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朝の品川駅を病める日本の象徴みたいに扱うのはやめたほうが良い。彼らが実はあんたらよりも何倍も幸せな人生を送っていると知ったらアイデンティティ崩壊しちゃうよ。
あのコンコースは良い絵が撮れますよね。
知ってます。よく行ってました。
もうテレビやネットの記事でも何百回見たかわかりません。
新宿だとダメなんですよね。学生や暇人も居るしみんなが一直線に歩いていないから多様性や自由意志があるように見えちゃう。
それじゃ蔑むことが出来ないんですよ。
可哀想な現代人に見えないとダメなんです。
日本人は皆、家族やプライベートを犠牲にして心を亡くすまで働かざるを得ない、無策な政治の被害者でなければならない。
幸せな大人なんて、この国には存在してはいけない事になっているのです。
不幸にも。
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それに見事に引っかかって「ロボットが歩く現代アートのようだ」と言った自称アーティストがいました。
いやもう笑っちゃって。
表現に大変な懐かしさを感じましたね。手塚治虫かな?ってくらい。随分と差別的で攻撃的で、いかにも意識高い若者という感じでよかったですね。社畜と違うオレ、カッコいい。
20代なら仕方ない。そのイタさは誰もが通るイタさかもしれません。
ただ、そのロボット達には個別の仕事が、世界が、喜びが、そして人生があるのですが、その活動時間の中のほんの一瞬でしかない「移動中のオッサン」である側面だけをつかまえて、その程度の低レベルな言葉しか出てこないようじゃアーティストを名乗るのはやめてもらったほうがいいですね。
多分これからも無理です。センスが昭和だから。
いい国と悪い国が戦争してたり、悪い大人を頑張ってやっつけたら素晴らしい理想郷(ユートピア)作れるとか思ってそう。
解像度の低い目ですよ。
人生経験の低さ。
接してきた人の数と質の低さのこれ以上ない証明。
仮にロボットであったとして、そのロボット達が本来の性能を発揮するのは、通過点でしかない電車や駅ではなく、その先の会社ですからね。
そこで何が行われているかは残念ながらまだアートになっていないようなのでご存じないと思いますが、あなた方の入れない世界で人々は活躍しているんですよ。活動ではなく。
生きている層(レイヤ)が違うだけで、同じ空間に存在していても位相が合わないから観測することが出来ない。
社畜の皆さんと同じ電車に乗って、社畜の皆さんと同じ時間に品川に赴いて、社畜の皆さんと同じ空気を吸って、見たいものを見られてよかったですね。
大人の社会化見学、いかがでしたか。
客観的にみてあなたも立派な品川ロボットの一員になれたわけですが、決定的に違うのは、残念ながらそこはあなたの居場所ではないということですね。
その空間はあなたには何も与えず、あなたも彼らに何の影響も与えることはできません。
つまり、結果としてあなたが得られたものは何もありません。
時間とカネと体力を消費しただけです。
もう、はっきり言いますが、そこは日本の縮図などではなくただオフィスが多い町にある駅の東西通路であるに過ぎません。
そこを歩く人達の顔を、目を見て、声や音を聴きませんでしたか。その違いを見分けられませんでしたか。
カッコつけた言葉に酔っているだけでは本質を観ることは出来ません。
もしそこに立ってなお、人々がロボットに見えたとしたら今すぐ病院か、黄色い線の外側に行ったほうが良いと思います。
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そういう70年代の活動家みたいな典型的な思想や言葉、この2020年代に聴きたくないんですよ。
もう飽きたの。
ある程度頭の悪い子供が、いっぱしに発信力をもつと何でみんな判で押したように同じようなことを言うようになってしまうのだろう。なんで過去に学ばずに自分でゼロから始めるのだろう。前にみたような、既に行われて問題点が判明しているようなそんなことばっかり。
観客はもう車輪の再発明を見飽きてるんですよ。
ひと一人が5年10年で思い付く事なんて今もむかしも大して変わらないのに。なんでそれに気づけないのだろう。
だから誰かに教わったり、意見を戦わせたりして成長していかないといけないのに。組織の中に先人や先輩がいれば、成長できたのに。
でもそれは不可能です。
そういう集団が最も忌み嫌うのは老人だから。
古い人間を既得権益にしがみつく老害とみなして、その意見など聞く必要はないと排除するのが目的だから。
同時に、自分達が一番恐れているのはオジサンになって自分達のような若者から見向きもされなくなること。
だから、ああいう人達はギアチェンジのタイミングを見誤って、いつまでも若くあろうとして無理して痛いおじさんになっちゃうんですよ。
先輩ポジションを取ることはそのまま集団のなかでの死を意味するので、いつまでも若者のように振る舞うしかない。
30過ぎて若者代表みたいなツラで話してる髪の毛ピンクの芸人とかいるじゃないですか。痛すぎてみてられないですよ。オジサンとしてみられるのがよっぽど怖いんでしょう。
会社組織のように部下を育てたりする経験を積めない。
身一つで生きていくしかないということは、貴方達の大嫌いなブルーカラーと、全くおなじ事なんですけどね。
結局、そうやって成長の機会も得られないまま、使い古された手垢のついた言葉しか産み出せない。所詮はその程度のアーティストだったということです。
お疲れ様でした。あとはなんの価値もないオジサンまでまっしぐらです。
多分あなたはあと30年早く産まれるべきでした。
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ただ通勤ラッシュに組み込まれて居ないというだけで、自由の名の下に幸せであるかのように振舞うあなた達ですが、もし、そこに組み込まれている人達が実は想像の数倍幸せだったとしたら、どうしますか。
それは飼いならされた奴隷の鎖自慢でしょうか。
無価値な幸福でしょうか。
それは幸福とは言わない?
ではあなたの言う幸福はどんなカタチですか。
ところで、あなたは今、本当に幸せなのでしょうか。
もう一度聞きますが、本当にそのロボットたちより幸せですか?
おしまい