強い組織にアップデートする!組織マネジメントに役立つ4つの視点〜マネプロ#21
こんにちは! DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井(@tsubot0905)です。
マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第21回目です。
このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。
さて、第18回より始まった戦術編。戦術とは何かに始まり、第19回からはマネジメントの4領域(事業・業務・組織・人材)それぞれに焦点を当て、戦術をテーマに探求しています。
今回のテーマは「組織のマネジメント」。
組織を読み解く「4つのS」の観点をお伝えします。
目次はこちら!
<組織マネジメントは4Sの視点>
経営資源の中でも、「人」は特別です。
人への関わり方や環境をどう考えるのか。
人にどんな役割や意義を与えるのか。
言い換えるなら「どのような組織を作るか」によって
人の生み出す価値は良くも悪くも変動する可能性があるからです。
優れた戦略も、人がしっかりと力を発揮できて
組織としての機能を果たせていなければ実現しません。
では、戦略を実現するために、
どのような点に着目して組織を形作っていけば良いのか?
これは「組織マネジメントをどのような視点から変えていきますか?」
という問いでもありますよね。
というわけで、私が組織を見る4つの視点(構造・職務・制度・文化)をこの機会に言語化しておきたいと思います。
忘れっぽい私でも覚えやすくしておくために、4つのSでまとめてみました。
マネプロ第9回で「組織は戦略に従う」を前提に考えた方が良いが、「戦略は組織に従わざるを得ない」という壁にぶつかる話をしましたね。
この壁というのが、まさに4つのSなのです。
組織には枠組みの「構造」があり、仕事のやり方の「職務」があり、人に関連した「制度」があり、時間をかけて醸成されてきた「文化」があります。これらはどれも一夜にして変えることなど不可能なものばかりです。
組織を作るには、時間がかかる。
そのため、今回のマネプロではどのような視点から課題をみつけて組織を設計し、組織を変えられると良いのか。4Sの視点を通じて伝えていきたいと思います。
ではでは、4つのSを一つずつ見ていきましょう!
<4S視点で組織を見る | 構造 >
まずは「構造」から。
OS :Organization Structure 【 構造 】
人員構成・人員計画・組織体制・組織環境
人員構成とは、簡単にいえばどんな人たちが集まった組織かという視点。雇用構成、年齢構成、役職構成、退職率などのデータから組織全体を俯瞰して見ることで課題が見えてくることがあります。
人員計画とは、社員数や採用数などから未来の組織規模を計画する視点。1年後これだけの仕事を引き受けられるようにするには、あとこれくらい、いついつまでに採用しないと人が足りないよね、といった具合に現状と未来のGAPを考えられるものです。
組織体制とは、どのような意図を持って組織を設計するかの視点。どんな組織形態でもポジネガは存在するため、何を大切にして組織運営できる体制をつくるか。未来を構想して組織を構築することが必要になります。
組織環境とは、オフィスやITツールなどを活用して生産性の向上を支援する視点。リモートワークが普及した企業では、オフィスによる働きやすさやモチベーションへの影響度は下がりました。一方で、ITツールや自宅の作業環境を整えることが仕事への生産性に大きな影響を与えていますよね。
<4S視点で組織を見る | 職務 >
続いて、「職務」を見ていきます。
JS:Job Scheme 【 職務 】
役割分担・業務フロー・業務内容・会議運営
役割分担は、各組織(営業・人事など)・各役職(部長・課長など)がどのような機能 / 責任を持つかを設計する視点。業務・権限・使えるリソースなどの決まり事を適切に設計することで職務の骨子が生まれます。
業務フローは、組織として価値を生み出していく業務の進め方を最適化する視点。「誰が」「いつ」「何をきっかけに」「どんな業務を」「どういう流れで」行うかを設計することで、ムダやムリを減らすことが可能です。
業務内容は、業務を通じて生み出される価値を最大化する視点。各組織は求められる機能に対して、人が能力を発揮して事業に役に立つ貢献ができる業務を設計することが求められます。
会議運営は、物事を共有したり、決めていく場を設定する視点。スケジュールに入るものは基本的に人とやる仕事、すなわち会議です。この会議をうまく設計することで組織全体を機能させることが重要です。
<4S視点で組織を見る | 制度 >
続いて、「制度」。
PS:Personal System 【 制度 】
目的・目標・評価・報酬
目的は、組織がこれから目指していく方向性や期待をメッセージする視点。企業や事業が描く未来にむけて、あなたの組織や仕事は何が求められていくのか。その意義から伝えることが大事です。
目標は、目標設定を通じて組織の方針を個人の目標につなげる視点。目的にあわせて、だからあなたには〇〇な行動や△△な成果を期待していると伝え、企業と個人が双方合意できる対話が必要です。
評価は、組織や個人の貢献・成長・課題などを見て今後の活躍につなげる視点。率直に、こういう所が良かった、ここはもっと頑張ってほしかったを伝えることは評価期間に関係なく日々の積み重ねですね。
報酬は、組織や個人の成果と行動に対してどのように報いるかを決める視点。昇給・賞与のような金銭的報酬だけでなく、表彰などの非金銭的報酬もあわせた設計が大切になります。
<4S視点で組織を見る | 文化>
最後に「文化」。
CS:Culture Style 【 文化 】
公式/非公式、良い/悪い、強み/弱み
公式/非公式は、見える文化と見えない文化。
ホームページに載っている「私たちが大事にしていること(バリュー)」のようなものは自分たちで標榜する見える文化です。
見えない文化には、たとえば「上下が強い体育会系」などがあります。これを外部に積極的にアピールすることは考えにくいので見えにくいですよね。しかし、間違いなく文化の1つです。
良い/悪いは、一言で言うと、好き嫌いの文化。
この組織では、文章がぎっしり詰まった枚数の多い資料が好まれ、ワンスライド・ワンメッセージといった簡潔な資料は好まれない、みたいな話です。組織にある好き嫌いの文化の見極めは重要です。
強み/弱みは、活かせる文化と活きない文化。
たとえば、先ほどの文書化/言語化が強みのテキスト文化の会社では、ジョブスのようなプレゼンをしたい方にとって相性が合わない。むしろプレゼン前から見てもらう事前資料を使ったり、決まったことの伝達や仕組みのマニュアル作成が得意な人には相性が良い文化となります。
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以上が4つのSから見る組織の視点でした。
イメージをつかんでいただけたでしょうか?
