【小説】陸と海と空と闇 (第7話)
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第5章 海
夕方帰宅する母親を、杖をつきながらエレベーターまで見送ったリクは、エレベーターホール横にあるラウンジに立ち寄った。
夕食の配膳が始まっていて、どこからかいい匂いがする。
みんな食事が待ち遠しく、病室に戻ったようで、ラウンジにはリクひとりだ。
大きな窓から夕焼けに染まる海が見えた。
もうすぐ六時なので、看護師が窓のカーテンを閉めに来るだろう。
食後にマンガでも読もうと思い、本棚で面白そうな本を探していると、ティーン向けのファッ