JW685 島か、陸か
【景行征西編】エピソード56 島か、陸か
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦88年、皇紀748年(景行天皇18)5月。
景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、還幸(天皇が帰宅すること)と銘打って、筑紫(今の九州)の巡幸(天皇が各地を巡ること)をおこなっていた。
シロ「して、我らは、何処に向かっておるのじゃ?」
ナッカ「船路を進んでるみたいっすね。」
野見「では、あちらに、停泊致しましょうぞ。」
小左「あちらというのが、熊本県宇城市の三角町にござりまする。」
おやた「大王が、お着きになったので『御門』と呼ばれるようになり・・・。」
百足「それから『三角』と書かれるようになり・・・。」
ワオン「最後は、三角となりもうした。」
たっちゃん「時が移ろう中、変わっていったのじゃな・・・。」
夏花「ちなみに、この長い半島は、宇土半島と申しまする。」
そして、一行は、更に進んでいった。
シロ「おお! なんと美しい! しばし、止まれ。」
真白「ワンワン!」
タケ「ふむ・・・。大王は、美しい海岸線に見惚れたそうじゃ。」
ルフィ「キッキッ!」
タケ「ふむ・・・。しばらく、輿を止めて見入られたゆえ、御輿来海岸と呼ばれるようになったそうじゃ。熊本県宇土市の海岸じゃ。」
シロ「輿? 我らは、舟に乗っているのでは?」
リトル(7)「父上? これが、ロマンではないのか?」
シロ「なるほど・・・。ロマンか・・・。」
その後、一行は、あるところに舟を着けた。
シロ「着けた地は、何と申すのじゃ?」
いっくん「熊本県御船町やで。」
モロキ「大王が、舟を着けたということで、御船になったと伝わっておりまする。」
シロ「二千年後の地図を見てみると、海から離れておるようじゃが・・・。」
えっさん「我らの御世は、このあたりまで、海が迫っていたのではあらしゃいませんか?」
シロ「そ・・・そうか・・・。」
それから、一行は、北上したようである。
舟木「して、ここが、長洲町にござりまする。」
シロ「そうか・・・。」
舟木「長渚之浜に到着したと書かれておりますので、ここで、間違いないかと・・・。」
シロ「ところで、海の向こうにも、陸が有るようじゃな・・・。」
いっくん「気になるんでっか?」
シロ「うむ。あれは、島か、陸か、知りたい。」
もち「そんげなコツなら、忍者の祖先である『おい』の出番やじ!」
シロ「いや、ここは『ワオン』を向かわせようぞ。」
ワオン「ははっ。」
もち「なして、そんげなコツになるんや!?」
シロ「許せ。伝承では、そうなっておるのじゃ。」
こうして「ワオン」は、対岸へと渡っていった。
ワオン「合いの手も無しに渡ることになってしまったが、ここで、解説をしておこうぞ。対岸に見えるのは、島原半島といって、島ではないのじゃ!」
ようやく、岸に辿り着いた時、「ワオン」を歓迎する男がいた。
男「ようこそ! 島原半島へ!」
ワオン「な・・・何者じゃ?!」
男「僕は、この山の神、名は、高来津座と申します。『クック』と呼んでね。」
ワオン「山の神? して、山の神が、何用で?」
クック「大王の使いが来られると聞いて、お迎えに参りました。」
ワオン「こうして、高来県という地名が起こったのじゃ。」
クック「長崎県諫早市の大部分、および、島原半島全域を指すよ。」
ワオン「では、島ではなく、半島と、わかったゆえ、帰りまする。」
クック「ちょっと待った!」
ワオン「な・・・なんでしょう?」
クック「君は、ここに留まらなきゃならないんだ。」
ワオン「は?」
クック「神代直という重臣が、この地に残り、代々、治めたと伝わっているんだよ。」
ワオン「では、神代直を捨てまする。」
クック「えっ?」
ワオン「海を渡った、神大野の宿禰が、神代直であるとは、書かれておらぬゆえ・・・。」
クック「ちょっと! どういうこと!?」
ワオン「実は、作者の陰謀で・・・。」
クック「い・・・陰謀?」
ワオン「我は・・・作者により生み出された、神代直と神大野の宿禰を合体させた『キャラクター』なのでござる!」
クック「じゃあ、関係ないかもしれないってこと?!」
ワオン「左様。それゆえ、ただの神大野として、帰りまする。」
クック「き・・・君の事情は、わかったよ。でも、ここは、神代直で進めてくれないかな?」
ワオン「なにゆえにござる?」
クック「僕にも事情があるんだよ。」
神の事情とは?
次回につづく
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