風花

読書記録として読んだ本などを気ままに紹介していきます。 マイペースで投稿します。

風花

読書記録として読んだ本などを気ままに紹介していきます。 マイペースで投稿します。

最近の記事

『赤ずきんの森の少女たち』白鷺あおい

白鷺あおいさんの『赤ずきんの森の少女たち』を読みました。赤ずきんと名の付くようにグリム童話が物語の鍵を握っています。時代を越えたドイツと神戸の不思議な物語です。 神戸に住む高校生のかりんは従兄の大学生の慧に祖母の遺品の中にあったドイツ語の本を訳してもらい、その物語を一緒に読むことに。そこには19世紀末のドイツの女子寄宿学校を舞台にした物語が書かれていました。赤ずきん伝説の残るドレスデン郊外の森、学校で囁かれる幽霊狼の噂、校内に隠された予言の書と宝物の言い伝え。物語が進むにつ

    • 『猫のお告げは樹の下で』青山美智子

      青山美智子さんの『猫のお告げは樹の下で』を読みました。 タラヨウの樹がある神社にふらっとやってきて、おみくじみたいにお告げの言葉を一枚の葉で落としていく猫、ミクジ。お尻に星のマークがある黒白の猫で、迷える参拝者の前にばかり現れます。この物語では7人の思い悩む人たちの前にミクジが現れ、それぞれに「お告げ」を残していきます。失恋した相手を忘れたい美容師、中学生の娘と仲良くなりたい父親、なりたいものが分からない就活生、残りの人生を静かに送りたい祖父、転校してきた学校にうまく馴染め

      • 本との巡り合わせ

        本屋さんや図書館に行くと、何故か手に取りたくなる本があると思います。タイトルに惹かれるのか作者に惹かれるのか、はたまた表紙に惹かれるのか、理由は様々あると思いますが、その時の自分にとって必要な本が目の前に現れているんだと個人的に思います。 友人におすすめの本を紹介されたりプレゼントされる場合もあると思いますが、その場合もそのタイミングでその本と出会ったことに意味があるのではないかと思います。 どんなジャンルの本に惹かれるかもその時の自分の状況によって変わります。当たり前の

        • note初投稿から1年が経ちました。去年は主に私の読書記録を投稿していましたが、投稿がここ数ヶ月途絶えてしまいました。 今年もマイペースではありますが、また投稿しようと思いますので、よろしくお願いします。

        • 『赤ずきんの森の少女たち』白鷺あおい

        • 『猫のお告げは樹の下で』青山美智子

        • 本との巡り合わせ

        • note初投稿から1年が経ちました。去年は主に私の読書記録を投稿していましたが、投稿がここ数ヶ月途絶えてしまいました。 今年もマイペースではありますが、また投稿しようと思いますので、よろしくお願いします。

          『夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます』イ・ミイェ著、鈴木沙織訳

          今回は海外の文学作品をご紹介します。 韓国No.1ベストセラーで、シリーズ100万部を突破しているという、イ・ミイェさんの小説『夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます』を読みました。 かわいらしい表紙と、帯に書かれた「韓国年間No.1ベストセラー」の文字に惹かれて、海外ではどんな作品が人気があるんだろうと思い、手に取りました。 この物語は寝ている時に見る「夢」がテーマになっています。タイトルにもあるように、夢を売る百貨店が登場します。夢を売るというのがなんとも不思議

          『夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます』イ・ミイェ著、鈴木沙織訳

          『花屋さんが言うことには』山本幸久

          山本幸久さんの『花屋さんが言うことには』を読みました。色鮮やかでかわいい表紙に惹かれてこの本を手に取りました。 この物語の主人公は、ブラック企業に勤める24歳の女性、君名紀久子。紀久子は深夜のファミレスでとある女性と出会います。その出会いがきっかけとなり、その女性が営む花屋でアルバイトとして働くことになります。その花屋には色々な事情を抱えたお客さんがやってきます。色とりどりの花に囲まれながら、色んな想いが詰まった花を届けていくうちに、紀久子は自分の心に向き合い始めます。元々

          『花屋さんが言うことには』山本幸久

          『おしゃべりな部屋』川村元気・近藤麻理恵

          川村元気さんと近藤麻理恵さんが書いた『おしゃべりな部屋』を読みました。 以前、近藤麻理恵さんの『毎日がときめく片づけの魔法』を読んで、片づけの際には「ときめくモノ」を見つけることが大事だと学んでから、その片づけの方法に感銘を受けました。そのこんまりさんが実話を基にした小説を出したということで気になってこの本を手に取りました。 主人公のミコはモノの声が聴こえるという不思議な能力を持っています。片づけの仕事の時には、ミコのお気に入りの小箱のボクスもいつも一緒です。片づけの際に

          『おしゃべりな部屋』川村元気・近藤麻理恵

          『ただいま神様当番』青山美智子

          青山美智子さんの『ただいま神様当番』を読みました。5月10日にはこの文庫本が発売されるそうです。 午前7時23分という時刻に合わせて、坂下というバス停にいつもの5人が集まってくる。そんな朝の風景を起点としてこの物語は展開していきます。OL、小学生の女の子、男子高校生、外国人教師、社長の5人が順番にひょんなことから「神様当番」になってしまうという物語です。 バス停のすぐそばで「おとしもの」と書かれた付箋が貼られたものを拾ったことで、翌朝目覚めると自分の腕には「神様当番」という

