JW235 国滅びて郡在り
【開化天皇編】エピソード20 国滅びて郡在り
第九代天皇、開化天皇(かいかてんのう)の御世。
御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)が日嗣皇子(ひつぎみこ)となり、数十年の月日が流れた。
時は、紀元前108年、皇紀553年(開化天皇50)のある日。
開化天皇こと、稚日本根子彦大日日尊(わかやまとねこひこおおひひ・のみこと)(以下、ピッピ)は、日嗣皇子と共に、兵士たちの訓練を視察しに来ていた。
ピッピ「その通りじゃ。それから、兵士たちというのは、久米部(くめべ)のことを指すぞ。」
ミマキ「さ・・・されど、大王(おおきみ)?」
ピッピ「なんじゃ?」
ミマキ「紀元前108年に、記事などありませぬぞ? 『記紀(きき)』にも『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』にも、書かれておりませぬ。」
ピッピ「ということは・・・作者の妄想ということか?」
怪訝(けげん)な表情をしながら、ピッピがミマキに問いかけていると、久米部の長官である、久米五十真手(くめ・の・いまて)(以下、マッテ)が駆け寄ってきた。
マッテ「大王! 実は、今年、一大事が起こったんすよ!」
ピッピ「一大事じゃと?」
マッテ「半島の衛氏朝鮮(えいしちょうせん)って国を覚えてますか?」
ピッピ「た・・・たしか・・・。エピソード210で、大伴角日(おおとも・の・つぬひ)こと『ツン』が、我(われ)に話してくれた国じゃな?」
そこに当該の人物がやって来た。
ツン「その通りっちゃが! あの国やじ!」
ピッピ「その・・・衛氏朝鮮が、如何(いかが)したというのじゃ?」
マッテ「滅びたんすよ。」
ピッピ・ミマキ「なっ!?」×2
ツン「漢(かん)に滅ぼされたんやじ。」
ピッピ「なんじゃと!? で・・・では、漢は、半島にまで、版図を広げたということか?!」
ツン「その通りや。」
マッテ「衛氏朝鮮を滅ぼして、三つの郡(こおり)にしたみたいっすね。」
ミマキ「三つの郡? 国造(くにのみやつこ)のようなモノか?」
ツン「少し違うっちゃが。宮から派遣された人が、治めているみたいやじ。」
ミマキ「宮から派遣された?」
マッテ「中央から任命された者が、その地を治める仕組みになってるみたいっすね。」
ピッピ「そ・・・そのようなことをして大丈夫なのか?」
ツン「そのようなこと・・・とは、どういうことっちゃ?」
ピッピ「その地の豪族が、承服(しょうふく)せぬのではないか?」
マッテ「大王・・・。漢という国は、そういう国なんすよ。」
ミマキ「で・・・では、漢には、豪族がおらぬのか?」
ツン「豪族もいるっちゃ。じゃっどん、豪族が治める地よりも、更に広い地を治めているのが郡(ぐん)なんやじ。」
ピッピ「漢では、郡(こおり)を郡(ぐん)と呼ぶのか?」
マッテ「これは歴史用語っすね。基本的に、大陸のモノについては音読みにするみたいっす。」
ピッピ「そ・・・そうか・・・。」
衝撃の国際情勢を聞き、ピッピが驚愕しているところに、葛城垂見(かずらき・の・たるみ)がやって来た。
垂見「大王! 我(わ)が息子の剣技、見ていてくれたでござるか?」
ピッピ「剣技? す・・・すまぬ。見ておらなんだ・・・。」
垂見「なっ! し・・・仕方ない。では、紹介するでござるよ。我(われ)の息子、伊牟久(いむく)でござるよ。『イム』と呼んでほしいでござるよ。」
イム「お初にお目にかかるでござるぜ。我(われ)が『イム』にござるぜ。」
ピッピ「こ・・・この流れで、世代交代をすると申すか?!」
垂見「そういうことにござるよ。」
ミマキ「そ・・・そうか・・・。垂見も、ついにクランクアップか・・・。」
垂見「仕方ないでござるよ。」
淋しそうな表情をする垂見の元に、娘たちや、義理の息子が駆け寄ってきた。
すなわち、諸見己姫(もろみこひめ)(以下、ロミ子)。
ロミ子の夫、尾張建諸隅(おわり・の・たけもろすみ)(以下、ケモロー)。
二人の間に生まれた、倭得玉彦(やまとえたまひこ)(以下、玉彦(たまひこ))。
そして、ピッピの妃でもある、丹波竹野媛(たにわのたかのひめ)(以下、たかの)。
「たかの」とピッピの間に生まれた、彦湯産隅(ひこゆむすみ)(以下、ムッシュ)。
更に、もう一人の娘で、ピッピの妃でもある、鸇比売(わしひめ)。
鸇比売とピッピの間に生まれた、建豊波豆羅和気王(たけとよはづらわけ・のきみ)(以下、ヅラ)である。
ロミ子「父上! か・・・悲しいことにござりまするよ!」
ケモロー「今回で、お別れとは・・・(´;ω;`)ウッ…。」
玉彦「淋しくなるがや・・・(´;ω;`)ウッ…。」
たかの「嘘と言ってほしいがね!」
ムッシュ「ひいおじいさま! 淋しい限りです・・・(´;ω;`)ウッ…。」
鸇比売「わしは悲しい! 本当に悲しい!」
ヅラ「おじいさま・・・。本当に、引退するずらか?」
垂見「皆(みな)、達者でな・・・。」
ミマキ「そ・・・そうか・・・。兄上(ムッシュ)から見れば、曾祖父にあたり、ヅラから見れば、祖父になるのか・・・。変な血縁関係にござりまするな?」
ピッピ「許せ・・・。これが欠史八代(けっしはちだい)と申すモノじゃ。」
垂見「では、大王! 次回は、ついに欠席八回にござるな?」
イム「父上! 欠席八回ではなく、欠史八代にござるぜ!」
ピッピ「ついに、欠史八代を語る時が来たというわけか・・・。」
次回、欠史八代について語られる。
つづく
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