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刀の伸びしろ

最近改めて刀を見て感動する事が増えてきた。
単にそういう時期なのかもしれない。
どうやら自分の中でも刀装具だけを集中的に見たい時期と、刀だけを集中的に見たい刀ブームの時が交互に来るようである。
その都度欲しくなるのが辛い所ではあるが…。

そんな折、もう2年も前に買った刀であるが見れば見るほどに良い刀であるように感じる。

この刀を買った時に感じた第一印象がどんなものだったか、残念ながら今はもう覚えていない。
覚えているのは展示即売会でショーケースの端の方に並んでいたこの刀を何となく手に取らせて頂いた事と、備前物を探していたのに山城物を買ってしまっていた事、別日に最低3回は見てから買うというマイルールを破りその日に購入を即断してしまった事、という事くらい。
当時この太刀のどこかに魅力を感じて購入したのは間違いないが、一体どこに一番魅力を感じていたか。
区は少し送っているものの優美な生ぶ姿だったか、それとも地景だったか。

しかしマイルールを破って購入を決めたその後に購入希望の人が現れたとも聞くので(セールストークかもしれないが)そのタイミングで購入を決めていなければ手元に来なかった可能性もある。
「刀に呼ばれて買った(刀に買わされた)」というと聞こえが良いかもしれないが、まさにそんな事象であったのかもしれない。


しかし今思うのはこの太刀は手元の他の刀と比較しても買ってからの伸び代が1番大きい刀であったように思う。
伸び代というのは特保が特重になったとかそういう話ではなくて、気持ちの満足度の伸び代である。
見る度に自分の想像を超えて新しい魅力を発見させてくれるような、噛むたびに味が出てくるガムのような、何なら途中で味の変わるような…そんな「期待値の振れ幅が大きい物」とでも言うべきか。

抜群に良い刀はあらかじめ抜群に良いと思って相応のお金を出して買うのであって初めから期待値も高く、購入後の伸び代がそこまで大きくならないような気もする。
この太刀に期待していなかったわけでは勿論無いが、今手に取った時に見せてくれる様相は実に奥深いものがあり、恐らく購入当時以上に今感動させてもらえるのはやはり良い刀だからだろう。

こうした自分の中で伸び代のある刀は貴重に思う。
しかしこの伸び代は買ってから時間が経たないと分からないのでなかなか購入時に判断するのが困難な所がむず痒い所でもある。
また購入時に舞い上がるような気持ちを抑え冷静さを保ちつつ購入を決める勇気があるのかというのもまた大きな問題で、やはり刀購入はなかなか難しさを感じます。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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