JW546 宇久留
【伊勢遷宮編】エピソード5 宇久留
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前4年、皇紀657年(垂仁天皇26)。
天照大神(以下、アマ)の鎮座地を求め、一行は、伊蘓宮に至った。
そこで「ワッコ」は、あることに気が付いたのであった。
ワッコ「あの南の山脈を見ていたのですが、あちらの方が、ここよりも良き宮処が有るように思いまする。」
アマ「うむ。たしかに・・・。」
ワッコ「そういうわけで『ワクワクさん』を派遣して、調べさせまする。」
ワクワク「えっ!? 僕が!? どうして、僕だけ?」
ワッコ「なぜなら『倭姫命世記』に、そう書かれておるからじゃ。」
ワクワク「そ・・・そういうことなら、仕方ないね。行ってきまぁす!」
こうして「ワクワクさん」は、良き宮処を求めて旅立ったのであった。
カット「ところで『ワッコ』様? 私たちは、如何致しまする?」
ワッコ「うむ。私たちも、良き宮処を求め、次に進もうぞ。」
カーケ「もう進むのかね?」
アマ「何か文句でも有るのか?」
カーケ「そ・・・そんなことは無いんだぜ・・・(;^_^A」
ワッコ「では、大伯父上たち、大夫の皆様方は、これまで使ってきた舟で、付いて来てくださりませ。」
くにお「姫は、如何なされまする?」
ワッコ「私たち一行は、小舟で進みまする。」
ねな「小舟の方が、早く進めるってことね。」
武日「大きい方の舟には、雑々の神財や、忌楯や忌桙などが積まれちょるなぁ。そんげなコツで、動きが遅いっちゅうコツか?」
ワッコ「左様にござりまする。」
オーカ「ちなみに、神財は神宝のことにあらしゃいます。忌楯と忌桙は、旅の安全を祈るために使う道具にあらしゃいます。」
市主「補足説明、かたじけのうござりまする。」
おしん「それによぉ、小舟だったら、小川も進めるしよぉ、いいこと尽くしなんだ。」
ワッコ「うむ。では、外城田川を上って参ろうぞ!」
こうして「ワッコ」の一行は、小舟と大舟に分かれて出発した。
そして、しばらく進んでいると・・・。
乙若「あっ! 大舟が遅れてきましたぞ。」
インカ「やはり荷物が多いゆえ、付いて来れぬのか・・・。」
カット「それだけではありませぬぞ。ついに止まってしまいました!」
ワッコ「えっ? 大伯父上!? 大夫の皆様方!?」
一方、大舟の方では・・・。
カーケ「かなり不味いことになっているんだぜ。」
ちね「どないするんや?! 進まへんで?!」
オーカ「そのようなこと言われましても・・・。」
くにお「これでは、御船『宇久留』!」
武日「どんげな意味っちゃ?」
くにお「宇久留・・・すなわち、遅れるという意味じゃ。」
オーカ「下がっているとも言えますなぁ。」
カーケ「こうして、宇久留という地名が起こったんだぜ。」
ちね「二千年後の地名で言うと、何処になりますのや?」
カーケ「それが、さっぱり分からないんだぜ。」
ちね「聞いた、わてが、悪うございました・・・。」
さて、小舟の方に戻ろう。
ワッコ「大丈夫であろうか・・・。だんだんと離れておるが・・・。」
ねな「大丈夫よ。」
乙若「なぜ、そのようなことが分かるのじゃ?」
ねな「なぜって・・・『倭姫命世記』が、それ以上、何も書いてないからよ。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
こうして、なにはともあれ、一行は、川を遡上していった。
すると・・・。
インカ「ん? あれは? 何者かが、立っておりますぞ。」
ワッコ「え?」
何者「わしか? わしは神の子やで。名前は、速河彦やで。地元の皆は『はいこさん』と呼んでるんやで。」
唐突に現れた「はいこ」。
一体、どうなるのであろうか?
次回につづく