【厳然たる事実に立ち向かえ】ウィルトンズサーガ第3作目『深夜の慟哭』第36話
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鋭く、蒼白い稲妻が、白い骨の杖の先から三本走る。呪われた野犬に向かって。三本はそれぞれ犬の頭部に当たる。難なく敵を倒すことが出来た。
黒い野犬の死体が、青灰色の岩の上に転がる。息絶えて、もう身動きしない。
三つ頭に六本の尾の犬は、その黒い巨体で迫りくる。ゆっくりと、ではないが、それほど速く走ってもいない。今はウィルトンの目にもはっきりと、開いた口の牙まで見える。
真ん中の犬の頭が、いっそう大きく口を開ける。炎だ。炎が吐かれる。ウィ