居場所

こどもっぽく居られる場所が、わたしの居場所。はじめて十九時まで学校に残った時、校舎が居場所になった。教室の三十六分の一の領域は、狭くて安心できるけど、隣国が多いから常に外交仕様にしている。机の上には教科書とノートと蛍光ペンを広げて、机の下では校則違反のスマホをいじる。委員会をやらされてめんどくさい、ってともだちに合わせて言ってたら、肌の上は綺麗になって内臓に毒素が溜まっていった。おともだちとは仲良くしましょう、っていうのは結構辛いことなんだな。コミュニケーション下手の第一歩。大学に入ったら遊べるから今は我慢して勉強しましょう。何のために勉強するかの答えは遊ぶため。遊びは大人のもの。子供はおとなっぽくしましょう。外では泣いたらダメですよ。大人の言うことを聞きましょう。勉強は自分の将来の為です。子供から言葉を奪うために編み出された正論風フレーズたちが、大人社会を形作っていく。少子化が問題なのは大人がこどもっぽく居られなくなって自分の居場所がなくなるから。

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