長過ぎるモラトリアム
私は、一九九八年よりインターネットの世に身を投じたが、そのたびに「ハンドルネーム」を選ぶ煩悩に悩まされてきた。X(旧ツイッター)やFacebookなど、自己紹介やアイコンの設定に際し、幾度となく「我は何者か」と問わずにはいられなかった。さながら、何度も新しい名を与えられる神話の登場人物のように。
二十一歳より二十九歳まで精神科の世話になり、以後、行政により「精神障がい者」と認定された。福祉の恩恵を受けられるようになったその頃より、我が身の立ち位置が徐々に定まらぬ感覚に苛まれて