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ディズニーが最も大切にしているバリューから学べる2つのこと〜マネプロ#7

こんにちは! DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井(@tsubot0905)です。

マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第7回目です。

このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。

さて、これまでのマネプロではMVVの全体像とミッション・ビジョンについて話してきました。

前回のテーマは「ビジョン」でした。
今回はMVV最後のテーマ「バリュー」です。

目次はこちら!

<バリューとは強みの道標>

バリューとは、企業が大切にする文化や価値観を示すこと

バリューは、MVVの中でも働き方への考え方を示す概念です。

そのためバリューはミッション・ビジョンの実現において優先することや日々の業務で意思決定をする際の拠り所となり、企業としての共通基準によるブレない行動や判断へとつながります。

さて、そんなバリューの例として、ディズニーが掲げていたものが印象に残っているので具体的な事例として触れたいと思います。

正解を見る前に、クイズに答える気分でちょっと考えてみてください。

ディズニーが大切にしている価値観ってなんだと思いますか?

キャストの方々がゲストに対して何を大切に接しているか?
と置き換えてもらっても良いと思います。

答え合わせの準備はよろしいですか?
それでは、参りましょう!

<バリューの事例:ディズニー>

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答えは
安全、ゲストへの配慮、ショー、効率
の4つです。

ディズニーの従業員は、この4つの行動指針はお客様への約束である、と教えられます。そして、並んでいる順に重要な行動指針であると教えていて、大事な優先順位も明確にされています。(参考:『ディズニーが教えるお客様を感動させる最高の方法』

これを聞いていかがでしょう?

私は「ショー」ではなく「安全」が第一であることが意外で驚きました。

しかし、よくよく考えればたしかにその通りです。

本の中でディズニーのミッションは、「幸せの創造」とあり、ビジョンは「最上のエンターテインメントを提供する」という方向性を掲げていました。

これらを実現するには、ゲストが常に快適で安心して過ごせる必要があります。清潔ではなかったり危険を感じるテーマパークでは夢の国と感じることはできませんよね(笑)

ゲストには「安全」について微塵も心配させない。それくらいやってこそ、ゲストは心から夢の国に没入できるわけです。

そんなわけで、ゲスト視点からディズニーを見ている私には「安全」がバリューの第一に掲げられていることは意外だったんですね(しかも一番にくるとは)。

「安全」第一はかなり意外でしたが、もう一つ、「効率」が入っていることにも驚きました。しかし、これも詳しく知れば納得。

ゲストが最上のエンターテイメントを体感できるよう、迅速にサービスを届けられる運営をすることでゲストに楽しんでもらう、これがディズニーにおける「効率」です。

ファストパスの仕組みはまさに「効率」を意識したサービスです。ファストパスを持っていれば並ばないでもアトラクションを楽しめる。
「効率」を追求した仕組みが顧客への価値とつながっていますよね。

ディズニーがバリューにしている4つは、どれもミッションやビジョンを実現する上で欠かせない行動指針であると納得できるものでした。まさに、MVVの意味と価値が連動している理想的な事例です。

<バリューは『CG』を言語化する>

過去に企業のバリューづくりに関わってから、バリューには『CG』の視点が込められていると考えています。この『CG』はCoreとGapのそれぞれの頭文字です。

本来のCG(コンピュータ・グラフィックス)は、コンピュータによって描かれた図形や画像をカタチにしたものを意味しますが、バリューの『CG』は、企業によって描かれた強みの行動や思考をカタチにしたものと捉えています。

このバリューの『CG』の視点について解説していきたいと思います。

・Core / コア 
自分たちの持ち味をバリューで可視化。
バリューの使い方は「強みの発揮」の維持。

企業に新しい人が入社したり社員数が急激に増えたりしても、自分たちの強さを維持し、アイデンティティの濃度を保つためにバリューをつくることがあります。

ディズニーのバリューは、アルバイトの方々も含めすべてのキャストが共通して強みを発揮できており、組織がバリューを「Core」にできていると感じる方も多いのではないでしょうか。

ちなみに、DeNAでもDQ(DeNA Quality)というバリューがあります。DeNAで働く上でのミニマムエチケット(約束事)とされています。

逆を言えば、DQができていれば、あとは個性があっていい。「思考の独立性」という言葉が社内であるように、バリューによって全員を金太郎飴みたいに同じ考え方に統一したい訳ではありません。

時として、バリューの浸透というと社員に考え方を強制しようとしている、とネガティブに捉える方もいるのですが全くそんなことはありません。バリューの浸透は組織としての強みの発揮が目的になるものですから。

・Gap / ギャップ 
自分たちに必要なことをバリューで具体化。
バリューの使い方は「強みの開発」の推進。

誰しもが強みを発揮できるように、ディズニーは自分たちの強みを開発するため、組織としてトレーニングを強化しています。

自社のトレーニングノウハウをディズニーアカデミーというサービスで企業向けに提供しているくらいです。

また、新たな強みを開発するために、今までとは異なるバリューを言語化することがあります。自分たちが変わらないといけない「GAP」をバリューによって示すパターンです。

例えば、会社ではなく各事業毎で求められる強みを開発するために、全社とは異なるバリューを示す事業体が増えているのではないでしょうか。これは事業が多角化している企業だと分かりやすいです。

DeNAであれば、ゲームのようなエンターテインメントの事業とヘルスケアのような社会課題解決の事業では、ビジネスモデルやフェーズ、求められる行動・思考がまったく異なります。

そのため、各事業をより力強く推進していけるように、事業単位で強みを開発するためのバリューを示すケースが増えていると思います。

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<バリューの浸透とは>

バリューをつくったら、次はどう浸透させるかです。

でも、そもそもバリューの浸透した状態とは何でしょうか?

