JW568 宴のあと
【伊勢遷宮編】エピソード27 宴のあと
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前4年、皇紀657年(垂仁天皇26)。
天照大神の御杖代、倭姫(以下、ワッコ)一行と、忌部和謌富奴たちは、伊勢神宮の建造を開始した。
物部八十友諸と呼ばれる職人たちが作業をする中、遷座に向け、着々と準備が進められる。
そんなある日、一行は宴楽、すなわち、宴を催した。
夜通しの宴がおこなわれたのである。
そして、翌日の朝、皆が酔いつぶれ、眠りこける中・・・。
カーケ「ワッコ! おい! ワッコ!」
ワッコ「う~ん。も・・・もう食べれませぬ。」
カーケ「何を寝惚けているのかね?」
ワッコ「えっ? あれ? 如何なされました? 大伯父上?」
カーケ「此度の夢のこと、大王にも伝えておいた方が良いのではないかね?」
ワッコ「そ・・・そうなりまするか?」
カーケ「きっと喜ばれるはずなんだぜ。」
ワッコ「そ・・・そうですね。では『オーカ』様と『ワクワクさん』に、言挙げしていただきましょう。」
カーケ「おい! オーカ!」
オーカ「飲めぬと言うておりますのに、なにゆえ、そのようなこと・・・。」
ワッコ「寝惚けておられますな・・・(;^_^A」
カーケ「おい! ワクワクさん!」
ワクワク「もう、お腹いっぱいなんだよぉ。」
ワッコ「こっちもか・・・(;^_^A」
カーケ「二人とも、よく聞くんだぜ。国中(奈良盆地)に戻り、夢のことを言挙げするんだぜ。」
オーカ・ワクワク「かしこ、かしこまりまして、かしこ!」×2
こうして、二人は旅立っていった。
それと入れ替わるようにして、大田命がやって来た。
大田「皇女様、御尊顔を拝し奉り、すごく嬉しいです。」
ワッコ「汝は、いつも、宴のあとに来るのう?」
大田「作者の陰謀ってヤツですね。しかし、みなさん、いい寝顔ですね。」
カーケ「ところで、何しに来たのかね?」
大田「あっ! そうでした。お二人とも、エピソード563を覚えておいでですか?」
ワッコ「汝が初登場した回ではないか?」
大田「その通りです。あのとき、詳しい解説が出来なかったんですよ。」
カーケ「ん? 解説をしていたはずなんだぜ。猿田彦大神の末裔で、子孫は、宇治土公と語っていたんだぜ。」
大田「その通りです。」
ワッコ「では、あらかた語り尽くしておるではないか? 詳らかな解説とは、如何なることじゃ?」
大田「あのとき、子孫は、代々、猿田彦神社の宮司をやる予定だと語りましたよね?」
カーケ「よく覚えているんだぜ。」
大田「その社が、何処に有るのか・・・それについては、何も語っていないんですよ。」
ワッコ「なにゆえ、あのときに語らなかったのじゃ?」
カーケ「ワッコの言う通りなんだぜ。」
大田「紙面の都合と申しますか、聖地に向かうことを優先したので・・・。」
ワッコ「そうであったか・・・。大田なりの忠義の現れであったと申すのじゃな?」
大田「そ・・・そう言われると、なんか照れちゃいますね。」
カーケ「して、猿田彦神社は、何処に鎮座しているのかね?」
大田「三重県伊勢市の宇治浦田に鎮座しています。伊勢神宮に御参拝の折は、当社にも、お参りしていただけると嬉しいです。」
ワッコ「しっかり宣伝するのじゃな・・・(;^_^A」
大田「ところで、今回の宴で、けっこうな食べ物が消費されてるみたいなんですけど・・・。」
カーケ「夜通しだったので、仕方ないんだぜ。」
大田「『倭姫命世記』には、何も書かれてませんけど、どう考えても、みなさんの食事の用意をしているのは、私なんですよ? 嗚呼! これで、計算が狂ってしまった・・・(´;ω;`)ウッ…」
ワッコ「す・・・すまぬ・・・(;^_^A」
なにはともあれ、解説に成功したのであった。
つづく