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彩の旅

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──それは、モノクロの世界を旅するひとりの愚者の物語。
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#中編小説

【中編小説】彩の旅 EP2 欲望解放境界域 ヴェンツ [後編]

Episode Ⅱ
欲望解放境界域 ヴェンツ
 -Passions and desires-
  Interlude

 あれは十四年前の話である。
 当時三歳だったレオンに、ようやくイルザという妹ができた。
 近辺の家庭と比べて質素ではあるが、それなりに幸せに暮らしていた。
 妹のイルザは、兄のレオンが大好きだった。

 ある日は──
「お兄様! 川で鮭が取れましたよ! 一緒に食べませんか?」

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【中編小説】彩の旅 EP2 欲望解放境界域 ヴェンツ [中編]

Episode Ⅱ
欲望解放境界域 ヴェンツ
 -Passions and desires-  Ⅲ

「……オレの名前はレオン。このヴェンツ帝国を憎む者であり、全ての欲望を克服する男だ」
 レオンは胸を張って語った。
「そして、ようこそ我らがヴェンツ帝国へ。こんなトチ狂った国にやってきた客人としてオレは迎えるぜ」
 なお、シエロは臨戦態勢を緩まず、ヴァリは再び刀を持ち、構える。
「なぁ、ちょっと待

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【中編小説】彩の旅 EP2 欲望解放境界域 ヴェンツ [前編]

Episode Ⅱ
欲望解放境界域 ヴェンツ
 -Passions and desires-
 ○境界域について
 又の名をテクスチャーエリア。大変動によって突如ブリテン島以外の全域が置き換えられた。ブリテン島ではオーロラが観測され、同時にブリテン島北部──スコットランドやアイルランドの連絡が途絶えた。
 置き換えられた場所には並行世界……我々の世界には存在しない領域がチグハグに配置され、ちぎり絵

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【中編小説】彩の旅 EP1 未来閉塞境界域 エルダー[後編]

Episode Ⅰ
未来閉塞境界域 エルダー
 -The elder brings the wisdom-
  Ⅳ

 朝日が昇る。
 シエロはいち早く起床し、囲炉裏に薪をくべる。
 晩夏であろうとも、早朝はすこし肌寒い。簾のような窓を閉めて囲炉裏の熱を家の中で対流させる。
「うーん? シエロ? なにしてるの?」
「寒いから、火を点けてるんだ。晩夏でもここは多少は寒くなるようでね」
「そーなのぅ?

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【中編小説】彩の旅 EP1 未来閉塞境界域 エルダー[前編]

Episode Ⅰ
未来閉塞境界域 エルダー
 -The elder brings the wisdom-
  Intro.

 小鳥がさえずり、気だるい風が森を吹き抜けた。
 シエロは少し早く起きて、いつ鉄の塊になってもおかしくない古くボロボロになった車に荷物を乗せ始めた。
「そろそろ出発するぞ、ヴァリ」
「んー……ん?」
 なにせ、この場所は鬱蒼としている森の中だ。日光なんてあまり入ってこない

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【中編小説】彩の旅 Prologue Ⅱ

 Intro 2 -in the forest-

 森の中はいたって静寂であった。
 たまに風が通り抜けて草木はざわめく。
 月と星が彼らに微笑んでいる。
 その奥を見てみると、かすかな光が漏れている。
 パチパチという火が弾ける音。そこには男と少女が小さな焚火を囲んでいた。今は、一時の休息。自らの責務を忘れて安らぐ数少ない一時である。
「その後、ブリテンを平定した妖精エインセルと英雄アレキサン

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【中編小説】彩の旅 Prologue Ⅰ

 Intro 1 -Once apon a time...-

 ロンドンの夜は今日も静かだった。誰もが寝静まった午前零時ごろにロンドンの空に異変が起こった。
 ──それは、綺麗な光のカーテンだった。
 ロンドン城塞を流れるテムズ川のそばにあるビックベン時計塔の背景にはいつものロンドンにはない"オーロラ"が上空を彩っていた。ブリテン島では決して見られることのないオーロラはロンドンの人々の心を撃ち抜

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