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斉藤洋イェーデシュタット物語を読む④
「オイレ夫人の深夜画廊」では、題名と同じ名前の書店(1階は古本屋で2階は画廊)が重要な役割を果たします。
フランツは、大学をうつるためミュンヘンに行く最中、足止めを食らい、夜にイェーデシュタット中央駅へ下車し、時間を潰すためにジークムント・ホテルから深夜画廊を訪れます。
このフランツという青年は、この深夜画廊で、小さい頃に近所でよくしてもらった、建設材を扱うお店のおじさん・グライリッヒさんのこ
斉藤洋イェーデシュタット物語を読む③
たとえば、「ドローセルマイアーの人形劇場」では、主人公のエルンストは、安定した仕事に就きながら、今の生活に疑問を抱いています。
本作は、だから転職をすすめるという安直な話ではありませんが、エルンストが、人生の転機と向き合い、自分の決断で1歩を踏み出したあとに、見えない壁を乗り越えるまでの様子が、まさに超現実的な手法で描かれています。
その中で、印象的な場面が挟み込まれます。
エルンストがこども時
斉藤洋イェーデシュタット物語を読む①
「ドローセルマイアーの人形劇場」(1997)「アルフレートの時計台」(2011)「オイレ夫人の深夜画廊」(2016)は、ドイツの架空の町・イェーデシュタットを舞台にした幻想譚として、それぞれ独特な読後感を与えるファンタジーです。
デビュー作よりも着想が古いという「ドローセルマイアー…」、その後別の出版社から発表された「アルフレート…」、「オイレ夫人…」は、こども向けなのか分からなくなるほど大人っ