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最初の一歩を踏み出すために必要な考え方を早大生から教わった。
今から数えること6年前(たぶん)。私は、とある若手経営者と、夜の札幌はススキノでご飯を食べた。初対面で。
彼は私と同い年で当時26歳。東京の出身で大学は早稲田大だった。大学卒業と同時に起業したらしい。
私はといえば、東京の1/10の規模の札幌出身で、大学は小樽商科大学なんていう地方”国立”大学ってことだけを鼻にかけていて、1回目の転職をして人材系ベンチャーにいた。サラリーマンだ。
同い年だけど、生まれるところでこんなに差が生まれるものか。いや人間性の差か?
新規の営業先だった札幌市内の、とある企業の専務から「斬新な提案をしてほしい」と無茶振りをされ、それになんとか答えようとした結果、同い年の経営者である彼を紹介してもらったのだ。
彼は今をときめく事業をやっているっぽいので、アイデアや商材を提供していただけませんか、と相談したところ、
「ちょうど札幌行きますんで、ご飯を食べながらでもお話ししましょう!」
と言われた。
「おぉ、さすがだなぁ」
ということで快諾。
夜のススキノで2人でご飯を食べることになった。
当時の私から見ると、彼は不思議な空気感を漂わせており、the経営者、という出立ちではなかった。
なんだろう、なんかダボダボしててボサボサしてるのだ。だけど何度も修羅場をくぐってきた経験からくる説得力がある。2022年現在においては、たまに見るタイプの経営者だが、若さと知識からくる不思議な魅力が彼にはあった。
私は彼に、事業内容やこれまでの彼の人生について質問した。ただ、今となってはどんな話をしたか詳細には覚えていない。
なぜかというと結局、彼と一緒に仕事をすることはなかったから。そもそも「斬新な提案をしてほしい」というのがキツイ。条件や営業先の専務との落とし所が難しく、プロジェクトは頓挫した。
ただ、彼との食事中にした会話で、今でも覚えていることがある。それが今記事のタイトルに関係する。
私も彼も当時は26歳。
私はサラリーマンで彼は経営者。
単純に聞きたかった。
「なぜ会社をやろうと思ったのですか?」
「会社を始めるときは怖くなかったんですか?」
彼はこんな質問をおそらく100回はされてきたのだろう。今になって見れば浅はかな質問だな、と思うのだが、彼は爽やかにボサボサしながら、私に逆に質問してきた。
「○○さん、小さな頃にやってた習い事やスポーツはありますか?」
「あー、サッカーをやってました」
「なるほど。サッカーはなぜ始めたんですか?」
「え、そりゃぁ、単純に好きだしやりたかったからですかね」
「ですよね。私が会社を作ろうと思ったのも同じ理由です」
「ほう」
「好きだし、やりたかったからですよ」
「なるほど」
「会社を始める時に怖くなかったか?という質問ですがね、○○さん」
「はい」
「○○さんがサッカーを始めた時『もし大怪我をしたらどうしよう?』とか『上手くいかなかったらどうしよう?』とか考えました?」
「いえ、考えてないですね」
「ですよね。私が会社を始めた時もそうでした。何も心配してませんでした。やりながらどうやって上手くいくか試行錯誤するんですよ」
「なーるほど(ビール、グビッ)」
なるほど、そうか。
彼との会話から学べることはこうだ。
・起こりもしないことを考える方が時間の無駄
・いっそ思い切ってスタートしてみるといい
・スタートしさえすれば、問題が出てくるからそれをどう越えていくか一生懸命考える
・だから、うだうだ言ってないでスタートするんだ
・小さな頃、習い事を始めた時に失敗のことを考えなかったように
それからの彼がどうなったかは分からないが、調べてみると今でもキチンと事業をやっているらしい。試行錯誤してるんだ。
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