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【読書感想文】哲学者の書いた絵本『葉っぱのフレディ』

本書はアメリカの哲学者、レオ・バスカーリアが生涯で一冊だけ遺した絵本作品である。中学校の英語の教科書にも採用されていたので、ご存知の方も多いかと思うが紹介させていただく。

あらすじ

一枚の葉っぱのフレディは、大きな木の枝の先に生まれた。初めは周りの葉っぱも自分と同じだと思っていたのだが、一枚一枚がみんな違うことに気づき、また物知りな葉っぱのダニエルが木のことや、木に来る小鳥のことや、月や太陽が規則正しく動いていることなどを教えてくれた……、というお話。


これだけでは、ただの葉っぱのお話になってしまうが、話の内容はここから「生命」「生きるとは」「死ぬとは」というテーマになってくる。

お察しの方もいるかもしれないが、やがて葉っぱたちは季節が移ろうにつれて一枚、また一枚と散っていき、フレディは自分自身も落ちて死ぬことを考えざるを得なくなるのだ。

「死ぬのが怖い! いやだ!」と怖れ慄くフレディに対して、悟りを得ているように落ち着いているダニエルが、優しく諭すように語りかける。

「この木も死ぬの?」
「いつかは死ぬさ。でも"いのち"は永遠に生きているのだよ」とダニエルは答えました。

葉っぱも死ぬ、木も死ぬ。そうなると、春に生まれて冬に死んでしまうフレディの一生には、どういう意味があるのでしょう。
「ねえ、ダニエル。ぼくは生まれてきてよかったのだろうか」とフレディはたずねました。

本書より

ダニエルはどう答えたのか、あるいはあなたならどう答えるのか……。

一枚の葉っぱのフレディを通して、「命」について考える絵本。ぜひ、手に取ってみてください。


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