『お肉仮面』 #第三回お肉仮面文芸祭
◇
そいつに出会ったのは、部活帰りの夜道のことだった。
部活帰り、コンビニで晩飯前の栄養補給をすませ帰りのバスを待っているときのことだ。何かに見られている妙な感覚を覚えて、俺は後ろを振り返った。
夜道を照らす街頭の下、そいつは静かに立っていた。背格好や服装はいたって普通だった。だけどそいつの顔は鼻も口もなかった。生肉を貼り付けたかのような模様の顔面に、真っ黒い穴が二つ空いていた。
「こいつはヤバいやつだ」という直感が働き、俺はそいつに背を向けて逃げ出した。部活やってるときでもなかなかなかった反応速度だったと思う。
少し走って、後ろを振り向いた。そいつはもう消えていた。俺はゾッとして、隣のバス停まで全力疾走してしまった。
◇
「こないだ拓海が言ってたのって、これじゃない?」
そう言って可南子が見せてきた本には、確かにこのあいだ俺が見たヤツのことが書かれていた。
「ああ、こいつこいつ。このあいだ会ったやつ。間違いねーわ。お肉仮面っていうのか、まんまじゃねーか」
「え、マジなの? ヤバ」
可南子はそう言って笑った。可南子の笑い顔は人に伝染る類いのものなので、つられて俺の頬もゆるんでしまう。
「マジで見てるだけなの?」
「わかんね。すぐ消えちまったから」
「ふーん」
可南子は本を閉じて、食べかけのパフェの容器を手に取った。
「ねえねえ。こういうのってさ、シュッパンシャとかに持ってったらお金とかもらえるのかな。ほら、『貴重な目撃ジョーホーありがとうございます』とか言われて」
「知らねえけど、『見ました』って話だけじゃ金払ってくんないでしょ。ショーコがねえもん」
「そっか、ショーコかあ。じゃあ、次会ったら動画撮っとかなきゃじゃん」
「え、普通に嫌だし」
「なに、ビビってんの? カッコ悪う」
意地悪そうにニヤニヤ笑う可南子。そんな可南子にムカついて言い返そうとした俺は、なぜだかわからないけれど何も言えなくなってしまっていた。そのとき急に、「お肉仮面」の姿が頭の中に思い浮かんできたからだ。
頭の中のそいつは、黒い目で俺を見ていた。何もせず突っ立ったままで、俺のことをただ見ていた。その目が俺を、飲み込んでしまいそうな気がしてくる。
俺はお肉仮面の目を、真っ暗な穴のような目をのぞきこんだ。
お肉仮面も俺を見つめ、小首をかしげた。
やがて俺は、お肉仮面に
「ねえ」
「ひっ」
俺は、可南子の呼びかけに大げさに反応してしまった。
「ウケる、なにそのリアクション……ちょっと大丈夫? なんか顔色ヤバいよ」
「え? あー、うん大丈夫ヘーキヘーキ」
嘘だった。ちゃんと冷房の効いた店だったのに、俺の背中は汗まみれになってしまっていた。冷たい汗だった。
「あ、もうこんな時間。バイト行かなきゃ」
「お、おう。帰り遅いんだろ? 気をつけろよ」
「え、なに? 急に親みたいなこと言って。えー、もしかしてあたしもお肉仮面に会うんじゃないかって心配してる?」
「……んなわけねーだろ」
嘘だった。
◇
俺が次にお肉仮面に会ったのは、それから一週間ほどたった頃だった。
一週間もすると、さすがに恐怖も薄れてしまっていた。そのかわりにお肉仮面への怒りがわいてきていた。無駄にビビらせやがって、という自分勝手な怒りだ。もしまた会うことがあったらパンチの一発でも叩き込んでやろうぐらいに考えていた。
そんな考えは、お肉仮面と出会った瞬間に吹き飛んでしまった。
お肉仮面は、最初に出会ったときと同じように、暗がりでただ立っているだけだった。生肉模様の顔、そこに空いた黒い穴のような目で、なにをすることもなくただじっと俺を見つめていた。
「……なに見てんだ、てめえ!」
俺は脅すつもりで叫んだ。右手を強く握りしめる。近づいて、ヤツの顔面に一発……。
近づいて?
