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伽戸ミナ
2023年10月25日 16:46
通学路を教えてもらったとき、骨と街がこすれるようなキュキュッという音を立てながら折れ曲がる赤い道ができた三年生になって、鉛筆の道は石けりの軌道のなみなみの線で、わざわざ隙間をとおって縁石をあるいて、いつのまにか夕陽は、電線の一番下にきていた枯れ葉を踏んで聞こえる音のように小枝を踏んで聞こえる音のようにどんぐりを踏んで聞こえる音のようにシャーペンが折れて、残骸が散らばった道を、
2023年10月22日 11:56
夏のこと、嫌いでいいんだよ酸素のこと嫌いでいいじゃあ生きないの?、って、大上段に構えた言葉を踏み潰す四十六万八千三百五十二粒汗を熱せられた大地に渡して六千七百三十八個日干し煉瓦を運ぶ村への水道橋は、三分の二までできた千早振る神も見まさば立ちさわぎ雨のと川の樋口あけたべ科学とか合理とか常識が好きな人が、科学とか合理とか常識と同じ熱量で、科学とか合理とか常識を超えた才能を崇拝し
2023年10月17日 18:00
月明かりが侵入して、この部屋の暗さを知るどこか遠いところでやっている感謝祭の祭壇を照らす灯りがちろちろと流れ込んでくる黒い森まで狂い踊って、焼け石にも水が走る、喜びの声が届く暗黙の部屋におふとんがつめたいうでをいれるなんどもなんども、打ちつけ穴を開け、この部屋をチーズの姿にする雨そんな雨が、ぼくときみのあいだを裂いてくれたらいいのにぼくはぼくで、溶けてしまって、きみはき
2023年10月10日 17:48
ハッピーバースデーの歌も音程が求められる時代に、淡々とふりつづける雨は、最低だな濡れに濡れて、艶やかな艶の出る厳然たる行き止まりを、ちからなく押してみる壁肌の細かい小石が指先にささるのは、染み込んで染めていく暗い雨より痛くなかったアマビエが浸みわたった街が雨冷えする階段の最後の一段を踏み外して寒くなったな、今年は小説を読むためのろうそくの灯りで、絞め技を掛け合う短夜をやり過ごした