組織マネジメントの視点の中でも、最初の3つ(構造・職務・制度)は組織のハード面、最後(文化)が組織のソフト面といえます。それぞれに分けて大事なことを伝えたいと思います。
<組織のハード面で大切なこと>
組織のハード面を支える3つが機能すれば
【構造】によって勝てる環境が生まれ、
【職務】によって勝てる仕事が増えて、
【制度】によって勝てる人材が活きる。
と言えます。
1つ忘れてはならないのが、【構造】・【職務】・【制度】はそれぞれ上手く連鎖することが大切であるということです。
組織の【構造】が変わっても【職務】における変化がなければHow to Win(どう勝つか)の戦術は実行されず、結果として勝てません。
そして【職務】を担うのは人です。人が【制度】を通じて活かされるように導けなければ、組織が期待する成果には届かずに勝てないでしょう。
<組織のソフト面で大切なこと>
【文化】を育むスイッチをどこに置くか。
組織マネジメントにおいて考えるべき重要なテーマです。
なぜなら、私の中で、組織マネジメントの土台はハード面ではなくソフト面の【文化】と捉えているからです。何が好きで、何が嫌いか、どんな行動を奨励し、どんな行動を諫めるかといった空気・常識・当たり前は、取れる選択肢や目指す方向性を規定するものになります。つまり、
【文化】は組織の「当たり前」を決める。
だからこそ、組織マネジメントの全体に大きな影響を与えるのです。
しかし、【文化】すなわち従業員1人ひとりの行動・思考スタイルはすぐに変わるものではありません。「カルチャーを変えるには3年必要だ」とさえ言われます。ハード面とは異なり、変化にはさらに長い時間が必要なのです。
カルチャーの話はまだまだ触れたいことが沢山あるので、マネプロのどこかのタイミングでガッツリ書きたいと思います。
<戦略と組織マネジメントの連動>
ハード&ソフトの両面から組織のマネジメントを考えることで戦略の実現に近づきます。
マネプロ#10の「組織行動の整合性モデル」でも触れましたが、事業で勝つための戦略を【職務】を通じて実現できるように【構造】からも支えられるかどうかは重要です。
そして、【制度】を通じて戦略と人材の動きを重ねられるか。組織の価値観の土台となる【文化】はつくれているのか。このようなことが戦略を実現する過程では問われることでしょう。
世の中では、リモートワークや副業/フリーランスなど働き方の多様性が広がり、組織のマネジメントに求められることは複雑性を増して難易度が高まっています。
ですが、だからこそ組織マネジメントを上手く機能させられる会社や事業は、これからも力強く成長して成功していけるのではないでしょうか。
<今回のQuestions>
以上が21回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!
いかがでしたでしょうか?
ということでマネプロ恒例、最後の問いです。
今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!
※「自分はこう考える」「自分ならこれを問いかける」という考えはぜひTwitterにて「#マネプロ」を付けてつぶやいていただけたら嬉しいです!
<次回にむけて>
今回は、4Sというフレームを利用し、
組織マネジメントをハード&ソフトの両面から書いてきました。
次に取り扱うテーマは「人材のマネジメント」です。
次回は2週間後の水曜日。
良かったらぜひnoteのスキやフォローをお願いします。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
読者のみなさんと共にマネジメントの進化を探求できれば何よりです。Twitterのフォロリツ大歓迎です!DMでの感想も是非!(@tsubot0905)
noteで取り上げた内容について、みなさんの持論や新たな問いかけの視点をもらうことでマネジメントの探求がもっと楽しくなるはず。ですので、みなさんからのリアクションを心待ちにしております。よろしくお願いします!