握った拳に、さらに力が込もった。そうしたくてしたわけじゃないことが自分にもわかった。
お肉仮面は何もしない。ただ俺を見ている。そして小首をかしげた。
「なんなんだよ! なんか言いやがれよ!」
俺はまた叫んだ。声が上ずっていた。なんだ? 俺は何をこんなにビビってるんだ? こいつは別に、俺に何かをしようって感じでもないのに。
お肉仮面は何も言わない。
俺は混乱していた。頭の中で叫んでいた。ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう。
こいつ、なんでこんなに嬉しそうなんだ?
……嬉しそう? 嬉しそうって、なんだ?
頭の中に浮かんだ言葉に、俺はますます混乱させられていた。だけど、そのときの俺はたしかにそう感じていた。こいつ、なんでこんなに喜んでいるんだ、と。
ほんの一瞬、視界が暗くなり、意識を失いそうになる。
なんとか持ちこたえたときには、お肉仮面は姿を消していた。
「……くそっ」
俺はそう吐き捨てて、頭を振った。こめかみのあたりが脈打っているのがわかった。気分が悪い。
ふと、自分がずっと右手を握りしめたままであることに気がついた。あまりにも固く握りすぎて、硬い石のようになっていた。
ゆっくりと指を開けていく。
爪が手のひらに食い込んみ、血がにじんでいた。
なぜだか、手のひらの血から目が離せない。
もう一度、手を握りしめ、また開いた。手のひらの血がランダムな模様を描いていた。
模様がまるで、生肉のように見えると思った。
◇
夜、外を歩けなくなっていた。自分でも不思議なほど、あの「お肉仮面」とかいうやつを恐れてしまっていたからだ。たった二回、出会っただけだというのに。
でも、それはおかしなことだ。あいつは確かに気味の悪い姿をしたやつだ。だけどそれだけだ、ただ気味が悪いだけだ。あいつになにかされたわけじゃあない。あいつはただ立って見ているだけだ。本当にそれだけだ。
なのになんで、俺はこんなにもあいつのことが恐ろしいのだろうか?
何もわからなかった。ただただ、恐ろしいという思いだけがどんどん膨らんでしまっていた。抱え込みきれなくなるほどに。
それからが地獄だった。
一週間後、お肉仮面は三たび俺の前に現れた。その時も俺をただ見ているだけだった。
次は五日後だった。その次も五日後だった。二回とも真昼間、堂々と俺の前に姿を現した。
そしてその次は三日後だった。可南子や友人たちと一緒に下校しているときに現れた。俺以外の連中には、まったく見えていないようだった。
このままじゃマズイ。そう思った俺は、お肉仮面の話が載っているという本を可南子から借りた。たいしたことは書いてなかった。俺は近所の図書館や本屋やらをめぐったり、インターネットで何時間も検索してみたりした。
何一つ、役には立たなかった。
「お肉仮面」。生肉模様の仮面を被った怪人。基本的には何もしてこず、ただこちらを見ているだけである――何を見ても、決まって同じようなことしか書いていなかった。正体も、どうすればいいのかも、何もかもが謎に包まれていた。
気が狂いそうだった。
そんなとき、俺は可南子から借りた本の著者がSNSをやっていることを知った。この人ならなにか知っているかもしれない、本に書けない、書いたらヤバイような裏側のことまで――かすかな希望を持ち、俺はその人にDMを送ってみた。
俺は昔からそうだったが、文章を書くのが本当に下手だ。だから俺が送ったメッセージは、めちゃくちゃ読みにくかったはずだ。
だが、送って数時間後にはえらく丁寧な返信が来た。そのことにまず驚いた。数度のやり取りのあと、直接会って話をしようということになった。あっという間の出来事だった。
