心を持つ経営資源で戦略を実現する!人材マネジメントの4Aとは?〜マネプロ#22
こんにちは! DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井(@tsubot0905)です。
マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第22回目です。
このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。
さて、第18回より始まった戦術編。戦術とは何かに始まり、第19回からはマネジメントの4領域(事業・業務・組織・人材)それぞれに焦点を当て、戦術をテーマに探求しております。
今回のテーマは「人材のマネジメント」。
前回の組織マネジメントは4Sの視点考える話でしたが、
今回は人材を考える視点を「4A」としてまとめてみました。
目次はこちら!
<人材マネジメントの視点は4A>
あなたは、戦略を実現するために
活躍する人材をどうやって増やしていきますか?
またどうやったら活躍し続けてもらえるでしょうか?
これは「人材マネジメントにどう取り組んでいきますか?」
という問いでもありますよね。
では、どのような視点から人材マネジメントを考えていけばいいか。
私の回答は、4Aの視点から考えよう!です。
4Aとは、以下の4つ。
人材の獲得(Acquisition)
人材の配置(Allocation)
人材の戦力化(Acceleration)
人材の活性化(Activation)
それぞれ見ていくポイントをお伝えします。
<4A視点で考える人材マネジメント>
【 人材の獲得 】(Acquisition)
主要な活動は人材の採用です。正社員・契約社員・派遣社員・アルバイトといった雇用形態の採用活動がメインですが、副業やフリーランス・外部パートナーの活用も人材を獲得する手段になります。
【 人材の配置 】(Allocation)
主要な活動は人員計画をベースにした運用です。事業や組織にどのくらい人的リソースを配置するかを決めた人員計画に合わせて、人材の配置を行い、適所適材・適材適所のマッチングを図ります。
👉 適所適材・適材適所の違い
「適材適所」は、働いている社員を適する場所(能力を発揮できる業務)に配置するという考え方。 「適所適材」は求められる業務が先にあり、そこで求められる能力に適した人材を配置するという考え方。
【 人材の戦力化 】(Acceleration)
主要な活動は育成や対話です。新たな環境や新たな立場を経験する人材に対して、周囲や役割への適応を促進する仕組み・機会をつくります。研修・交流会・1on1などを通じたオンボーディングやトランジションの支援はその一例です。
【 人材の活性化 】(Activation)
主要な活動は目標管理やキャリア開発です。短期の視点では、目標・評価・報酬のプロセスを活かして、成果の最大化につなげる達成支援が必要です。長期の視点では、個人の持ち味を活かして、スキルや働きがいの向上につなげる成長支援も欠かせません。
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それぞれのイメージをつかんでいただけたでしょうか?
人を通じてHow to win(どう勝つか)を考える時、方向性としては大きく「勝つための布陣形成」と「勝つための人材強化」に分けて考えられます。
つまり、4つの「A」のアクションは、この2つの目的に分けられるのです。
それでは、それぞれ見ていきましょう!
<勝つための布陣形成|獲得と配置>
ビジネス上で勝つための布陣にもいろいろあります。
大勢の若手中心な布陣もあれば、少数精鋭のシニアな布陣もあります。失敗を気にせず果敢に挑戦する攻めの布陣もあれば、絶対に大きな失敗をしないよう仕組みを構築する守りの布陣もある。これらの布陣形成は、目的や戦略に応じて使い分けて考えられていることでしょう。
組織にどのくらいの人数を【配置】するのか。
どんな人員を【配置】するのか。
こういった「勝てる布陣を考える」のが人員計画です。
ただし、計画はあくまで計画。その計画で描いた勝てる布陣を組めるかどうかは【獲得】にかかっています。
【獲得】に関して、学習院大学の守島教授は「人手不足と人材不足は違う」とお話されていました。
「人手不足」は単純に人の手が足りない。
「人材不足」は戦略を実現する人材が足りない。
まさにその通りで、「人手不足」なのか「人材不足」なのかで【獲得】の動きにも違いが生まれますね。
布陣形成の打ち手にも色々ありますが、
大きくは4つのアプローチにわけられます。
人材を採用するのか・社員を育成するのか・異動者や外部パートナーを探すのか、はたまた人ではなくAIで自動化しちゃうのかといった打ち手です。
これらは「Buy / Build / Borrow / Bot」と表せるため4Bのアプローチです。
(4○が登場し過ぎかも…?笑)
