【厳然たる事実に立ち向かえ】ウィルトンズサーガ2作目『深夜の慟哭』第21話
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あくる朝。ウィルトンは先に目を覚ました。起き上がり、客間の隅にある洗面台に寄る。洗面台は、煉瓦造りの台で、大きな陶器の器が乗せられており、なみなみと水が入れられていた。台の上は広く、陶器の器の側に、大きなやはり陶器で出来た水入れが三つも並んでいる。
「おお、この陶器は立派なもんだ。きれいな絵が描かれているな。小さな黄色い野の花と葉っぱの絵だ。華やかな薔薇や百合より、質実で可憐だな」
ウィルトンは、用意されていた歯磨き枝を手に取り、歯を磨