それは、理想の行動や思考が無意識に体現できている状態と言えます。

つまり浸透=体現なのです。

無意識にバリューが体現できている状態についてはマネプロ#4のエスカレーターの話がわかりやすいと思います。

地域によってエスカレーターの左に立つか右に立つかのマナーが異なることってありますよね。あれこそ文化です(左待ちを関東方式、右待ちを関西方式と呼んだりします)。

エスカレーターに乗ることは同じでも、マナー・やり方が違う。文化があるとその文化圏内ではマナー・やり方についていちいち議論せずとも前に進めます。

例えば、関西の人が東京にきて「いや、僕は誰が何と言おうと絶対に右に立つ」という人がいたら周りは困惑しますよね。同じようなことが仕事で起こると物事が前に進まなくなります。

ですから、その企業において良しとされる行動や思考を定めて、当たり前の文化にしていくのがバリューのゴールです。

では、どうやってバリューを文化のようなレベルにまで持っていけばいいのか?

バリューの体現にむけて大事なことは、一人ひとりの「認知→解釈→体現」のステップを後押しすることです。企業の大切にしたい考え方を知ってもらい、適切に意味づけされた上で、言動に反映してもらう必要があるわけです。

このステップをリーダーがやるべき行動に置き換えるならば

1 大切にする価値観を言語化する
2 対話によって意図と意味を伝える
3 体現に導くための言動を選択する

となります。

注意点は、バリューの浸透とはバリューを頭に叩き込むことではないということです。バリューの”体現”がゴールですから、認知と解釈のフェーズで足踏みせず、体現に注目すること。つまり、バリューの体現者をいかに増やすか、バリューの体現事例をいかに広げるかを考えることが大切です。

バリューの体現が継続して当たり前になると、ついにバリューはその企業にとってのカルチャーとなります。戦略は真似できるがカルチャーは真似できないという言葉があるように、そこまでたどり着いてようやく他社との差別化ができます。

マネジメントにおいてバリューの体現と成果を結びつけ、日々の行動や思考の当たり前基準をつくることが重要だからこそ、リーダーはバリューの浸透や体現に本気になるのではないでしょうか。

<バリューに共感はいるのか?>

バリューの浸透をテーマにすると必ず「共感」が必要、という話題がでます。しかし、今回のマネプロでは、バリューの浸透について「共感」の表現は使いませんでした。

それはバリューへの共感が本当に必要なのか?
と思う時があるからです。

どの企業のバリューを見ても変なことが書いてあるバリューなんてないんですよね。つまり、個々人が思考や行動の態度を選ぶだけ、の話ではないかと思うのです(転職を3回している経験が活きているのかな笑)

企業の大切にしたいバリューに対して「あ、そうやりたいのね、了解!」みたいな感じで全員がすぐにアクションできていたら理想的ですよね。

もしバリューに共感ができないと声があがるなら、それはバリューそのものではなく、組織と社員の関係性において何かしらの問題があることを指しているように見立てることが多いです。

バリューを支持できない原因は他にある…ということに気づいてコミュニケーションをとることが重要だと思います。

ちなみに、バリューの体現が自然とできたら、あとは高いレベルでバリューを実践していくのみです。

企業の求める考え方に合わせて、高いレベルでバリューを実践できる技術がある人を、私はカルチャーフィットスキルが高い人、と採用面接で評価しています。

企業のバリューを体現できるかどうかは個人の技術でありスキルであるという考え方です。カルチャーフィットを共感の視点だけでなく、技術/スキルの視点からも捉えてみてはいかがでしょうか?

<マイ・バリューを問う>

バリューの持つ意味は、大切にする文化や価値観を示すこと。企業にとっての強みの発揮や強みの開発への意識を高めるために「強みのあり方を示したもの」とも言えるのがバリューです。

バリューの体現にむけて個々人が意識できることは、振る舞いを選び、高いレベルでバリューを実践する技術を高めること。すなわち、カルチャーフィット力を高めることです。

では、カルチャーフィット力を高めるためには何をすべきか?

それは自分自身の「マイ・バリュー」に気づくことではないかと思います。企業が大切にする価値観をバリューで示しているように、自分の大切な価値観を明らかにすることで、企業のバリューとフィットする部分を見つけやすくなり、バリューの体現もしやすくなります。(自分のバリューの見つけ方は、マネプロのキャリアをテーマに探求する時に書きたいと思います。)

ということで、バリューの話はおしまいです。
ミッション・ビジョンの実現にむけてバリューを体現していきましょう!

<今回のQuestions>

以上が7回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!
いかがでしたでしょうか?

ということでマネプロ恒例、最後の問いです。

今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!

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※「自分はこう考える」「自分ならこれを問いかける」という考えはぜひTwitterにて「#マネプロ」を付けてつぶやいていただけたら嬉しいです!

<次回にむけて>

今回までのマネプロで「MVV」のテーマの探求が終わりました。
ただ、企業理念だけでマネジメントが成り立つものではないので
今後は「戦略」というテーマからマネジメントの進化を探求していきます。

企業理念と同様に戦略も重要なテーマですよね。
というわけで、次回のテーマは戦略によるマネジメントです。

次回は2週間後の水曜日。
良かったらぜひnoteのスキやフォローをお願いします。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

読者のみなさんと共にマネジメントの進化を探求できれば何よりです。Twitterのフォロリツ大歓迎です!DMでの感想も是非!(@tsubot0905)

noteで取り上げた内容について、みなさんの持論や新たな問いかけの視点をもらうことでマネジメントの探求がもっと楽しくなるはず。ですので、みなさんからのリアクションを心待ちにしております。よろしくお願いします!

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