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#小説
語られ、語り継がれる者 #第三回お肉仮面文芸祭
「貴方の武勇伝を聞かせて下さい」
冬、個人経営の飲み屋。そのカウンター。
そこには一人の男が背を丸め、飾り気のない白地の徳利を傾けていた。
「俺にか?物好きだな……で、何が聞きたい?」
「スケールの大きな話がいいです」
「スケールの大きな、ね。何を言ってもほら吹き男爵になるが、酒の席さ、いいだろう」
男は振り向きもせず、自身にかけてきた声の求めに答えた。
飲み屋の店主が、素早くカウンターに熱
世紀末お肉バトル伝説 オニクカ・メーン | #第三回お肉仮面文芸祭
勇者オニクカ・メーンの死から五十年後。世界は核の炎に包まれた。海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体は絶滅したかに見えた。しかし、人類は死に絶えてはいなかった――。
「ヒャッハー!」
乾いた空気に野蛮な叫びが木霊する。この物語の主人公はデンガク。彼の故郷であるササミ村は今、恐るべき野盗の群れに襲われていた!
「お許しください! そのお肉は……そのお肉だけは!」
すがりつき、懇願する壮年の男。
『お肉仮面』 #第三回お肉仮面文芸祭
◇
そいつに出会ったのは、部活帰りの夜道のことだった。
部活帰り、コンビニで晩飯前の栄養補給をすませ帰りのバスを待っているときのことだ。何かに見られている妙な感覚を覚えて、俺は後ろを振り返った。
夜道を照らす街頭の下、そいつは静かに立っていた。背格好や服装はいたって普通だった。だけどそいつの顔は鼻も口もなかった。生肉を貼り付けたかのような模様の顔面に、真っ黒い穴が二つ空いていた。
「こ
特殊殲滅官『お肉仮面』「VSスフィアイアン」 #第三回お肉仮面文芸祭
🥩🥩🥩
引戸が開かれる。
よく冷えた外の空気が入り込む感覚に、銅鑼焼き店『浄土屋』の老店主は顔を上げた。
「……お、いらっしゃいま――ああ、お前か」
「お前か、じゃねえよ。接客中だろ? ちゃんと敬語使えよ」
「どうせお前しか来ないから良いんだよ――『電楽サロン』」
「お客様は神様だぞ?」
「何様だよ、人間の癖に」
申し訳程度にスローテンポな和の音楽が流れる店内、銅鑼焼きを陳列したショ