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読書記録「本なら売るほど」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、児島青さんの「本なら売るほど」KADOKAWA/エンターブレイン(2025) です!

児島青「本なら売るほど」
KADOKAWA/エンターブレイン

・あらすじ

ここは、本と人とがもう一度出会い直す場所。ひっつめ髪の気だるげな青年が営む古本屋「十月堂」。店主の人柄と素敵な品ぞろえに惹かれて、今日もいろんなお客が訪れる。
本好きの常連さん、背伸びしたい年頃の女子高生、不要な本を捨てに来る男、夫の蔵書を売りに来た未亡人。ふと手にした一冊の本が、思わぬ縁をつないでいく――。
本を愛し、本に人生を変えられたすべての人へ贈る、珠玉のヒューマンドラマ!

KADOKAWA 公式サイトより引用

秋葉原のアニメイトにて、樫木祐人さんの「ハクメイとミコチ」13巻を目当てに訪れた時のこと。

図書館でハクメイたちが本を探している表紙の隣に、本屋さんの店主と「本なら売るほど」となんとも興味を惹かれるタイトル。

まるで「川口さんに手に取って欲しいのだ」と言わんばかりの面陳列に、迷わずお買い上げした次第。

物語は、古本屋「十月堂じゅうがつどう」の店主とお客さんたちが描かれているのだが、その中心には、必ず本がある。

亡き主人の蔵書を売りに来たご婦人が、寺田寅彦の詠んだ歌を通じて、主人の愛を再認識したり。

映画好きの若者と蔵書・・好きのサラリーマンが、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を通じて仲良くなったり。

アンティーク好きの乙女と粋な・・おばあちゃんが、岡本綺堂の「半七捕物帳」を通じて話し合ったり。

手前味噌ながら、東京読書倶楽部の読書会にも通じるものがある。

同じ本を読んでいても、全く同じような感想は抱かない。同じ文章を読んでも、心に響くところは人それぞれ。

紙の本が好きで、埃くさい古本屋でしか満足できない、そういう人間の行く場所を残したい。

同著 179頁より抜粋

年齢制限を設けずとも、同じ本、好きな本という共通認識を通じて仲良くなれる。

老若男女、本を通じてつながり合う関係性って、やっぱり素敵よね。


第1話「本を葬送おくる」では、生涯独身で亡くなった主人の家財整理。本と共に過ごした住居は、1階・2階と続く本の森。

とても1日で取捨選択できるほどの冊数。十月堂の店主は必死に本を選ぶが、受け継ぐものがいない本は、処分される運命にある。

少なくとも、私が生きている間は蔵書し続けるだろう。いつかは書庫や書斎を作りたい夢もなくはない。

ただ私が亡き後、果たして私の蔵書を引き継いでくれる者はいるだろうか。

おそらく、まとめて資源ごみの日に出されるのがオチだ。川口一族には、本読みはいないものでね(やっぱり私は、荒川で拾われた子なのかもしれない)。

だけど、形見として埃をかぶって残り続けるくらいならば、心ある人に読んで頂いた方が、本にとっても本望ではあるまいか。

例えその人が、本を捨てるにしても、だ。

本読みの心理は複雑なのさ。心ない人に買われるくらいなら、心ある人に捨てられたい。

同著 33頁より抜粋

無論、読むことだけが本の価値ではない。どのように本を扱おうと、持ち主の自由だ。

それでもやはり、どうせなら、本を大切に読んでくれる人に渡したいのは、本好きの性というべきか。

1月に出たばかりの新刊故に、次の単行本はまだまだ先となるが、2巻を楽しみにしている「本好き」なり。それではまた次回!

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川口 竜也 / 川口市出身の自称読書家
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