          『ただいま神様当番』青山美智子

          『赤と青とエスキース』青山美智子

          青山美智子さんの『赤と青とエスキース』を読みました。今年の本屋大賞で2位を受賞した作品です。 この物語は一枚の絵画をめぐる愛の物語です。日本とオーストラリアが舞台となっています。タイトル通り、赤と青の2色が物語の鍵になっています。各章ごとに赤と青にまつわるタイトルが付けられており、色彩を感じられる美しい作品になっています。 青山美智子さんの作品では、オーストラリアや色をテーマにした作品が他にもあって、私はその設定が大好きで、いつも夢中になって読み進めています。 本の装丁

          『赤と青とエスキース』青山美智子

          『夜は不思議などうぶつえん』石田祥

          石田祥さんの『夜は不思議などうぶつえん』を読みました。石田祥さんの作品を読むのはこれが初めてです。かわいい表紙に惹かれて手に取りました。 物語の舞台は生島動物園。老朽化によりもうすぐ閉園を迎える動物園です。そこでアルバイトとして働く牧野飛鳥がこの物語の主人公。牧野はある日夜勤を頼まれそれを引き受けます。夜勤では職員の不破務と行動をともにすることになります。この不破には実は動物と入れ替わることができるという特殊な能力があり、その秘密を知った牧野は夜間見回りで不破の体を借りた動

          『夜は不思議などうぶつえん』石田祥

          『その扉をたたく音』瀬尾まいこ

          瀬尾まいこさんの『その扉をたたく音』を読みました。瀬尾まいこさんの作品は、去年『おしまいのデート』を読んだので、私にとっては二作目になります。 主人公の宮路はミュージシャンを夢見る29歳無職。ある日演奏のために訪れた老人ホーム「そよかぜ荘」で介護士の渡部のサックス演奏を耳にします。その演奏に聴き惚れた宮路は、その老人ホームに通い始め、入居者たちとも親しくなっていきます。それまで怠惰な日々を送っていた宮路に変化が現れ、新たな一歩を踏み出そうとしていく作品になっています。 大

          『その扉をたたく音』瀬尾まいこ

          『満月珈琲店の星詠み〜ライオンズゲートの奇跡〜』望月麻衣

          望月麻衣さんの『満月珈琲店の星詠み〜ライオンズゲートの奇跡〜』を読みました。先日私が読んだ『満月珈琲店の星詠み〜本当の願いごと〜』の続編です。 今回の物語の舞台は四国。ある親子の素敵なお話です。『満月珈琲店の星詠み』で登場した人物が出てくるので、この第一弾を読んでから今作を読むと、より一層物語を楽しめると思います。 8月の新月に満月珈琲店の三毛猫のマスターのもとを訪れた海王星の遣い・サラ。サラはある人を助けるために、特別に満月珈琲店を手伝うという。 タイトルにある「ライ

          『満月珈琲店の星詠み〜ライオンズゲートの奇跡〜』望月麻衣

          『満月珈琲店の星詠み〜本当の願いごと〜』望月麻衣

          望月麻衣さんの『満月珈琲店の星詠み〜本当の願いごと〜』を読みました。先日私が読んだ『満月珈琲店の星詠み』の続編です。 今回の物語の舞台は2020年の12月。前作に登場した満月珈琲店の三毛猫のマスターと星遣いの店員たちはもちろん、その他の登場人物も何人か登場します。前作との繋がりも今作の楽しみの一つです。 満月珈琲店は満月と新月の夜に現れますが、クリスマスイブにも特別営業をします。  今作では21年前と14年前のある依頼を遂行することになっています。 ちなみに今回の星読みでは

          『満月珈琲店の星詠み〜本当の願いごと〜』望月麻衣

          『満月珈琲店の星詠み』望月麻衣

          望月麻衣さんの『満月珈琲店の星詠み』を読みました。望月麻衣さんの作品を読むのは、これが初めてです。不思議なタイトルと素敵なイラストに惹かれ、この本を手に取りました。 この物語の舞台となるのは、満月の夜にだけ現れる満月珈琲店。決まった場所はなく、気まぐれに現れるというその店では、猫のマスターと店員が働いています。店に訪れた客それぞれに、とっておきのスイーツやフード、ドリンクを提供します。そのどれもが夜空を連想させるとても素敵なものとなっています。本を開いてすぐのページに桜田千

          『満月珈琲店の星詠み』望月麻衣

          『すべての神様の十月(二)』小路幸也

          小路幸也さんの『すべての神様の十月(二)』を読みました。タイトルを見てわかるように、先日私が読んだ『すべての神様の十月』の続編です。 こちらの作品も前作同様、人間と八百万の神々との交流を描いた連作短編集となっています。 『すべての神様の十月』に登場した神様や人物が『すべての神様の十月(二)』にもいくつか出てきます。 この物語に登場する神様たちは現代社会で人間と共に暮らしながら人間の幸せを願っています。そしてどの神様も人間に色んな形で福をもたらしてくれます。あまりイメージの

          『すべての神様の十月(二)』小路幸也

          『おとぎカンパニー』田丸雅智

          田丸雅智さんの『おとぎカンパニー』を読みました。田丸雅智さんの作品を読むのは『1日10分のごほうび NHK国際放送が選んだ日本の名作』という短編集に収録されている「海酒/綿雲堂」以来です。 ちなみに、この『NHK国際放送が選んだ日本の名作』の「1日10分」シリーズは第三弾まで出ており、そのなかでも第二弾の『1日10分のごほうび』が私のお気に入りです。 さて、『おとぎカンパニー』は『白雪姫』『赤ずきん』『マッチ売りの少女』などの名作童話を現代風にアレンジした短編集となってい

          『おとぎカンパニー』田丸雅智