10月大阪松竹座千穐楽かぶきDOU其の82アフタートーク
いつもかぶきDOUをお聴き頂き誠にありがとうございます✨
大阪松竹座の「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎襲名披露 八代目市川新之助初舞台」が10/26に大千穐楽を迎えました。
私は夜の部の千穐楽を観劇しましたのでかぶきDOU観劇レポをお送りいたします!
義経千本桜 鳥居前
夜の部の演目まず一つ目は義経千本桜 鳥居前でした。
主な配役…
◯佐藤忠信 実は源九郎狐
市川右團次
◯武蔵坊弁慶
市川九團次
◯逸見藤太 (はやみのとうだ)
大谷廣太郎
◯亀井六郎(かめいのろくろう)
市川男寅
◯駿河次郎(するがのじろう)
中村玉太郎
◯源義経
大谷廣松
◯静御前
中村児太郎
歌舞伎の三大名作の一つが義経千本桜で二世市川猿翁さん澤瀉屋の当たり役です。
今年7月歌舞伎座で團十郎さんが13役を勤められた星合世十三團は義経千本桜のドラマ性に焦点をあてた内容で早替りや宙乗りなどをご披露され大変話題となりました☆ この7月歌舞伎座公演前の会見で團十郎さんは義経千本桜の…「四の切」には、成田屋の型がなく、二世市川猿翁( 三代目市川猿之助)さんに教えを乞うた…と歌舞伎公式総合サイト歌舞伎美人で紹介されています。
十三代目襲名披露の大千穐楽に團十郎さんの大恩人 猿翁さんへの想いが込められていたのでは…と感じました。
今回は市川右團次さんが澤瀉屋の型で佐藤忠信実は源九郎狐のご披露となりました。
市川九團次さん勤める武蔵坊弁慶も荒々しさ満載です。
狐忠信と弁慶の出で立ちは迫力がありましたが、それに負けないほどの凛々しく勇ましいオーラを放っていたのが大谷廣松さん勤める源九郎判官義経でした。
短気のせいで義経の兄 源頼朝方の兵を斬ってしまった弁慶を義経は許し一行は西国に流れることになりました。
伏見稲荷の鳥居前まで義経一行を追いかけてきたのが中村児太郎さん勤める静御前です。
連れてはいけないと義経は静御前の身体を木の枝に縛り付けてしまいました。静御前を襲ったピンチを救ったのが忠信です。
軍兵達との大立廻りではアクションも冴え渡り大変見応えがありました!
その手柄として義経から忠信は静御前のボディーガード役を任命されました。京での再会を誓った義経から形見分けとして静御前は初音の鼓を授かります。
フィナーレでは静御前に伴って狐忠信が狐六方で花道を引っ込みます。力強さと狐の妖しさだけでなく、鼓となってしまった狐の父母を恋しく思う仔狐の雰囲気も垣間見られました。
一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)奥殿
続いての演目は一條大蔵譚 奥殿でした。
主な配役…
◯一條大蔵長成(ながなり)
松本幸四郎
◯吉岡鬼次郎(きじろう)
中村鴈治郎
◯女房鳴瀬
市川高麗蔵
◯八剣勘解由
松本錦吾
◯女房お京
片岡孝太郎
◯常盤御前
中村雀右衛門
この後の口上で松本幸四郎さんからお話がありましたが、團十郎さんと幸四郎さんは「はとこ」の間柄です。
十三代目團十郎さんの祖父十一世市川團十郎(1909年生まれ)は松本幸四郎さんの祖父 初世松本白鸚(1910年生まれ)と兄弟です。
皆様ご存知かと思いますが初世白鸚の子が二代目松本白鸚さん(兄)と二世中村吉右衛門さん(弟)です。
二世中村吉右衛門さんは2021(令和3)年にご逝去され十三代目團十郎襲名披露公演へのご出演は叶いませんでした…
今回の大阪松竹座では吉右衛門さんの当たり役でありました一條大蔵譚の一條大蔵長成を、特別なお役として大切に受け継がれている松本幸四郎さんが勤められました。
源義朝亡き後、平清盛の命で公家の大蔵卿の妻となった常盤御前。
そこに源氏再興のため義朝の忠臣であった鬼次郎と女房お京がやってきて、平家討伐のために正気に戻って欲しいと常盤御前に手が出るほど強く訴えます。
それまでは楊弓(ようきゅう=小さな弓の的あて)に興じて怠惰な様に見えていた常盤御前ですが、平家討伐への激しい想いをうちあけます。中村雀右衛門さん勤める常盤御前の気迫がすごかったです!
