JW564 約束の地
【伊勢遷宮編】エピソード23 約束の地
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前4年、皇紀657年(垂仁天皇26)。
天照大神(以下、アマ)の鎮座地を求める、倭姫(以下、ワッコ)一行。
ここは、奈尾之根宮。
二千年後の地名で言うと、三重県伊勢市宇治中之切町。
おかげ横丁のある町。
ここに、一人の客人がやって来た。
大田命である。
そして「ワッコ」が、良き宮処が有るかと尋ねたところ・・・。
大田「佐古久志呂、宇遅国の五十鈴川の川上は、ヤマトの中でも、特に素晴らしく、霊妙な聖地なんですよ。」
ねな「ホントかしら?」
おしん「嘘吐いても、仕方ねぇべ!」
大田「ええ・・・そこにですねぇ、翁である私が、三十八万年の人生の中でも、目にしたことも無かった、神秘的なモノが有るんですよ。」
インカ「三十八万年?! 汝は、爺さんであったのか?!」
大田「ええ・・・その光り輝く様は、まるで日月のようで、ちょっと普通じゃないんですよね。」
市主「しゃべり方が、翁らしくないゆえ、騙されましたな。」
武日「いわゆる『ミスリード』っちゅうコツか?」
カット「メスリー?」
大田「ええ・・・そして、私は、こう思いました。きっと、いつか、この国の主である、天照大神様が現れるだろうと・・・。」
ちね「予言が的中したっちゅうことか・・・。」
オーカ「現れるのを待たずに、大王に報せたら、良かったのではあらしゃいませんか?」
乙若「た・・・たしかに・・・。」
大田「うっ・・・。あ・・・天照大神様が現れた時には、この聖地を献上しようと思い、私は、真心を込めて、お祀りしていたのです!」
そのとき「アマ」様が出現した。
アマ「うむ。殊勝な心掛けであるぞ。」
大田「おお! 天照大神様! かたじけなや! かたじけなや!」
ワッコ「と・・・とにかく、その聖地に向おうぞ。」
大田「はい! 参りましょう!」
こうして一行は、話題の聖地に向かった。
大田「これが、光り輝く、面妖なモノです。」
アマ「こ・・・これは・・・。」
ワッコ「えっ? アマ様? 如何なされました?」
アマ「これは、かつて、わらわが、高天原より投げ降ろした、天の逆太刀や逆鉾、金鈴などではないか!」
ワクワク「えっ? どうして投げ降ろしたの?」
アマ「実は・・・かつて、わらわは、誓いを立てたのじゃ。」
ワッコ「誓い?」
アマ「豊葦原瑞穂国の中で、伊勢という風早の国には、良き宮処が有ると見定め、そこに投げ降ろしておいたのじゃ。」
ねな「ちょっと待ちなさいよ!」
アマ「ん?」
ねな「だったら、いろいろ廻らなくて良かったってことにならない?」
乙若「い・・・言われてみると、最初から、分かっていたのでは?」
アマ「う・・・。わ・・・わらわが、忘れていたとしたら?」
ワッコ「おお! なんと美しい! なんと神々しいのじゃ! こ・・・ここが、聖なる地・・・。求めていた宮処・・・。」
アマ「ワ・・・ワッコ?」
カーケ「アマ様・・・。なにはともあれ、約束の地に辿り着いたんだぜ。ここは、喜ぶべきなんだぜ。」
アマ「そ・・・そうじゃのう。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
ワッコ「父上! 母上! ついに、この日が! 私は・・・私は・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」
くにお「姫! 泣いている時では、ありませぬぞ。大王に言挙げせねば。」
オーカ「言挙げとは、報告するという意味にあらしゃいます。」
くにお「補足説明、かたじけなし。」
ワッコ「左様ですな。ただちに、大王に伝えましょう。『ワクワクさん』。行って参れ。」
ワクワク「了解!」
こうして、ついに約束の地に辿り着いたのであった。
つづく