【詩】路地裏
ハッピーバースデーの歌も音程が求められる時代に、
淡々とふりつづける雨は、最低だな
濡れに濡れて、艶やかな艶の出る
厳然たる行き止まりを、ちからなく押してみる
壁肌の細かい小石が指先にささるのは、
染み込んで染めていく暗い雨より痛くなかった
アマビエが浸みわたった街が雨冷えする
階段の最後の一段を踏み外して寒くなったな、今年は
小説を読むためのろうそくの灯りで、
絞め技を掛け合う短夜をやり過ごしたら、
去年までとは違って、拒絶されない秋冬が来ると思っていた
ユニクロのモコモコを、二枚重ねなくていい時が
カラオケの線分から滑り落ちて、
雨の夜の底の街の底から、見上げるネオンが
哄笑していて、一緒になって笑った