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【小説】陸と海と空と闇(全14話)マガジン

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note創作大賞2024(ファンタジー小説部門)応募作品。15歳のリクは入院中の病院で、伝説の怪物『闇』の存在を知る・・・ 原作のショートショート「真夜中万華鏡」も収録。
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記事一覧

【小説】陸と海と空と闇(第1話)

序章 『闇』の噂 「実はさ、『出る』らしいんだよ」 「え、出るって……」 病院職員の新人…

kao
4か月前
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【小説】陸と海と空と闇 (第2話)

第1話はこちら ===== 第1章 陸(2)  二年前、中学校に入学したリクは、バレーボー…

kao
4か月前
8

【小説】陸と海と空と闇 (第3話)

第2話はこちら ===== 第2章 葵(1)  翌朝、雨は上がっていた。 入院患者の一人、十…

kao
4か月前
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【小説】陸と海と空と闇 (第4話)

第3話はこちら ===== 第2章 葵(2)  川田が報告書作成に苦戦している頃、体調が回…

kao
4か月前
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【小説】陸と海と空と闇 (第5話)

第4話はこちら ===== 第3章 『闇』と大和  大和は看護大学卒業後、この病院に就職し…

kao
4か月前
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【小説】陸と海と空と闇 (第6話)

第5話はこちら ===== 第4章 葵の変化  葵がおとなしくなった、と病棟で評判になった…

kao
4か月前
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【小説】陸と海と空と闇 (第7話)

第6話はこちら ===== 第5章 海  夕方帰宅する母親を、杖をつきながらエレベーターまで見送ったリクは、エレベーターホール横にあるラウンジに立ち寄った。 夕食の配膳が始まっていて、どこからかいい匂いがする。 みんな食事が待ち遠しく、病室に戻ったようで、ラウンジにはリクひとりだ。 大きな窓から夕焼けに染まる海が見えた。 もうすぐ六時なので、看護師が窓のカーテンを閉めに来るだろう。  食後にマンガでも読もうと思い、本棚で面白そうな本を探していると、ティーン向けのファッ

【小説】陸と海と空と闇 (第8話)

第7話はこちら ===== 第6章 空(1)  病院には屋上庭園があった。 季節の花々やハー…

kao
4か月前
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【小説】陸と海と空と闇 (第9話)

第8話はこちら ===== 第6章 空(2) 空中に浮かんでいた人影は、中学生ぐらいの少女…

kao
4か月前
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【小説】陸と海と空と闇 (第10話)

第9話はこちら ===== 第7章 蓮 川田はその日、夜勤だった。 二人体制の巡回のパート…

kao
4か月前
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【小説】陸と海と空と闇 (第11話)

第10話はこちら ===== 第8章 光  蓮の前に飛び出してきたのはリクだ。 両手に松葉杖…

kao
4か月前
7

【小説】陸と海と空と闇 (第12話)

第11話はこちら ===== 第9章 『闇』の回顧 『闇』はまばゆい光にさらされ、燃えるよ…

kao
4か月前
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【小説】陸と海と空と闇 (第13話)

第12話はこちら ===== 第10章 虹色の魂 ラウンジの窓辺に燃え尽きた『闇』の跡があっ…

kao
4か月前
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【小説】陸と海と空と闇 (第14話-最終話)

第13話はこちら ===== 終章 秋  リクは退院して、一学期の途中から通学を始めた。 杖をつきながら徒歩で通う。 掃除の時間は、机の移動はできないが、杖をつきながらでもモップ掛けは得意だ。 体育は見学だが、体育祭の時は放送部とともにアナウンスを担当した。 意外と、可哀想な人を見る目では見られていない。 結構みんな普通に接してくれていると思う。 徒歩で、杖をついて二十分ほどの通学路で、リクの速さに合わせて歩きながら一緒に帰るクラスメイトもいた。  まだ暑さが残る二