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【生活指導】中学校での”成長”とは?〜鳥の例え〜

小学校を卒業し、中学校に入学してきたばかりの生徒たちは、その違いに驚きます。

中には新たな環境に適応しきれずに学校に来られなくなってしまう子も。

中1ギャップと呼ばれるこの問題ですが、どうすれば解決できるのでしょうか?

中学校のシステムを小学校に寄せて、ギャップを小さくするという方法も考えられますが、私はあまり賛成できません。

なぜなら、それをすると今度は高1ギャップ、大1ギャップ、社会人1年目ギャップが生まれ、教育や求める成長のレベルをどんどん下の年齢に合わせないといけなくなっていくと思うからです。

〈私の考え〉

ではどうするべきか? 私は、小学校と中学校の役割の違い、目指す「成長」の違いを明確に伝えることが大切だと思っています。

小学校は体や心を大きくする時期で、基本的には自由にのびのびと、たくさんの「成長=個人の力の拡大」が促されるような教育をします。

ですが中学校は個人の力の拡大よりも、自立することや社会の一員となることに重きを置きます。

なので、自由にのびのびと過ごす時間や、優しく丁寧に面倒を見て貰える機会は減り、自分で自分をコントロールすることやルールを守ること、集団での役割を果たすことなどが求められるようになるのです。

〈私の工夫〉

 私は生徒が中学校に入学して間もない時期に、鳥の成長の話をします。

鳥の成長には、①卵→②雛→③幼鳥→④成鳥の④段階があります。

①の間は親鳥が優しく温め続けてくれます。

②になると親鳥は餌を取るために巣から離れることもありますが、せっせと餌を運んできて、それを食べさせてくれます。

③になると親鳥が餌を運んできてくれる機会は減り、親鳥を見て飛び方や餌のとり方を学び、自分でやらないといけなくなります。

飛ぶ練習をしているときには、高いところにある巣から落ちてしまうこともあります。

そうして自立し④になると、自由に空を飛べるようになるのです。

人に当てはめると、①は就学前、②が小学校、③が中学校、④が義務教育以降でしょう。

中学校に入ると、餌を運んでくれる=優しく面倒を見てくれることは減り、自分で自分の面倒を見ないといけなくなる。

最初は見捨てられたようにも感じるでしょう。でもそれは、社会に出たときに自分で自由に飛び回れるだけの力をつけるために必要なことなのです。

この話で小中学校の役割の違いを理解した生徒たちは、ギャップに苦しむことはあっても、頑張ってついてきてくれます。

もちろん、巣から落ちて怪我までしてしまった生徒には、餌を届けてあげることもありますが。

ちなみにこの話、保護者会でも伝えます。

③に差し掛かった生徒たちは、自分でやろうとすることが増えます。

時には巣から落ちてしまうなど、危なっかしく思えることもあります。

ですが、そうして自分で飛ぶ方法を学んでいるのです。助けてやってしまったら、自力で飛ぶ方法を覚えられません。

だから、危なっかしく見えても見守ってあげて下さい。どうしても助けが必要なとき以外は、見守るだけにしてあげて下さい。

このように伝えます。どれほど効果があるかはわかりませんが、過保護すぎて自立できない、という家庭は減ったように感じています。

〈まとめ〉

もちろんこれだけで中1ギャップがすべて解決するわけではありません。

カウンセリングのようなメンタルケアや、人間関係の調整も必要でしょう。

厳しすぎるルールの見直しや、力任せの生活指導を改めていくことも必要だと思います。

ですが、そもそも小学校と中学校は役割が大きく違うんんだということを理解させることも、同じくらい大切なことではないでしょうか。

これを知って初めて、その段階にあった成長ができるのではないかと、私は思います。

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