i'm ok & you're not ok は難しい
どんな仕事もそうだと思いますが、コールセンターの仕事はストレスのたまりやすい仕事です。
先週の記事では、you're not ok という思いで心がいっぱいになってしまったときは、「you're not ok という思いで心がいっぱいになってしまった自分」にOKと言ってもらうことで i'm ok が回復できると書きました。
そして今週は、この図を使って、お客さま(特にクレームのお客さま)について考えます。
ほとんどのお客さまは、「i'm ok & you're ok」という姿勢で電話をかけてきます。
しかし、中には、こんな電話が入ってくるときもあります。
これらは i'm ok & you're not ok でしょうか?
さらには、こんな電話も、たま~にあります。
これらのケースについて、考えていきましょう。
Aさんの場合
もう一度、セリフを書いておきましょう。
この人は、応対者に向かって怒っていますが、応対者のことを怒っているわ
けではありません。
この状態を言葉にすれば「私はお金を払い、正規の手続きを経て購入した(= i'm ok)のに、こんな不良品を送り付ける会社が悪い(=you're not ok)」ということになるでしょう。
その通りです。
しかし、本当にシンプルにこれだけを考えている人なら、「至急、良品を送ってください。送料は御社負担でいいですよね」で会話はすべて終了するはずです。そして、その場合の「not ok」の中身は、実は会社丸ごとではなく、「今回の不良品が届いた件」です。
これは、会社側から見ても同じく「not ok」な出来事です。
出来事自体は「not ok」ですが、お客さまもOKですし、会社もOKです。
しかし、こういうケースばかりではありません。
商品が届くのを心待ちにしてくれていた人ほど、不良品が届いたときのショックは大きくなります。
中には、感情的になって、1千万出せ、社長を連れてこい、などと口にする人もいますが、それは言葉の綾であって、そのように言えば本当に1千万円が出てくると思っている人はいません。
そして、怒っているように見えますが、怒っているというよりも自分の身に降りかかった現実を受け入れらずに困っているのです。
分かりやすいように例をあげましょう。例えば、同じ不良品が届いたとして、ちょっとかっこいいなと思って買ったものが届いてみたら不良品だった場合、「興ざめしてしまったから、交換じゃなくて返品にしよう」ということはあるかもしれませんが、泣き叫ぶ必要はありません。
一方で、これが誕生日プレゼントだったとしたらどうでしょう。しかもその相手は難病で、余命3カ月。次に誕生日プレゼントを渡せる機会はないとしたら。
届いた商品が不良品だということは、その大切なプレゼントを渡せなかったという意味を持ちます。
お客さまが電話口で泣き叫んだとしてもおかしくはありません。
同じ不良品が届いても、お客さまの反応は大きく変わります。
ということは、不良品であることが問題なのではなく、自分の中に起きたショックを受け入れられないことが問題なのです。
だから、先週の記事と同じで、「そうですよね、不良品が届いたらつらいですよね。プレゼントが渡せなかったなんて悔しいですよね。来年は渡せないなんて悲しいですよね」と you're okで包んであげると、自然と落ち着きを取り戻し、i'm ok & you're okへ戻っていきます。
よって、パターンAは「i'm ok & you're ok だが起きたことはよくなかったね」か、 「i'm ok & you're not ok に見える i'm not ok」のどちらかです。
う~ん、また長くなってしまいました。
続きは、また次週とさせてください。
それでは、また。
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