読書記録 いやな気分よさようならー自分で学ぶ「抑うつ」克服法(デビッド・D・バーンズ)

いやな気分よ、さようなら コンパクト版 | デビッド・D.バーンズ, David D. Burns, 野村 総一郎, 夏苅 郁子, 山岡 功一 |本 | 通販 | Amazon

認知行動療法の先駆者であり、精神科医であるデビッド・D・バーンズ氏がうつ病の治療の理論や認知行動療法について解説している。うつ病治療は主に薬剤投与が中心だったが、認知(行動)療法の開発により、認知(行動)療法を中心とした心理療法の効果も見直されるようになり、薬と同等もしくはそれ以上の効果を発揮するという報告もある。
この本では、うつ病とはどんなものかを開設したうえで、認知(行動)療法とはどんなものか、そして実際にどんな対応をしていくのかが解説されている。認知(行動)療法に網羅的に解説している一方で、実際のクライアントのやり取りもふんだんに織り込んであり、具体的に理解しやすくなっている。また、この本を読むことで、読者自身が自身の認知について気づき、具体的にどう対応していくのか学ぶことができる構成になっている。
実際、私が関わった事業場では、メンタルヘルス不調で休業している従業員に対して、この本を紹介し、1章づつ読み合わせをし、実生活の課題と照らし合わせながら気づきを共有することで、職場復帰につなげる取り組みをしていたこともあったが、普段読書の習慣がない方でも、少しづつ読み進めて理解をしていくことで、自分を理解し、自分自身で体調をコントロールできるようになっていった。いわば、治療の一環としても位置付けられる本である。メンタル不調者を支援する側がうつ病の治療や認知(行動)両方に関する知識を身に着けるだけでなく、今まさにメンタルヘルス不調で苦しんでいる方にも、ご自身の体調を改善する手段の一つとしておすすめしたい1冊だ。


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<著者について>
野﨑卓朗(Nozaki Takuro)
 
日本産業衛生学会 専門医・指導医
 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教
 日本産業ストレス学会理事
 日本産業精神保健学会編集委員
 厚生労働省委託事業「働く人のメンタルヘルスポータルサイト『こころの 
 耳』」作業部会委員長
 
 「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」


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