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JW708 酒殿の泉

【景行征西編】エピソード79 酒殿の泉


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦88年、皇紀こうき748年(景行天皇18)7月。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行と、水沼県主みずぬま・のあがたぬし猿大海さるおおみ(以下、ルオ)は、三根みねがわこと城原じょうばるがわさかのぼり、あるむらにて一泊した。

筑紫行幸参加者名簿

そして、朝をむかえ・・・。

シロ「昨日さくじつは、よくねむれたぞ。」 

リトル(7)「これが、安眠あんみんと言うのだな? 父上?」 

シロ「うむ。そうじゃのう。」 

地元民じもとみん(に)「おはようございます。」 

シロ「うむ。おはよう。此度こたびは、世話せわになったな。」 

地元民じもとみん(ほ)「これくらい、おやすい御用ごようですよ。」 

シロ「おお! そうじゃ!」 

地元民じもとみん(に)「どうなされました?」 

シロ「昨晩さくばんは、やすらかにねむれたゆえ、このむらは、大王おおきみ御寐みねやすむらと言うが良い。」 

地元民じもとみん(に)(ほ)「かしこまりました!」×2 

夏花なつはな「こうして、御寐みねむらが生まれたのじゃ。」 

ルフィ「キキッ!」 

タケ「ふむ・・・。『肥前国ひぜん・のくに風土記ふどき』が編纂へんさんされた、奈良なら時代じだいには、字をあらためていたそうじゃ。」 

リトル(7)「先生? どんな字だ?」 

真白ましろ「ワン!」 

タケ「ふむ・・・。『御寝みね』と書くようになったそうじゃ。」 

野見のみ「して、二千年後の地名でもうせば?」 

たっちゃん「神埼かんざきえきの西側に流れる、城原じょうばるがわ流域と考えられておる。」 

百足ももたり「エピソード699で紹介された、櫛田宮くしだぐうの近くなのですな?」 

えっさん「では、鎮座地ちんざちの佐賀県神埼かんざき神埼町かんざきまち神埼かんざき周辺では?」 

おやた「いや、神埼町かんざきまちつるたけあたりじゃな。」 

地図(御寝邑:佐賀県神埼市神埼町鶴・竹)

シロ「では、このまま、還幸かんこう(天皇が帰宅すること)しようぞ。」 

タケ「菟狭うさに向かわれる、おつもりか?」 

ワオン「菟狭うさとは、大分県宇佐うさ周辺の地域にござる。」 

地図(菟狭国)

シロ「左様さようですな。来た道を戻れば、遠回とおまわりになりまする。そのほうが良いかと・・・。」 

これらのやり取りは、作者の妄想に過ぎないが、一行は、本格的に還幸かんこうすることにしたようである。

そして・・・。 

シロ「よし! ここらで、夕餉ゆうげいたそうぞ。」 

いっくん「ホンマに、夕餉ゆうげですか?」 

ナッカ「朝餉あさげかもしれないっすよ?」 

シロ「どちらでも良い。ここで、めししょくしたことになっておるのじゃ。」 

小左おひだり「それにしても、素晴すばらしきいずみにござりまするな。」 

シロ「いずみながめながらしょくすも、一興いっきょうであろう?」 

ルオ「ちなみに、酒殿さかどのいずみもうしまする。佐賀県鳥栖とす飯田町いいだまちにある、重田しげたいけと言われておりまする。」 

地図(酒殿の泉:重田池)

舟木ふなき「ルオ殿どの? 二千年後の地図を見るに、水が無いようじゃが?」 

ルオ「無いようですが、ここが、かつての酒殿さかどのいずみなのです。」 

モロキ「まあ、われらの御世みよには、水がっておるのじゃ。良いではありませぬか。」 

舟木ふなき「それは、そうじゃが・・・。」 

ルオ「なお、酒殿さかどのいずみは、九月になると、段々だんだん白い色になり、っぱく、くさくなって、飲めなくなりまする。」 

リトル(7)「っぱい?!」 

ルオ「ところが、正月になると、またきよつめたくなって、飲めるようになると『肥前国ひぜん・のくに風土記ふどき』に書かれておりまする。」 

シロ「不思議な泉じゃのう。」 

ナッカ「とりあえず、めし支度したく出来できましたよ。」 

もち「さぁ、どんどん食べてくんないください。」 

リトル(7)「おお! いただきまぁぁす!」 

百足ももたり「うん。うまい!」 

野見のみ「えっ!?」 

夏花なつはな「あっ!?」 

シロ「ん? 如何いかがした?」 

野見のみ「お・・・大王おおきみよろいひかっておりまするぞ!」 

夏花なつはな「どういうことじゃ?!」 

シロ「なに?!」 

リトル(7)「本当だ! ひかっておる!」 

タケ「神意しんいかもしれぬのう。」 

光る鎧。

これが意味するモノは? 

次回につづく

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