JW362 尋ねて来た女
【桃太郎編】エピソード32 尋ねて来た女
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)の西の地域を進む、大吉備津日子(おおきびつひこ)(以下、芹彦)と若日子建吉備津日子(わかひこたけ・きびつひこ)(以下、タケ)の一行。
解説を終えたところで、女が尋ねて来たのであった。
女の声「あのう・・・。御取込中、申し訳ないんじゃけど・・・。」
たっちゃん「何奴(なにやつ)じゃ?!」
芹彦「おお! アマンダではないか!」
タケ「なにゆえ、アマンダが、ここにおるのじゃ?」
ジョン「おい! アマンダって、誰だよ?!」
タケ「ああ・・・すまぬ。アマンダは、讃岐(さぬき:現在の香川県)の住人で、私たちが、讃岐に赴いた折、いろいろと世話になったのじゃ。」
アマンダ「その通り! エピソード166以来の登場じゃけん(だから)、覚えてない読者も多いかもしれんなぁ。」
ヨーコ「どうも、アマンダさん。ところで、どうして、吉備に来られたの?」
アマンダ「それが、讃岐でも、賊が暴れよって・・・。ほんじゃけん(そういうことなので)、退治(たいじ)て欲しいんよ。」
芹彦「なんと! 讃岐にも、賊じゃと!? 退治てくれよう! 桃太郎!」
アマンダ「桃太郎? 名前、変わったん?」
タケ「それについては、追々、話すとして、すぐさま、向かわねばなるまい。」
ジュリアン「ちょっと待てい! 温羅(うら)の首塚は、どうするんじゃ?」
芹彦「心配するな、ジュリアン・・・。時が、解決してくれようぞ・・・。」
オーイナ「責任放棄にしか、聞こえん・・・。」
芹彦「違う! 賊有るところに、吉備津彦(きびつひこ)有り・・・と言うではないか?!」
たか「皇子(みこ)? 言いませんよ?」
アマンダ「ほんなら(では)、タケ! 一緒に来てつか(来てください)!」
芹彦「ん? それがしは?」
アマンダ「讃岐の伝承は、タケが大将じゃけん・・・。」
芹彦「待て、待て、待てい! それがしも赴くぞ! いわゆる『げすと出演』じゃ!」
タケ「仕方あるまい・・・。伝承に深く関わらぬのなら、同行を許そうぞ。」
たっちゃん「父上! そういうことなら、我(われ)も向かいまする。」
アマンダ「父上? タケの息子なん?」
たっちゃん「はっ。お初にお目にかかりまする。息子の武彦(たけひこ)にござりまする。『たっちゃん』と、お呼びくださりませ。」
アマンダ「こちらこそ、よろしゅうな。」
犬・サモリ・トメ「吉備は、(おいら、小生、僕)が、しっかりと守りまする!」×3
こうして、タケ、たっちゃん、芹彦は、讃岐に向かったのであった。
つづく