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【授業】「ちょうどいい問い」が活発な議論を生み出す
前回の記事で、議論には「非攻撃型自己主張」が大切だと書きました。
しかしそもそも「主張したい自己」がなければ、議論自体が生まれません。
なので「非攻撃型自己主張」以上に大切なのが、主張をもちやすい問いを投げかけることです。
〈私の授業思想〉
どのような問いが「主張をもちやすい問い」なのでしょうか。
一般的に、問いは「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」に分けることができます。
答えが決まっていない「オープンクエスチョン」の方が主張(=意見)をもちやすく、議論しやすいとされることが多いですが、
私は「クローズドクエスチョン」の方が主張をもちやすく、議論しやすい場合が多いと考えています。
オープンクエスチョンは答えの自由度が高すぎて、主張をもつことや議論することに慣れていない生徒は、どこから考え始めたらよいのかも分からなくなってしまうからです。
これに対してクローズドクエスチョンであれば、示された選択肢から一つを選ぶだけで主張をもったことになります。
議論になれていない生徒に投げかける「主張をもちやすい問い」としては、クローズドクエスチョンの方が「ちょうどいい」のだと思います。
ただし生徒が意見をもつことに慣れてきたら、「ちょうどいい問い」は変わっていきます。
いつまでもクローズドクエッション一辺倒だと、「自分の主張とは違うけど、選べと言われたから選んだ」という生徒が増えていきます。
結果それは、生徒が「主張したい自己」ではなくなってしまいます。
生徒が主張を持つことや議論することになれてきたら、主張の自由度を上げてやる=オープンクエスチョンに挑戦させる。
このように、目の前の生徒にとって「ちょうどいい」問いを選ぶことが大切なのです
〈私の工夫〉
私は「ちょうどいい問い」を投げかけられるように、以下のような工夫をしています。
①一学年…AとBのどちらがよいか/Aに賛成か反対か
単元ごとに上記のような二択のクローズドクエスチョンを設定しています。
このような問いならどちらか一方を選ぶだけなので、自分の主張をもちやすいでしょう。
また上記の問いの後に「そう考えるのはなぜか」と付け足すことで、根拠のある意見を持たせることができます。
具体例)
地理…「引っ越すなら暑い地域と寒い地域のどちらがよいか」
歴史…「次の総理大臣にするなら、織田信長と豊臣秀吉どちらがよいか」
②二学年…○○問題を解決するにはどうすれば良いか
一学年で主張を持つことや議論することの練習を積み、その楽しさを感じてきた生徒達には、二学年で「オープンクエスチョン」へと進んでもらいます。
この問いは「課題解決型」の学習を促す問いでもあります。
各単元で現れる問題点を示し、その解決方法をオープンに考えさせています。
解決方法は班ごとに考えさせることで、主張を持つことが苦手な生徒も、なんとかこの問いに答えられるようにしています。
具体例)
地理…「中国・四国地方の過疎問題を解決するためにはどうすればよいか」
歴史…「江戸幕府の財政難問題を解決するためにはどうすればよいか」
③三学年…よりよい社会を作るにはどうしたらよいか
三学年では集大成として、問題点の部分からオープンにし、自分で考えさせています。
上記の問いを、公民的分野の各単元(現代社会、政治、経済、国際社会)の最初に投げかけることで、知識の伝達中心の授業を「現状の問題点を探す時間」にすることができます。
何を問題だと感じるかも、大切な主張です。
問題点が見えれば、解決策も自ずと見えてきます。ここで2学年での練習が生きてきます。
いきなりこの問いをぶつけられたら答えるのは困難ですが、一学年、二学年と主張を持つことや議論することを練習してきた生徒たちは、困難なこの問いに果敢に挑んでくれるまでに成長しています。
〈まとめ〉
ここに示したのはあくまで一例で、目の前の生徒の状況によっては、1年生のうちからオープンクエッションに挑戦させてみたり、2年生になってもクローズドクエッションを使ったりもします。
目の前の生徒の状況をよく観察し、目の前の生徒にとっての「ちょうどよい問い」を投げかけることが、活発な議論を生み出すために大切なことだと思います。
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