、祭神(さいじん)は、エピソード525で登場した、乙加豆知(おとかづち)こと『かづっち』と言われててよぉ、『アマ』様じゃねぇんだ。」
ワッコ「飯高県造(いいたか・の・あがたつくり)の祖となった男じゃな?」
おしん「んだ。これが、ロマンってヤツだべ。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
市主「では、二つ目。神戸神館神明社(かんべ・こうたち・しんめいしゃ)にござりまする。鎮座地は、松阪市の下村町(しもむらちょう)にござりまする。『アマ』様が祀られておりまするので、御安心くだされ。」
ねな「三つ目は、牛庭神社(うしばじんじゃ)よ。松阪市の下蛸路町(しもたこじちょう)に鎮座してるわ。でも、祭神は、素戔嗚命(すさのお・のみこと)なのよね。」
ワッコ「これもまた、ロマンじゃな・・・。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
インカ「四つ目は、飯野高宮神山神社(いいのたかみや・こうやまじんじゃ)にござりまする。松阪市の山添町(やまぞえちょう)に鎮座しておりまする。祭神は、猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)と天鈿女命(あめのうずめ・のみこと)にござりまするが・・・。」
ワッコ「これも、ロマンか・・・。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
乙若「では、五つ目を紹介致しましょう。五つ目は・・・。」
解説は続くのであった。
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