JW538 走れ、菟上王
【垂仁天皇編】エピソード67 走れ、菟上王
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前7年、皇紀654年(垂仁天皇23)冬。
垂仁天皇の皇子(みこ)、誉津別(ほむつわけ)(以下、ホームズ)が言葉を発しないのは、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の祟(たた)りが原因だと判明。
祟りを鎮(しず)めるため、「ホームズ」一行は、出雲国(いずも・のくに:島根県東部)に向かった。
付き従うのは、曙立王(あけたつ・のきみ)(以下、アッケン)と、菟上王(うなかみ・のきみ)(以下、うなお)の兄弟。
そして、出雲国造(いずも・のくにのみやつこ)の襲髄(かねすね)(以下、カネス)と、その息子、岐比佐都美(きひさつみ)(以下、さつみ)も解説に加わる中、皇子一行に食事が献上されたのであったが・・・。
ホームズ「もしや・・・大国主様を祀(まつ)る、祝(はふり:神を祀る人たち)の祭場・・・磐境(いわさか)では?」
アッケン「み・・・皇子が喋(しゃべ)った・・・。」
カネス「しゃ・・・喋りましたな・・・。」
さつみ「我(われ)らは、歴史的瞬間に立ち会っているのでは?!」
うなお「と・・・とにかく、このこと、大王(おおきみ)に伝えねば!」
アッケン「そ・・・そうじゃな。では『うなお』よ。すぐ国中(くんなか:奈良盆地)に戻れ!」
うなお「承知した! 早馬(はやうま)を飛ばし、速(すみ)やかに奏上(そうじょう)致す!」
カネス「ん? うなお殿? 馬など、ありませぬぞ。」
うなお「えっ? されど『古事記(こじき)』に、そう書かれておるぞ?」
さつみ「されど、我(われ)らの時代には、馬に乗るという習慣は無く、徒歩(かち)のほかには・・・。」
うなお「えっ? では、御初代様こと神武天皇(じんむてんのう)も、七代目こと孝霊天皇(こうれいてんのう)も、十代目の頃の四道将軍(しどうしょうぐん)も、皆、徒歩で?」
カネス「左様。それゆえ、これまで、馬の描写が、一度も無かったはず・・・。」
うなお「さ・・・されど、御初代様には、東征(とうせい)する前、エピソード0.5にて、龍石(たついし)という愛馬がいたと・・・。」
アッケン「あれは、龍神(りゅうじん)様から賜(たまわ)ったモノ・・・。特別なのじゃ。とにかく、走れ!」
うなお「う・・・うぉぉぉ! 走るぞぉぉぉ!」
こうして「うなお」は駆けていった。
ここは、纏向珠城宮(まきむくのたまき・のみや)。
大連(おおむらじ)や大夫(たいふ)たちが居並ぶ中、垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(いくめいりひこいさち・のみこと)(以下、イク)は、歓喜(かんき)の声を上げた。
イク「しゃ・・・喋った!? ホ・・・ホームズが喋った・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ひばり「狭穂姫(さほひめ)こと『さっちん』叔母上も、黄泉国(よみのくに)で喜んでおられましょう。」
イク「うん・・・うん・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」
ニック「大王! おめでとうございます!」
ちね「ホンマや・・・こないな目出度(めでた)いこと・・・(´;ω;`)ウッ…。」
くにお「良(よ)うござりましたな。」
カーケ「そうか・・・(´;ω;`)ウッ…。あの『ホームズ』が・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」
武日「『おい』は、猛烈に感動しちょる!」
オーカ「我(われ)も感動しておりますぅ。このような日に巡(めぐ)り合えるとは・・・(´;ω;`)ウッ…。」
イク「それじゃあ、『うなお』! 大国主様の社(やしろ)を・・・(´;ω;`)ウッ…。大きくするんだよ!」
うなお「かしこまりもうした。」
ニック「気を付けて、走るんやで!」
うなお「えっ? ちょっとくらい休んでも・・・。」
ちね「何を言うてんねん。皆が喜んでたこと、早う伝えんと、あかんやろ!」
うなお「えっ? えっ?」
カーケ「よろしく頼むんだぜ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
うなお「は・・・はい! うなお! 行っきまぁぁす!」
往復で、何キロあるのか、作者は恐ろしくて、調べるのをやめたのであった。
次回につづく