JW455 誓約の結果
【崇神経綸編】エピソード30 誓約の結果
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
紀元前34年、皇紀627年(崇神天皇64)。
倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)は、菟田(うだ)の笹幡(ささはた)に向かった。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)の新たな鎮座地(ちんざち)である、佐佐波多宮(ささはたのみや)を求める旅である。
同行するのは「ワッコ」の曾祖父、大彦(おおひこ)。
采女(うねめ)の香刀比売(かとひめ)(以下、カット)である。
一行が、笹幡に向かっていると・・・。
大彦「ん? あれは、どう考えても、オミナ(女の子)なんだな。一人で、近付いて来たんだな。」
ワッコ「い・・・汝(いまし)は誰ぞ?」
童女「吾(やつかれ)は、宇太乃大称奈(うだのおおねな)よ。『ねな』と呼んでね。ちなみに、天見通命(あめのみとおし・のみこと)の孫なのよ。そして、八佐加支刀部(やさかきとめ)の子なのよ。吾の親、八佐加支刀部は、伊己呂比命(いころひ・のみこと)とも言うのよ。」
ワッコ「では、御供となって、私に、仕え奉(たてまつ)るか?」
ねな「仕え奉るわ。吾(やつかれ)の弟、大荒(おおあら)こと『アララ』も仕え奉るわよ。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
カット「かなり不思議な展開ですが、ここまでが『倭姫命世記』の話なのですね?」
ワッコ「その通りじゃ。では、佐佐波多宮の解説をおこなうことと致しましょう。」
アマ「ちなみに、候補地は、三つじゃ。皆の者、しっかり、解説致すが良いぞ!」
大彦「では、一つ目なんだな。それは、葛神社(くずじんじゃ)なんだな。奈良県宇陀市(うだし)の榛原山辺三(はいばら・やまべさん)に鎮座しているんだな。祭神は『アマ』様なんだな。」
カット「二つ目は、篠畑神社(ささはたじんじゃ)にござりまする。こちらも宇陀市の榛原山辺三に鎮座しておりまする。更に詳しく申せば、字篠畑(あざ・ささはた)に鎮座しておりまする。」
ワッコ「祭神は『アマ』様じゃが、篠畑姫神(ささはたひめのかみ)も祀(まつ)られておるぞ。」
アマ「ん? 篠畑姫神とは、何者じゃ? そのような神、聞いたことがないぞ?」
ねな「吾(やつかれ)のことだと言われてるわ。『アマ』様の遷座(せんざ)を支えたからよ。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
ワッコ「そして、三つ目は、御杖神社(みつえじんじゃ)にござりまする。奈良県御杖村(みつえむら)の神末(こうずえ)に鎮座しておりまする。また、元々は、私が休むために建てた、行宮(あんぐう)であったとも言われておりまする。ロマンにござりまするなぁ。」
カット「されど、祭神が『アマ』様ではありませぬよ? 久那斗神(くなとのかみ)となっておりまする。『くなと』とは『来な処』すなわち『来てはならないところ』の意で、枝分かれした道や、峠、村境などから、外敵や悪霊の侵入を防ぐ神にござりまする。」
ワッコ「そ・・・そのようなことを言われても、私にも、よく分からぬのじゃ。これも、ロマン?」
ねな「いろいろ変わっちゃったんじゃないかしら。人生いろいろ、伝承もいろいろでしょ?」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
大彦「とにもかくにも、これで候補地の解説は終わりなんだな。」
ワッコ「ひいじいさま、申し訳ありませぬ。実は、もう一つだけ有りまして・・・。」
大彦「ん? どういうことなのかな?」
候補地は三つではなかったのか?
次回につづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?