◇
「……ええと、『たくみん』くん? はじめまして、ジャーナリスト兼都市伝説研究家の『白ウルリ』です」
「……あ、は、はじめまして」
待ち合わせ場所のファミレス前にやってきたのは、眼鏡を掛けた長身の若い女性だった。176cmある俺よりも、頭一つ分ぐらい背が高かった。
「……女の人、だったんスね。SNSのアイコンがあんなだからてっきり」
「あれはねえ、魔除けみたいなもんです。ネットにはこっちが女だとわかった途端に礼儀や品性や常識が消し飛んでしまう、とっても頭の残念な人達が多いんですよねえ」
俺は『白ウルリ』さんのアイコン、目力の強い色黒のおっさんが笑みを浮かべているイラストを思い出していた。目の前のこの人とは、何もかもが正反対だった。
「さて、こんなところで立ち話も何だし、まずは店に入りましょうか。話の内容次第では、お姉さんが全部奢ってあげますからねえ」
「さて、と。それじゃあもう一度、最初から詳しく離してくれませんか。君が目撃した『お肉仮面』のこと、それから、お肉仮面のせいで君がどうなってしまったのかも』
俺は話した。他人に説明するのはめちゃくちゃ苦手だったが、必死に話した。『白ウルリ』さんは手元の手帳にときどき何かをメモしながら、そんな俺の話をしっかりと聞いてくれていた。
「……って感じっス。すんません、話が下手くそで」
「そうですねえ、面接試験なら一発で不合格でしょう」
「そっスよね」
『白ウルリ』さんは軽く笑うと、俺の目を覗き込んできた。
「だけど、だからこそ伝わるものがあります。君の必死さも、そして君の話したことが真実だということも」
「……マジっスか」
「マジです。思ったとおり『当たり』だった」
「……『当たり』?」
店員が二人の分のコーヒーを運んできた。
「この仕事をしていますとねえ、まあ色々なお話が耳に入ってきますし、耳に入れてくる人も多いんです。みんな、本当に『不思議なこと』『おそろしいこと』が大好きなんだなあ、とつくづく思い知らされます。でも残念なことに、そうやって集まった情報の99%は全く価値のないゴミなんですよ、ゴミ」
『白ウルリ』さんはコーヒーに口をつけず、スプーンでぐるぐるとかき回し続けてる。コーヒーの表面が黒い渦になる。
「迫真さがない、真実味がない、面白くない。ないない尽くしのお話ばかりなんですねえ。まあ、そんなことばかり言っていると書けることが無くなりますから、本にはちょっとマシ程度のゴミもバンバン載せてますが」
コーヒーが渦を巻く。
「でも、残った1%。これはホンモノです」
「ホンモノ……」
コーヒーが渦を巻く。
「そ。本物の、とっても不思議で、とってもおそろしいことです」
とても不思議で。
とてもおそろしい。
「……俺のこれが、そうだって言うんスか」
『白ウルリ』さんは微笑むだけで答えず、かき混ぜるのを止めたコーヒーカップを口元に運んだ。
「正直に言うと、お肉仮面に関しては何もわかりません。本に書いた時点では、どちらかと言えばアレは『価値のないゴミ』のほうでしたから。だからあんまり突っ込んだ情報収集はしていません……今となっては、私の眼は節穴だった、と言うしかありませんが」
『白ウルリ』さんが、こちらに身を乗り出してきた。
「だからこの先、君に何が起こるのか、そして君がどうなってしまうのか……私にはわかりません」
そして、俺の手に何かを握らせてきた。
俺は、手のひらのそれを見た。小さな、ちょうど手の中に収まるサイズの人形だった。頭と胴体だけの、太めのマッチ棒のような形をしていた。その顔には、目力の強い、笑う男の絵が描かれていた。
「この顔って」