それぞれ、Buy=人材の獲得・Build =人材の育成・Borrow=社外人材の確保・Bot=人材ではなくAIやロボットによる効率化のことです。
<勝つための人材強化|戦力化と活性化>
『War for Talent』
優秀な人材は奪い合いの時代です。
企業が求める人材像に共通するのは、その企業や組織が求める成果を出せる人 / 成果を出し続けられる人です。そんな活躍できる人材が多ければ多いほど、戦略の成功確度は高まります。
では、活躍できる人材を【獲得】【配置】しただけで上手くいくかというと、残念ながらそうではありません。
【戦力化】すなわち、人材が力を発揮して活躍できる支援
【活性化】すなわち、人材が活躍し続けてもらう支援
がマネジメントの中で求められます。
人材マネジメントにおいて、「勝つための人材強化」がもう一つのテーマとなる由縁です。先ほどの【獲得】と【配置】が「量」の話なら、【戦力化】【活性化】は「質」の話に重きが置かれますね。
例を挙げて考えてみます。
採用した人材の【戦力化】は先ほどの人手不足と人材不足のどちらかによってアプローチが変わります。
社員の退職に伴い、新たに社員を採用した場合、入社したばかりの状態から新たな仕事や周囲の環境に慣れてもらい、仕事の知識やスキルを習得してもらうには個別化された育成が必要となります(人手不足への対応の例)。
一方で、新たな戦略の柱を担う人材を採用した場合、入社した人材と社内のキーマンをつないだり、本人が力を発揮してチャレンジできる体制を素早く構築する支援が必要となります(人材不足への対応の例)。
さらに、人材が持続的に活躍できる【活性化】された状態をいかに生み出せるか。裏を返せば、成果が出ない・スキルが上がらない・働きがいが持てないといった状態が続かないように、個々の状態に合わせた支援が必要です。
多様化する個に合わせて、個性に向き合った人材強化が求められています。
<戦略と人材マネジメントの連動>
ここまで「勝つための布陣形成」&「勝つための人材強化」の両面から人材マネジメントについて書いてきました。
最後に、戦略から人材マネジメントへの落とし込みは、事業と組織の方向性と上手く連動できているかどうかを見ましょう、というお話です。
例えば、事業の方針に合わせて組織が構築され、組織マネジメントの4Sにあった【構造】の人員計画や組織体制は、人材の「布陣形成(採用と配置)」へと連動して落とし込まれていくものです(下の画像)。
他にも組織の【職務】【制度】【文化】に応じて「人材強化(戦力化と活性化)」は連動されていくべきです。この人材強化が及ばないと組織の推進力が発揮されません。
以前、マネプロ#9で「“組織は戦略に従う”を前提に考えた方が良いものの、“戦略は組織に従わざるを得ない”という壁にぶつかってしまう」と書きました。
この組織と戦略の関係は、組織と人材の関係にも似ています。
つまり、“人材は組織に従う”を前提に考えた方が良いものの、“組織は人材に従わざるを得ない”という壁にぶつかってしまうのです。
人と組織というものは切っても切り離せない関係にあるのだと思います。
人の価値観や働き方の変化が激しい世の中において、組織は「人材」という心を持つ経営資源を、いかに戦略の実現にむけてマネジメントできるのか。
組織のあり方の進化がこれから問われていくのだと思います。
<今回のQuestions>
以上が22回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!
いかがでしたでしょうか?
ということでマネプロ恒例、最後の問いです。
今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!
※「自分はこう考える」「自分ならこれを問いかける」という考えはぜひTwitterにて「#マネプロ」を付けてつぶやいていただけたら嬉しいです!
<次回にむけて>
今回は、人材マネジメントを4Aの視点から考えてきました。
さて、次回のマネプロから取り扱うテーマは
経営視点の戦術と現場視点の戦術についてです。
最初は経営視点の戦術でもある「OKR」。
GoogleやFacebookでも使われている
目標管理の新たな概念の話でもありますね。
次回は2週間後の水曜日。
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今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
読者のみなさんと共にマネジメントの進化を探求できれば何よりです。Twitterのフォロリツ大歓迎です!DMでの感想も是非!(@tsubot0905)
noteで取り上げた内容について、みなさんの持論や新たな問いかけの視点をもらうことでマネジメントの探求がもっと楽しくなるはず。ですので、みなさんからのリアクションを心待ちにしております。よろしくお願いします!