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現在地を知ることが大きな一歩

メンタルヘルス不調者への対応や、コーチングのクライアントで悩みを抱えている方の話を聞く中で、意識して確認しているのが、その本人の「現在地」である。
多くの場合、うまくいかない、苦しい状態をかえたい、抜け出したいと思っていても、そもそも今の自分がどんな状態なのか、そのスタート地点である「現在地」が曖昧だったりする。なぜ自分が悩んでいるのか、自分がそうとらえるのは自分のどんな信念に基づいてあるのか、そもそも自分はどんな人間なのか…。他人の意見や反応、反射的な感情に目がいき、本当の自分の「現在地」に目を向けられていないことがある。
初めての場所に行った時、正確な地図があっても「現在地」がわからなければ、行きたい場所に辿り着くのは難しいのだ。特にメンタルヘルス不調の多くは、その現在地に目を向けることさえ、意識しているかに関わらず避けていることがよくあると感じる。

「現在地」とは

ここでいう現在地とは、今の等身大の自分である。自分のことは自分でわかっているようで、わかっていないことがよくある。試しに自分の身近な人に、自分の実際、自己評価と他人から評価が乖離することはよくあり、事実や客観的な情報にもとづく評価より、自分自身を大きく評価している人もいれば、小さく評価している人もいる。同じ人でも、過大評価している部分もあれば、過小評価している部分もある。そもそもその評価のズレに気づいていない人もいれば、うすうす気づいているが、明確にしなかったり、認めようとしなかったりすることもよくある。

「現在地」が明確になると

現在地を明確にしたり、それを認めることに、抵抗感を持つ人は多いが、現在地はそのものは、決して悪いものではない。むしろ、ひとにはそれぞれの歴史があり、その人をつくりあげてきたものがある。誰かと比較することなく、当たり前なんて何一つないと思って、等身大の自分を振り返ると、なんだか自分が愛おしく感じてくる。場合よっては、悩んでいたことも、悩みではなくなってしまうこともある。もちろん、現在地と自分が目指すゴールとのギャップも明確になるので、不安や苦痛もあるかもしれない。しかし、明確なギャップは、それへの対応や対策も明確にでき、解決につなげることができる。すくなくとも、不安はその原因が明確になれば、それだけでコントロールがしやすなる。
現状に対する悩みを解決するためにも、さらなる飛躍のためにも、まずは、あなた自身の現在地を明確にしてみてほしい。

る。何が、これを分けるのだろうか。

『私達は世界をあるがままに見ているのではない。
 私達のあるがままに世界を見ているのだ』

スティーブン・R.コヴィー 7つの習慣 人格主義の回復

その人の解釈が反応を変える

同じ事実・場面においても、人によって反応が違う。その人がそれをどう解釈するか、どんなふうに見たかによって、反応は変わる。事実が場面が反応を決めるのではなく、解釈が反応を決めているのだ。そしてその解釈は、人それぞれ異なり、その人が意識しているかに関わらず経験や習慣によって形作られている。さらにこの解釈は、他人や誰かが勝手に決めているものではない。誰でもない、その人自身が決めることができるもので、自分自身でコントロールできるものである。

メンタルヘルス不調者が活躍するために

私は、活躍支援型メンタルヘルス対策を提唱し、メンタルヘルス不調者の活躍支援を行う中で、この解釈をその人自身がコントロールできるかどうかが、復帰後の活躍に大きく関わってくると考える。
メンタルヘルス不調者の場合、多くは自分の解釈ではなく、自分ではコントロールが難しい他人や環境をコントロールしようとして苦しんでいることが多い。自分が解釈していることすら認識していないこともある。だから本人を取り巻く環境や場面をコントロールしても限界があり、コントロールできたとしても長くは続かない。逆に、本人が自分自身の解釈を自分でコントロールできれば、極論すればどんな場面でもストレスをコントロールできる。本人の力で変えていける。
実際、私が出会ってきたメンタルヘルス不調になる方の多くは、この解釈のコントロールに課題があり、解釈をコントロールすることで、本来の力を発揮し、活躍されるようになってきた。

解釈をコントロールするために

メンタルヘルス不調者への対応は改めて解説することとして、今回は、解釈をコントロールするヒントをお伝えしたい。
まずあなた自身が、大きく気持ちが動いた時のことを思い出してほしい。目の前の事実に対するあなたの解釈が、どこからきた(何に基づいていた)のだろうか。そして、もしこの事実が自分にとって、もっとよくなるために生じたものだとしたら、この事実はどう解釈できるだろうか。ほかにも解釈はあるはずだが、それらを考えたうえで、あなたはどの解釈を選ぶだろうか。
ぜひ、少し静かなところで考えてみていただきたい。


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合同会社活躍研究所では、企業向けに活躍型メンタルヘルス対策の導入支援を行っております。ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
<著者について>
野﨑卓朗(Nozaki Takuro)
 
日本産業衛生学会 専門医・指導医
 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教
 日本産業ストレス学会理事
 日本産業精神保健学会編集委員
 厚生労働省委託事業「働く人のメンタルヘルスポータルサイト『こころの 
 耳』」作業部会委員長
 
 「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」

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