JW544 神風の伊勢の国
【伊勢遷宮編】エピソード3 神風の伊勢の国
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前4年、皇紀657年(垂仁天皇26)。
天照大神(以下、アマ)の遷座は続く。
前回は、御杖代の倭姫(以下、ワッコ)が喜んだということで、社が建ったのであったが・・・。
ワッコ「ところで『アマ』様。次の宮の名は?」
アマ「その前に、わらわは『倭姫命世記』の記述に従い、言ってみようと思う。」
ワッコ「えっ?」
アマ「この神風の伊勢の国は、常世の浪の重浪帰する国なり。傍国の可怜し国なり。この国に居らんと欲う。」
カット「神風が吹く伊勢国は、常世からの浪が、くりかえし寄せてくる国・・・と仰っておられまする。」
市主「そして、国中(奈良盆地)の傍らの国で、実り豊かな国・・・と仰っておられまする。」
乙若「そして、この国に居たいとの由・・・。」
アマ「うむ。解説、大儀である。」
ワッコ「要するに、最終鎮座地は、伊勢国に決まった・・・ということですな?」
アマ「そういうことじゃ。」
おしん「ほんじゃあ、あとは、伊勢の何処にするか・・・ってことだな?」
アマ「その通りじゃ。」
ねな「そして、吾たちは、次の地に辿り着いたのよ。」
ワッコ「なんという地なのじゃ?」
ワクワク「百船、度会国。玉綴う、伊蘇国だよ。」
ワッコ「ん? どういう意味じゃ?」
ワクワク「たくさんの舟が渡り合い、行き交う国で、水辺では奇麗な石を拾うことが出来る国だよ。磯国と書いたりもするよ。」
インカ「この『磯』が『伊勢』の語源という説もありまする。」
ワクワク「そして、僕は、御塩浜と林を献上しちゃうよ!」
ワッコ「御塩浜とは、お供えする御塩を作る浜のことじゃな?」
ワクワク「大正解! その通りだよ!」
おしん「林は、何のために献上したんだ?」
ワクワク「この林から、御塩を焼くための薪を採るってわけさ!」
おしん「なるほどぉ!」
カット「こうして、伊蘇国に宮が築かれましたので『伊蘓宮』と呼ばれることになりました。」
ワッコ「伊蘇国と伊蘓宮・・・。字が、微妙に違うぞ?」
カット「ロマンにござりまするな。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
ねな「それだけじゃないわ。水が湧き出ているところは、御井国と名付けられたのよ。」
ワッコ「唐突に何じゃ? 水?」
ねな「よく分からないけど『倭姫命世記』に、そう書かれてるのよ。仕方ないでしょ。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
ワッコ「して、伊蘓宮の候補地は、いくつ有るのじゃ?」
インカ「二つにござりまする。」
乙若「では、一つ目を紹介致しましょう。その名も、相鹿上神社にござりまする。」
ワッコ「されど、祭神が・・・。」
オーカ「我の御先祖様の天児屋根命になってますなぁ。」
ワッコ「えっ? こ・・・これは・・・一体、どういうことにござりまするか?」
市主「大夫様たちではありませぬか?」
そこに居並ぶのは、五人の大夫であった。
カーケ「実は、エピソード528で、祓をした時から参加してるんだぜ。」
ワッコ「えっ?」
くにお「左様。されど、あのときは、まだ、大夫の任命記事が無かったため・・・。」
ちね「出演を見送ってたんや。」
武日「じゃっどん、任命記事も紹介出来たっちゅうコツで、ようやく合流出来たんやじ。」
ワッコ「そ・・・そうだったのですか?」
唐突な大夫たちの登場。
神社の解説は、次回となる。
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