変異型恋愛
新型コロナウイルスみたいにド派手な登場をしなくても、人間に感染しているものはいっぱいある。
はじめて買ってもらったニャーちゃんで人形遊びをしていた。ふわふわだけどほっぺに当たると少し痒くなる毛をしていた。そのあとにみみぃを買ってもらった。やさしく撫でてくれるみたいな耳のふわふわが好きだった。次にぴょん吉とナガゾウを買ってもらって、しし丸を買ってもらった時に、人形遊びをしているのは自分だけになっているのに気付いた。自転車で広がった世界では、みんなテクニックと血に染む獣の数を競い合うハンティングと、ひたすら隙間を埋めていくオセロをしていた。
快楽から覆いが取り払われて正義が与えられたことで蔓延した。
どこかの誰かがオセロで勝つには角と辺が大事だって言いだした。それを聞きつけた人たちが実践して勝ち組になった。はじめは負けてても、そこを押さえておけば後から逆転できる。これがサクセスストーリー、成功者の物語なんだ。
恋愛の中でセックスだけがブクブク太って巨大化していった。オセロに負けて空いた心の穴に棒を挿し入れて埋める。死んだ兎を首から下げて、技術と力の象徴として掲げ上げる。オセロの勝者と蛮族の王が、沈みゆく船で高らかに笑い声を上げる。