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介護の言葉㉝アドバイス

 いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます。
 おかげで、こうして書き続けることが出来ています。

 初めて、読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士・公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。


「介護の言葉」

 この「介護の言葉」シリーズでは、介護の現場で使われたり、また、家族介護者や介護を考える上で必要で重要な「言葉」について、改めて考えていきたいと思います。

 時には、介護について直接関係ないと思われるような言葉でも、これから介護のことを考える場合に、必要であれば、その言葉について考えていきたいとも思っています。

 今回は、言葉そのものではなく、その言葉の使い方に関して、考えたいと思いました。

アドバイス

 言葉に対しての感じ方は、年齢とともに、経験とともに変わっていくではないかと思います。

 それは、誰でも共通するようなことだとは感じていますが、私にとっては「アドバイス」という言葉に対して微妙な距離感が出てきました。

 若いときには、それほど抵抗感もありませんでした。

 アドバイスを求めることもありましたが、求められることもありました。今考えると、アドバイスをもらう方が抵抗感があり、求められる時は、頼りにされているようで、なんとなくうれしい思いさえありました。

 それが、歳を重ねると逆になってきました。

 アドバイスを必要とするとき、というよりは、何かわからないときは、誰がこのことに詳しいのか。そうしたことを考えた上で、その前に調べられることを調べてから、その詳しい人に聞くことにしています。

 ただ、その人に迷惑ではないように、と思うと、ためらいが生じたりもするのですが、それでも、聞いた方が得るものが多いので、なるべく失礼がないように訊ねるようにしています。

 それに比べると、アドバイスをください、といって、求められることに対しては、抵抗感が増えてきました。例えば、私自身は介護を始めてから5年、10年経つと、アドバイスを求められることが時々、ありました。

 それは、どんなことでも経験を重ねることによって、人からは知識が増えるように思われるかもしれませんが、自分の経験は、個人的で個別なことにすぎず、それ以外のことはわからないのではないか、といった恐れのようなものを持つようになったのだと思います。

 とはいっても、その頃は、仕事も辞めていたので、介護だけをしていた、なんの実績もない、ただの中年の男性に何かを聞きたいと思う方は、かなり困っているのは間違いないのですから、自分の経験と、その人の状況の共通点を探りつつ、違う点についても考えて、それで、できたら、少しでも役に立つようなことを話すようにしていました。

 それは、自分の言葉などが相手に影響を与えることが、どちらかといえば、少し怖さを感じるようになっていたと思います。

相談業務の常識

 自分が無職で介護をしていたとき、自分だけでなく、他の介護者とも話をしていて、気持ちのサポートをしてくれる人がいれば、ということは共通の感覚でした。

 ですが、自分の知っている範囲内だと、そうした専門家はいないように思えましたので、自分が勉強をして、そうした人になろうと思い、そして、心理の専門家である臨床心理士になろうと考えました。

 そして、臨床心理士になり、公認心理師の資格も取りました。

 約10年以上、仕事をしてきましたが、心理相談やカウンセリングだけではなく、相談業務に関わるときに、アドバイスはしていけない、といったことは、常識のように語られることがあります。

宮藤:今回「カウンセリングに関する誤解」というのでたくさん書いてくださったんですけど、『カウンセリングはカウンセラーがアドバイスをくれるもの』という誤解がある?

N:そうなんです。

宮藤:アドバイスくれるわけじゃないんですね。

N:場合によってありますけど、それが目的ではなく、相談に来てくださった方自らが自分の答えや生き方とか、そういうものを見つけ出すための「お手伝い」をするのがカウンセラーです。

(『TBSラジオ』より)

 このラジオ番組で語っていたのは、臨床心理士の方で、それも私よりもはるかに長い臨床経験を持っていらっしゃる人たちのようでした。ですから、改めておっしゃる通りだと思いましたし、ただ、こうした「アドバイスが目的ではない」といった部分だけが強調されすぎると、場合によっては、相談者との間にあつれきが生まれてしまうのではないかとも思っています。

 このラジオでの会話にもあるように、大事なのは、「アドバイスは場合によっては必要な場合もあるが、それを目的にしてはいけない」といったことであって、アドバイスを頑なに拒むことによって、場合によっては、その相手を突き放すようなことになり、かえって傷つけてしまうこともあることは、実は違うのではないか、とも思います。

 ですから、アドバイスをしない、というのは、こちらの価値観の押し付けをしたり、無意識での誘導を防ぐためには、必要なことだと思いますが、常にアドバイスをしない、ということは、特に困っている方からの要請である場合は、そうした態度だけを徹底するのは、もしかしたら違っているかもしれない。そんなふうに考えてもいいのではないかと考えています。

 これは、介護者や、要介護者を支援される方々にとっても、無縁ではないもしれない、と思って、今回はこのことについて触れました。

 もちろん、この記事自体も絶対的に正しいわけでもありませんが、誰かの力になることは、思った以上に柔軟で臨機応変な姿勢が大事ではないかということも、特に支援職になってからの約10年で思うことが多くなったように思います。


(他にも介護のことをいろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでくださると、ありがたく思います)。

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越智誠  臨床心理士/公認心理師  『家族介護者支援note』
 この記事を読んでくださり、ありがとうございました。もし、お役に立ったり、面白いと感じたりしたとき、よろしかったら、無理のない範囲でサポートをしていただければ、と思っています。この『家族介護者支援note』を書き続けるための力になります。  よろしくお願いいたします。