JW520 阿佐賀国
【垂仁天皇編】エピソード49 阿佐賀国
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前12年、皇紀649年(垂仁天皇18)。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)が、奈具波志忍山宮(なぐわしのおしのやま・のみや)に遷座(せんざ)して、数日か数ヶ月の時が流れた。
そして、御杖代(みつえしろ)の倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)に対し、衝撃の宣言をおこなうのであった。
アマ「そういうことで遷座致す!」
ワッコ「か・・・かしこまりました。」
するとそこに、この地の豪族、大比古(おおひこ)が乱入してきた。
大比古「一年も経たずに、去ってしまわれるのですな・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ワッコ「仕方ありませぬ。これも定め・・・。」
大比古「では最後に、我(われ)が祀(まつ)られた社(やしろ)を紹介致しまする。その名も、川俣神社(かわまたじんじゃ)にござりまする。」
ワッコ「しっかりと解説を入れてくるのじゃな? ちなみに、鎮座地(ちんざち)は何処(いずこ)になるのじゃ?」
大比古「よくぞ聞いてくだされた。三重県亀山市(かめやまし)の加太板屋(かぶといたや)にござりまする。」
ワッコ「前回、川俣県造(かわまた・の・あがたつくり)の先祖と申しておったな。その社の鎮座する地が、川俣県(かわまた・のあがた)なのか?」
大比古「左様にござりまする。」
ワッコ「そうか・・・。解説、大儀(たいぎ)であった。名残惜しいが、私たちは、次の地に遷(うつ)らねばならぬ。」
ここで「ワッコ」の従者たちが、やって来た。
インカ「大比古殿。これまで、かたじけのうござった。」
大比古「いえ、こちらこそ・・・。誉(ほまれ)にござりましたぞ。」
こうして一行は、次の鎮座地に向かったのであった。
ワッコ「そういえば、次の鎮座地とは何処(いずこ)になるのじゃ?」
カット「次の鎮座地ですが・・・。」
するとそのとき、一人の男が近付いてきた。
男「もしや、倭姫様の一行ではありませぬか?」
ワッコ「汝(いまし)は何者じゃ?」
男「我(われ)は、阿野県造(あの・の・あがたつくり)の祖、真桑枝大(まくわしおお)と申しまする。『シオー』と、お呼びくだされ。」
ワッコ「して、汝(いまし)が国の名は何ぞ?」
シオー「ははっ。草陰(くさふか)阿野国(あの・のくに)にござりまする。そして、神田(かんだ)と神戸(かんべ)を献上致しまする。」
ワッコ「神に捧げる田と、祭祀(さいし)に貢献する人たちじゃな。して、阿野とは、二千年後の何処になるのじゃ?」
シオー「三重県津市(つし)の安濃町(あのうちょう)地区にござりまする。」
そして一行は、更に南へと進んだ。
ワッコ「聞きそびれてしもうたが、次の鎮座地は何処ぞ?」
市主「はい。次の鎮座地ですが・・・。」
するとそこに、一人の男が駆け込んで来た。
男「倭姫様の一行にござりまするな?」
ワッコ「そ・・・そうじゃが・・・。」
男「我(われ)は、市師県造(いちし・の・あがたつくり)の祖、建呰古(たけしこ)と申しまする。『ケシコ』と、お呼びくだされ。そして、神田と神戸を献上致しまするぞ。」
ワッコ「して、汝(いまし)が国の名は何ぞ?」
ケシコ「害行(あらいゆく)阿佐賀国(あさか・のくに)にござりまする。」
ワッコ「そうか・・・。して、市師県(いちし・のあがた)とは、二千年後の何処になるのじゃ?」
ケシコ「三重県津市の一志町(いちしちょう)地区になりまする。」
ワッコ「して、阿佐賀国とは何処になるのじゃ? 市師県も含(ふく)まれるのか?」
ケシコ「詳(つまび)らかなことは分かりもうさず。ただ、阿佐賀国とは、二千年後の津市南部や松阪市(まつさかし)北部を指すようにござりまする。」
ワッコ「そ・・・そうか。」
こうして、宮の名前が明かされぬまま、阿佐賀国に入ったのであった。
つづく
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