私の面白履歴書②

佐々木倫子マンガ全般

心から面白い、楽しいと世代・性別を問わずに気軽に薦められるマンガのひとつが佐々木倫子さんのマンガといえます。
それは、ある意味で「ドラえもん」と同じくらい安定感・安心感があるものです。

私自身は、小学生の頃に、通っていたフリースクールの初等部スタッフ(学校の先生の代わりみたいな立ち位置の人)から、笑いのセンスを認められて「動物のお医者さん」を薦められたのが、佐々木さんの作品に初めて触れるきっかけでした。

活字やゴシック調の特徴的な書き文字、関西弁で姉御口調のミケ、凶暴で乱暴なヒヨちゃん、漆原教授のしるこのエピソードなど、特筆すべき点を挙げればきりがありません。

その後、前述のスタッフを介して、中・高等部のお姉さんより「おたんこナース」(原案・取材・小林光恵)1巻を借りて、1話完結ながら、笑いあり感動ありで、より深みを増した内容に家族ぐるみでファンになり、その後は新作が出るたびに自分でチェックして単行本を買うのが日課となります。

最近、「Heaven?〜ご苦楽レストラン」の文庫版1巻を古本で買って久々に目を通したのですが、ざっと読んだだけでも本当に面白く、他にはないクオリティとオリジナリティを感じました。

佐々木先生は、「月館の殺人」(原作・綾辻行人)「チャンネルはそのまま!」以降は、新作の発表から遠ざかっておられるようですが、今年、ビッグスペリオールコミックスから「動物のお医者さん」の新装版が刊行され、この間1巻を購入した次第です。

佐々木さんは、下品なネタや恋愛ネタをほとんど描かず、ゆるい群像劇や人間関係のおかしみを描くことで爆笑を呼ぶことに定評のある作家です。

品がありながら、決して冷たい感じではなく、血の通った暖かさをすべての登場人物から感じることのできる稀有な作風は、現実の社会や組織に絶望し人間不信になりかけた人の心をも柔らかく解きほぐす作用があるものかもしれません。

それはまさに、性別も年齢も関係がなくなった、聖書に書いてあるようなイエス様のいう天国に近い空気感といったらいささか言い過ぎでしょうか。

天国はきっとそれよりもすばらしいところなのでしょうね。

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