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2023年9月の記事一覧

小さな仏像を手元に置いてみる

小さな仏像を手元に置いてみる

美術館で個人的にあまり見ずにスルーしてしまうのが仏像エリア。
しかし歴史が非常に長く、人々の生活に深く関係していたであろうこともまた事実。
「バガボンド 著:井上雄彦」という宮本武蔵を描いた漫画では武蔵が木の仏像を彫っているシーンもありました。(実際にも彫っていたようで不動明王立像が残っています)
刀や鐔にも南無阿弥陀佛と彫られたり描かれた物は多く、当時の武士の信仰を表している様子も見て取れます。

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刀の茎と鉄鐔をマイクロスコープで比較して時代推定が出来るのか?

刀の茎と鉄鐔をマイクロスコープで比較して時代推定が出来るのか?

鉄鐔は古墳時代から見られ、その後なぜか鎌倉時代や南北朝時代の鉄鐔は現存品がほぼ無いとされ(山銅が主流に)、室町時代になりいわゆる古刀匠鐔と言われる薄造りで簡素な物が登場して、次に少し手の込んだ古甲冑師鐔と呼ばれる物がほぼ同時期に登場すると考えられているようです。
つまり古墳時代から室町時代の間の鉄鐔がポカンと無い事になります。
と言っても古墳時代の物は埋蔵されていたからこそ現代に残っているのかもし

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鎌倉時代の刀の茎をマイクロスコープで観察

鎌倉時代の刀の茎をマイクロスコープで観察

刀の茎は時代を感じる事の出来る箇所であり、長い年月をかけて付いた黒錆は見た目も美しければ触り心地もまた軟らかくしっとりとしていて気持ちが良いものです。

鉄鐔は年紀が入っていない事や、江戸時代に沢山の古鐔写しが製作された事などから年代推定は難しいものの、刀は銘や年紀のあるものもあり、茎を見る事で鉄の経年変化をある程度正確に知る事の出来る貴重な部位であるように感じます。(但し後世に錆び付けされた物も

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石の日本刀アート

石の日本刀アート

先日刀装具を探しに銀座にある「盛光堂」さんを訪ねた帰りに、せっかくなので近くにあるGINZA SIXへ寄ってみる事に。

個人的にGINZA SIXといえば6Fにある蔦屋書店さん。
ここでは無鑑査刀匠である河内國平さんとその一門の方の刀が販売されているほか、アクセサリーや刀剣本(古書含む)、根付なども販売されており、私もお気に入りの場所の1つです。
近くにスタバがあり休めるのも良いです。

いつも

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光村コレクションの「光村利藻」とはどんな人か?

光村コレクションの「光村利藻」とはどんな人か?

現在、根津美術館にて「企画展 甲冑・刀・刀装具 光村コレクション・ダイジェスト」が10/15まで行われています。(事前予約制)

これは実業家で根津財閥の創始者である根津嘉一郎が、明治の実業家であった光村利藻(としも)の刀や刀装具コレクション3000点以上を実物を見る事なくまとめ買いするというパワープレイした物の中から展示されているようです。
今回の企画展では光村利藻のコレクターとしての一面や、利

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金家鐔にも見る「達磨」という人物について

金家鐔にも見る「達磨」という人物について

「達磨」というイヤリングをした坊主が金家の鐔や安親や岩本昆寛の小柄などをはじめ、宮本武蔵なども多々描いているのを見ます。
この達磨という人物、果たして何者なのでしょう?
気になったので調べてみました。

①達磨の生涯について日本では聞いた事の無い人はいないであろう「ダルマ」。

その由来になった人こそが実はインドの「達磨」という高僧で、禅をインドから中国に広めて大成させた中国禅宗の開祖だそうです。

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現代刀の偽物が出回っているようです

現代刀の偽物が出回っているようです

虎徹の刀が100振あったら本物は1振と言われるように、長い歴史の中で偽物も沢山作られてきたのが日本刀ですが、昔の刀に限らず現代作られている存命の方の作まで偽物が出回っているようで、先日以下の注意喚起が飯田高遠堂さんのサイトにアップされました。

どうやら無鑑査刀匠(現代刀匠の最高位)の河内國平さんの贋作が出回っているようです。
明らかな贋作銘は以下3点が現状確認されているとの事です。

無鑑査刀匠

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防犯用に刀なり槍を探そうか

防犯用に刀なり槍を探そうか

※9/15追記 このブログは防犯目的で刀を買う事を推奨するものではありません。
※9/22追記 刀の購入はあくまで鑑賞目的や武道での使用のみとし、防犯目的での購入はやめましょう。

少し前のルフィ事件然り、日々飛び交う強盗ニュース然り、最近徐々に物騒な世の中になってきているのを実感します。

最悪殺せばいい、こんな考えを持った人達が勝手に家に押し入ってきて手段を選ばずに金品を盗っていく。
身勝手な

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魚々子打ちの難しさについて

魚々子打ちの難しさについて

個人的に「現代の石黒」と言っても過言ではない程の超絶技巧でいつも驚嘆させてくださる個人的にも凄く推している(応援している)彫金工の方がいらっしゃいます。

辻本啓さんという方で、主に時計やナイフなどに彫金を施す仕事をされているのですが、少し前より刀装具の製作も始められたようで、初めての作品がもはや初めての製作と思えない程の完成度の高い作品で、細部まで作り込まれており一言で言えばとんでもない人が出て

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銘に十字架を持つ刀

銘に十字架を持つ刀

1549年(天文18年)フランシスコ・ザビエルが日本に上陸。
キリスト教を日本で布教して以降、多くの人が入信しました。
1612年と1613年(慶長17,18年)に江戸幕府が禁教令を出しキリスト教が禁止されるまでの間、キリスト教と共に入ってきた西欧の芸術や文化は日本の工芸品などにも影響を与えたといいます。

そしてキリスト教が禁止された後も信者は隠れてキリスト教を信仰していました。その人達を隠れキ

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鐔の所載品は意外に見ない

鐔の所載品は意外に見ない

鐔だけが載った本は刀の本同様に沢山あり、沢山あるという事はそれだけ沢山の鐔が掲載されているという事でもあるが、掲載された「所載品」の売り物の鐔はなぜかあまり見かけない。

例えば以下の2冊だけでも1300品近くの鐔が掲載されています。

他にも数えきれないほど本が出ているので、所載品は3000以上はあるのではないかと個人的に見積もっているが、それにしてはなかなか見ない。
刀も別に押形が所載されてい

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古埋忠這龍目貫と埋忠就受

古埋忠這龍目貫と埋忠就受

埋忠の鐔は沢山あれどなぜか埋忠の目貫となると途端に少なくなる。
それでも江戸埋忠など、江戸前中期の作になると埋忠就受(1641~1729年)のように在銘目貫もあるが、明寿と同時期、もしくはそれ以上に時代の上がる埋忠の目貫はまず在銘品を見る事が無く、全て極めに頼る事になっているのが現状(確たる物が無い状況)ではないだろうか。
そして鐔においても明寿の作と、古埋忠の作では見た感じの印象もだいぶ異なる気

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刀の伸びしろ

刀の伸びしろ

最近改めて刀を見て感動する事が増えてきた。
単にそういう時期なのかもしれない。
どうやら自分の中でも刀装具だけを集中的に見たい時期と、刀だけを集中的に見たい刀ブームの時が交互に来るようである。
その都度欲しくなるのが辛い所ではあるが…。

そんな折、もう2年も前に買った刀であるが見れば見るほどに良い刀であるように感じる。

この刀を買った時に感じた第一印象がどんなものだったか、残念ながら今はもう覚

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