詩　：　劣化

「劣化」

一級品ですよ　これ！
と自信満々に自慢の目利きが
言い放つ
本当に本物は見なくなったのか
それとも
それなりに経験を付けたから？
そんな自慢するほど
歳は取ったが
人や物の見極めが肥えてきたなんて
思われないんだよ

何かに怯えてきた人が
極めることさえ
目的が見えなくなったのか
自己欲だけを隠し　見栄えだけを整え
さも　それらしく見せ始める術を
上手く習得してきたのかもしれない
言葉と行動も伴う大人の人への
立ち振る舞いへの憧れ
きっといつか自分もなんて
お仕着せにさえ思えてきた

何故だろう
そう思えていたのは
決して歳だけを取ったから
見えてきたわけではなく
自分のメッキが落ちていくのが
怖くなってきた
何か大切にしてきたものを
私も含め慌てて　見つけて
繕おうとしている様な気がする
焦りが後を追ってくる

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