「言ったでしょう。それは魔除けです。厄介なものを遠ざけるお守り。もちろん、残り1%のほうですよ」
『白ウルリ』さんは俺を安心させるかのように、静かに微笑んだ。
「とはいえ、それでなにかが解決するというわけではありません。私のほうでも『お肉仮面』について調べてみます。幸い、こういうことに詳しい知人が結構いますから」
「お、お願いします!」
声が上ずってしまった。そんな俺を見て、『白ウルリ』さんは小声で何かつぶやいた。
「え? 今なんて」
「内緒です」
『白ウルリ』さんは立ち上がり、伝票をつかんで歩き出した。俺は慌てて後を追った。
◇
魔除けは効いた。
お肉仮面はその後、俺の前にまったく姿を現さなくなった。三日たち、五日たち、一週間たち、ひと月たち、そして季節が変わり始めても、だ。
『白ウルリ』さんからは、定期的に連絡が来ていた。だけど、その文面は毎回ほとんど同じだった――「特に進展なし。引き続き調査する」。
俺は正直、このまま何もかもなかったことになるんじゃないか、と思っていた。
『白ウルリ』さんと会って、半年ほどがすぎていた。
俺はもう、そのころには「お肉仮面」のことを忘れかけていた。いや、忘れてしまおうと努力していた。
もちろん、完全に忘れ去ることなんてできない。俺の首には今も、紐をつけられた魔除けの人形がネックレスのふりをしてぶら下がっていた。飯食うときも寝るときも風呂に入るときも、可南子や他の女の子とヤるときですら外さなかった。
だけど、もう怖くはなくなっていた。そうすると今度は「なんでだよ」という気持ちが生まれてくる。どうして俺は、お肉仮面のことをあんなにも怖がっていたのか。俺はお肉仮面のどこを、あんなに怖がっていたのか。
答えは出なかった。出るとも思えなかった。だから俺は、それ以上考えないようにした。
1年が過ぎた。
もうすっかり暗くなっていた部活の帰り道、スマホが音を立てた。『白ウルリ』さんから久しぶりにメッセージが届いた合図だった。スマホをのぞき込み確認する。ひどくあっさりとした文だった。
『すみません。時間切れです』
俺はゆっくりと顔を上げた。目の前の道、街灯の照らす場所に奴が立っていて、こちらをじっと眺めていた。
心臓が、運動した直後のように激しく脈打ち始めた。汗が止まらない。俺は無意識のうちに、首から下げた人形を胸元から取り出し、ぎゅっと握りしめた。
乾いた音がした。
それは、聞こえてはいけない音だった。俺は小さく震えながら、握りしめた手をゆっくりと開いた。
人形の、首が折れていた。
息が荒くなる。恐ろしい気持ちが一気に膨れ上がってくる。なのに、俺は、本当に、心の底から嫌だったはずだったのに、なぜか俺は、顔を上げて、奴を、お肉仮面のほうを見た。
見てしまった。
お肉仮面は俺を黙って見つめていた。小首をかしげ、そして今までしたことのなかったことをした。
手招きをした。俺を呼んだのだ。
呼ばれた俺の体が、俺の心とは関係なく勝手に動きだす。お肉仮面に近づいていく。お肉仮面は振り返り歩き出す。俺は、俺の体は、それについていく。俺は恐怖でおかしくなりそうに……いや、もう俺はおかしくなってしまったのかもと思った。
しばらく歩いた先には、一軒の家があった。お肉仮面は玄関の扉に手をかけ開くと、俺を振り向いた。黒くて丸い、小さな穴のような目が、俺を見つめてくる。
俺は家の中に入った。ごく普通の廊下をとおり、ごく普通のリビングルームへと足を踏み入れた。
そこにはお肉仮面が、いや、お肉仮面たちがいた。たいして広くはない部屋の中に、十人以上のお肉仮面が突っ立っていた。そいつらは俺が部屋に入った途端、一斉に俺を見た。小さな黒い目で俺を見て、一斉に小首をかしげた。
