モンブラン失言【毎週ショートショートnote】
昼下がりのカフェ。
わたしの前でミーコは涙ぐんでいる。
「大丈夫なの?ずっと泣いてるじゃない」
「大丈夫。後で話すから」
「じゃ、ケーキセットのケーキ、何にする?」
ミーコは普段絶対注文しない高いケーキを選んだ。
「モンブラン」
「プラス三百円なのに?いいの?」
「いいの」ミーコは赤い眼で言った。
オーダーした後、わたしはミーコの顔をまっすぐ見た。
ミーコはわたしの視線をそらすように下を向く。
これは……
きっと彼氏、ヒロトと別れて、ショックを癒すための高級モンブランだ。