【俳句 授業実践】〜スプレッドシートを使ってジグソー学習と句会をやってみる!〜
【はじめに】
今回は、私が現在進行形で実践している俳句の授業について書きたいと思います。まだ単元は終了していませんが、形成的評価の意味も含めて筆を執りました。
この単元では、Googleスプレッドシートの共同編集機能を利用してジグソー学習を行いました。また、GoogleフォームとGoogleスプレッドシートを使って、クラスメイトが作った俳句の中から自分の好きな句を選んで投票するという現代版句会なるものを計画しています。(本来あるべき句会の姿からはかなりかけ離れています。あくまで生徒たちが取り組みやすいようアレンジを加えたものであるということをご了解いただいた上でお読みください。)
1.単元の目標と単元を貫く課題
今回の単元は俳句です。そこで私は、生徒たちに俳句を通して自分の思いや日常の風景を適切な言葉と技法で表現してほしい、という思いを抱きました。
それを踏まえ、今回は
自らの思いや日常の風景を適切なことばと手法を使って俳句で表現する
という目標を設定しました。
さらに、この単元の目標を達成する上で、いつもと同じように単元を貫く課題を考えました。
単元を貫く問いについては、別の記事で詳しく書きましたので、そちらをご覧ください。
今回は、単元の目標を踏まえた上で、
情景や思いが適切なことばと技法で表現されたすばらしい俳句をつくりあげよう!
という単元を貫く課題を設定しました。
これで単元の基盤が出来上がったことになります。ここからは具体的な指導の流れを考えます。
2.単元の指導計画
上記の単元の目標と課題を踏まえ、具体的に指導計画を練りました。
かなり大雑把ではありますが、これが単元全体の指導計画です。
第①時のみワークシートを使ってこちらから講義形式で俳句の基礎についての教授しましたが、それ以外は生徒が自身の端末でスプレッドシートを操作して授業を進めていきます。
現在、最も進んでいるクラスで第④時まで終了している状態です。第⑤〜⑦時についてはまだ実践できていませんので実際の生徒の様子などについてはここに書くことはできませんが、どのように進めていくかという計画を書いていこうと思います。
ではここからは、実際にどのようにスプレッドシートを活用してジグソー学習と句会を行うかについて書いていきます。
3.スプレッドシートを活用したジグソー学習
まず第①時で俳句のルールや表現技法について生徒たちは学びました。ただし、講義形式でルールや表現技法について教えただけですので、ほとんどの生徒はあまり深く理解できていないでしょう。
そこで、第②時と第③時で教科書に掲載されている正岡子規や中村草田男といった先人の句を使って生徒自身で俳句のルールや表現技法を確認してもらうことにしました。
また、最終的には生徒がつくった句を投句してもらい、句会を行う予定です。しかし、いきなり句会をやっても生徒がついてこられるか心配です。
そこで、第④時で教科書の俳句を対象にした句会を前段階として行うことで、句会そのものに慣れてもらおうと考えました。
そして、第②、③時で生徒自身に教科書の俳句のルールや表現技法を確認してもらう際に、句意や情景も同時に調べさせることにしました。
こうすることで、教科書の俳句を使って俳句のルールや表現技法について確認できると同時に、教科書の俳句を鑑賞できるとも考えました。第④時で教科書の俳句で句会をする際にも、すでに第②、③時で生徒自身が句意や情景を把握できているので、こちらから改めて教科書の俳句の句意や情景を説明する必要がないと踏んだのです。
しかし、教科書に掲載されている21句をすべて1人で調べようとすると相当な時間が必要です。
そこで、4人グループをつくり、1人5句担当することで21句すべての鑑賞をしてもらおうと考えました。
ここでジグソー学習の登場です。4人グループをAさん、Bさん、Cさん、Dさんの4つの役割に分け、それぞれの役割に5つの句を振り分けます。(画像参照)
各グループで誰がどの役割を受け持つかが決まったら、AさんはAさん同士で、BさんはBさん同士で集まって自分たちに割り当てられた俳句の句意や情景を調べます。(これをエキスパート活動と呼びます)
エキスパート活動が終わったら、元のグループ(便宜上この元のグループをジグソー班と呼びます)に戻り、自分が受け持った俳句について他のメンバーに説明します。
ここで、スプレッドシートを使わない従来のジグソー学習では、エキスパート活動が終わった後、ジグソー班に戻って自分の担当した俳句について他のメンバーに伝える際、他のメンバーはそれをすべてメモしなくてはなりません。
限られた時間の中で、自分の担当していない俳句のすべてをメモするのは相当大変な作業なはずです。
そこでスプレッドシートの出番です。
ジグソー班4人でひとつのスプレッドシートを共有し、エキスパート活動をしながらそこに自分が担当している俳句の句意や特徴を書き込んでいきます。
↓実際に授業で使用したスプレッドシートです↓
こうすることで、他のメンバーが担当した俳句の句意や特徴も、すべてひとつのスプレッドシートに同時に書き込まれていくので、エキスパート活動が終わった段階で、21句すべての情報がひとつのスプレッドシートで見ることができるようになります。
また、生徒たちに編集されてほしくないセルは、自分のみ編集可能という設定にしておけば、誤って生徒に消されたりすることもありません。(個人的には、セル単位で編集権限を設定できるこの機能が非常に便利だと思っています。)
生徒たちは、②③時で自分のスマホや資料集を使い、担当している俳句について熱心に調べていました。中には、こちらから指示しなくても参考になるサイトのリンクをセル内に貼り付けている生徒も複数おり、現代の子どもたちが情報機器の扱いに長けていることを再認識させられました。
このようにしてスプレッドシートを使ってジグソー学習を行うことで、時間を有効活用できるとともに、視覚的に情報を得やすくなるという利点も生まれます。
4.スプレッドシートを活用した俳句の句会
第②③時でスプレッドシートを使ってジグソー学習を行いました。第④時では、スプレッドシートを使って俳句の句会を試みました。
第③時までで、教科書の21句の鑑賞は終わっています。各ジグソー班で鑑賞した21句の中から、自分の好きな句を1句選句してもらうことにしました。
その際にも、スプレッドシートを活用し、選句した句をシグソー班で共有しやすくしました。
↓実際に授業で使用したスプレッドシートです↓
このスプレッドシートに、自分の選んだ句と、その句を選んだ理由を書き込んでもらいます。自分の名前と選んだ句は、出席番号と句番号を入力すれば自動で入力されるようにVLOOKUP関数を設定してあります。(関数を入力してあるセルは、生徒に消されないように生徒は編集できないよう設定してあります。)
このスプレッドシートに書き込むことで、他のメンバーがどの句を選んでいるのかが一目瞭然でわかるようになり、共有しやすくなります。
このように、スプレッドシートを使うことでジグソー学習や句会といった複雑な学習でも容易に生徒同士の意見を共有しやすくなりますし、視覚的にも情報が整理されてわかりやすくなります。
【おわりに】
今回は、スプレッドシートを使った俳句の授業実践について書きました。
G-suiteを校内で利用できるようになってから、授業の中で使うこともできるようになり、時間を有効に活用できるようになるなど、多くの利点を得られています。
オンラインの要素をうまく取り入れつつ、今後も積極的に様々な実践に取り組みたいと思います。
ここまで読んでくださったみなさま、ありがとうございました😊。
ぜひ次回の記事もお読みください🙇♂️
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