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【能・狂言】葛城・苞山伏

 2023年12月9日(土)、国立能楽堂で、能・狂言を鑑賞しました。12月の普及公演です。記録を残します。

■演目等

  • 解説・能楽あんない:岩橋説話と女神の舞、山中 玲子 (法政大学能楽研究所教授)

  • 狂言:苞山伏つとやまぶし、能村 晶人(和泉流)

  • 能 :葛城 かづらき 大和舞 やまとまい 井上 裕久(観世流)

■今回のテーマ

(1)能と狂言の共通のテーマ

 パンフレット等をみますと、能、狂言ともに、出羽の羽黒山から来て、奈良の「大峯山」や「葛木山」で修行する「山伏」が関わって来ます。
 修験道が盛んな地域のようです。インターネットで調べると、様々なサイトがありましたが、一つリンクを貼ってみます。

7世紀、その麓の地である現在の奈良県御所市で生まれたのが役行者えんのぎょうじゃです。役行者は、修験道の開祖であると言われていますが、その役行者が最初に修行を積んだのがこの地(葛城)です。

上記HPより、抜粋。()内は補足。

(2)岩橋説話
 いくつかの説があるようですが、今回の能のあらすじに沿ってまとめてみました。

役行者えんのぎょうじゃ役小角えんのおづぬ)は、葛城明神に命じて、修験者が多く通っていた葛城山と大峯山の間に、岩橋を架けようとします。しかし、葛城明神は己の容貌の醜さを恥ずかしがり、夜の間しか働かなかったため、岩橋を架けることが出来ませんでした。役行者は怒り、葛城明神を蔦葛で縛り、葛城明神は、五衰三熱(天人や神が生涯の間に苦しむ五種の衰相と三種の熱病等の苦患)に苦しむことになりました。

パンフレット等よりまとめました。

■狂言(苞山伏)

(1)あらすじ

 登場人物は、三人です。①このあたりに住む「山人」、⓶この近くに住む「使いの者」、③大峯山や葛城山で修行をして、出羽の羽黒山に帰る途中の「山伏」。

使いの者は山人が眠っているうちに、藁苞わらづとに入った飯を食べてしまいます。目覚めた山人は傍らにいた山伏を疑いますが、山伏が呪文を唱えると…。

配布チラシより抜粋。

(2)感想

 ストーリーはシンプルでテンポがよく、とても面白かったです。割と早く話の本筋に入っていく感じでした。何より、三者三様の掛けあいがバランスよく、楽しかったです。

■能(葛城)

(1)あらすじ

(上記「岩橋説話」にまつわる話です。)
役行者がの命令に背いて呪縛されていた大和葛木の女神が、ひととき解き放たれ、一面の銀世界の中で舞を舞います。

配布チラシより抜粋。()内は補足。

(2)メモと感想

 季節は冬でしょうか。前シテの笠の上に雪が積もっていて、舞台上に出された作り物の上にも雪が積もっていました。今の時季に合った感じがして良かったです。
 他方、火を囲んでシテとワキが語らう場面もあり、対比がありました。

 小書こがき(替えの演出)で、「大和舞」とあり、たしかに終盤、天の岩戸の前で(序の舞ではなく)神楽のような雰囲気の舞が舞われました。
 高天原たかまがはらの在所は、説がいくつかあるようですが、奈良の葛木山も説の一つなのですね。

(3)その他

 同じく神楽の舞を舞う能の「三輪」、そして、蔦葛が関わる能の「定家」なども、もう少し調べてみたいと思いました。

■最後に

 今回、奈良の葛城山にまつわる能で、観終わった後に調べた部分も多かったのですが、歴史の深さを感じることが出来ました。
 能楽堂のロビーに、奈良の物産展が出ていましたが、いつか奈良にも行ってみたいと思います。

 そして、最後になりましたが、写真は「蔦」で検索し、koro333さんの写真を使わせて頂きました。どうもありがとうございました。

 本日は以上です。

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