俺は
俺はわかってしまった。こいつらは、喜んでいるのだと。
自分たちに気づいてくれる人間がいたことを、自分たちを見ることができる人間がいたことを、心の底から嬉しく思っているのだ。
そして、できれば。
お肉仮面の一人が、俺に向かって手を伸ばしてきた。
その手には、仮面が握られていた。生肉模様の仮面が。
俺は、そうすることが当たり前だと思い、仮面を手にした。生温い仮面だった。少し脈打っている気がした。
俺はためらうことなく、仮面をつけた。
俺はわかってしまった。
俺は、お肉仮面になりたかったんだと、わかってしまった。
だからあんなに怖かったんだ。こんな奴らになりたがっている自分が、恐ろしかったんだ。
だけど、もう恐れる必要なんかない。ないんだ。
お肉仮面たちが、お肉仮面となった俺の顔をのぞき込んでくる。
お肉仮面となった俺も、そいつらの顔を見返す。
ああ、楽しい。お肉仮面は本当に楽しい。おかしな話だ。なんで俺は、こいつらと同じになることをあんなにも怖がっていたんだろうか。
なんでだろうな。
まあいいか。
そんなことよりも。俺はあることに気が付いた。こんなにも楽しいこと、俺が独り占めしてしまって大丈夫なんだろうか。いや、それはダメだろう。みんなにも教えてあげないと。まずは、俺たちに気が付ける人を探そう。俺たちが見える人を探そう。
そして、できれば。
俺は嬉しくなって、思わず笑いそうになった。笑い声は出なかった。そのことが面白くってしかたなかった。心の中が楽しいことばかりで埋め尽くされていくのがわかった。
◇
「そういうことだったんですねえ」
木彫りの人形を机に放り投げ、暗い部屋の中で女はひとりごちた。小さい椅子に窮屈な感じで座る、背の高い女であった。
なにかがはじけるような音がする。もう一つの人形とのつながりが、完全に切れた音であった。
「ああ。なり終わっちゃいました、か」
女は天井に目をやる。机上を探り、お目当てのものを探し当てた。一本取り出し、火をつけ吸い込んだ。ぼんやりとした煙が、天井まで昇っていく。
「それにしても、最後は本当に楽しそうでしたねえ。人形越しでも伝わってくるなんて、相当な多幸感に包まれていたみたい……」
――それがきっと、お肉仮面のやりかたなのだろう。奴らが仲間を増やしていくときのやりかた。
お肉仮面はまず、自分たちを認識することのできる人間を探す。そして、その人の心に欲求を植え付ける。「お肉仮面は楽しいよ」「お肉仮面になりたいな」という欲求を。たぶん、ほんの少し社会からはじかれていて、ほんの少し今の自分に不満がある、そんな人物の心の中に。
植え付けられた人間は、きっと強く抵抗することだろう。自分が人とは異質な存在になりたいと願っている、その事実に恐れおののいてしまうことだろう。きっと必死で抗ったに違いない。
もちろん、欲求に身を任せてしまう人もいるだろう。いや、たぶんそっちのほうが多かったのではないか。
なにせ、ほとんどの人間は、欲求の奴隷でしかないのだし。
「ふ」
失笑が女の口から漏れ出した。
「欲求の奴隷。耳が痛い言葉です。今の私がまさにそうですからねえ」
――ずっと調べてみたが、何もわからなかった。誰に聞いても要領を得なかった。女は、業界の先輩の一人が言った言葉を思い出す。
ホンモノには関わるな。
でも、もうそんなわけにはいかなかった。どんな小さなことでもいいいから、「お肉仮面」について知りたかった。その知識欲は止められなかった。
だから、最後の手段を取らざるを得なかった。
彼に「お肉仮面」に会ってもらい、なってもらうしかなかったのだ。
◇
【完】