登場人物それぞれが、源氏再興への強い志を持っていますがその源氏側の身内さえも欺く、幸四郎さん勤める長成の心情の切り替わりのうまさ。のほほんとしたチャーミングさもあってそのギャップが大変見応えがありました。
十三代目市川團十郎 八代目市川新之助襲名披露 口上
続きまして襲名披露興行にふさわしい口上です。並び順は舞台向かって右側の上手から
中村雀右衛門 京屋
片岡孝太郎 松嶋屋
片岡市蔵 松島屋
市川高麗蔵 高麗屋
中村扇雀 成駒家
中村梅玉 高砂屋
十三代目市川團十郎
成田屋
市川新之助 成田屋
松本幸四郎 高麗屋
市川男女蔵 滝野屋
市川右團次 高嶋屋
中村鴈治郎 成駒家
後見は市川男寅 滝野屋
となっておりました。ご挨拶の中からピックアップしてご紹介いたします。
大千穐楽の口上ですので伝統の重みのような張り詰めたものを感じるかと思いましたが、笑みが溢れる場面も多くあり大変和やかな口上でした。多くの皆様が市川新之助さんのたくましい成長について触れられていました。
なかでも印象的だったのは松本幸四郎さんの口上です。
團十郎さんを「歌舞伎のため舞台に立ち続ける戦友」と仰られました✨
お二人をはじめとする同世代の歌舞伎役者の方々が古典新作を問わず歌舞伎の素晴らしい舞台を切磋琢磨されながらご披露いただけることを期待しております!
そして成田屋の家の芸「にらみ」です。
2階3階の客席からその迫力にどよめきが起こりました!
私も2階席で観劇しましたが、こちらに向かってにらんでいますか?!と思うほどの迫力でした。
左目で災いを退けて、右目で善を保つよう天地を見渡す不動明王の壮大な「にらみ」をあらわしているといわれておりますが、さすが成田屋のお家芸でした!
連獅子
八代目市川新之助さんが初めての連獅子かつ市川團十郎さんと初の親子連獅子を勤められました!
配役です
◯狂言師右近後に親獅子の精
海老蔵改め市川團十郎
◯狂言師左近後に仔獅子の精
市川新之助
◯僧蓮念
中村鴈治郎
◯僧遍念
松本幸四郎
宗論(しゅうろん)では
蓮念と遍念がともに異なる宗派とわかったとたん、いや〜な雰囲気に(笑)
鴈治郎さんと幸四郎さんがときおり子供同士の喧嘩のように見えるほどお互いが意地になって張り合う様子が本当に面白かったです♪
そして眼目の親獅子 仔獅子の精の登場です!
團十郎さん勤める親獅子の精が、仔獅子を待つため佇む姿に神々しいような風格を感じ「凄い…」という声も客席からきこえてきました!
親獅子は懸命にむかってくる新之助さん勤める仔獅子の精を厳しくもやさしく見守ります。
やはりDNAなのでしょうか?!
鍛錬をかさねたものとはまた違って自然にシンクロする所作が観ていて本当に心地の良い連獅子でした。
そして新之助さん勤める仔獅子の精が一生懸命大技を決めるたびに拍手が沸き起こりました。客席全体がひとつになって見守っているような空気感でした。
スタンディングオベーションで連獅子の幕が下りますが、鳴り止まぬ拍手のなか再び幕が開いて
「令和6年10月26日大千穐楽」「2年に亘るご声援ありがとうございました!」
という看板と金テープのキャノン砲は客席から「 おおっ!」と声が上がる嬉しいサプライズとなりました♪
十三代目團十郎さんは襲名披露公演の大千穐楽で新之助さんが自ら志願した連獅子を見守るかたちとなりました。
新之助さんの連獅子の成長を見届けたい!という気持ちになられた方も多いのではないでしょうか?これも歌舞伎の醍醐味ですね✨新時代の團十郎の幕開けを感じました!
いかがだったでしょうか?
大阪松竹座の「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎襲名披露 八代目市川新之助初舞台」大千穐楽かぶきDOU観劇レポを客席ロビーなどの襲名にちなんだ展示の画像を交えてお届けしました!
公演かわら版&縁の一曲
博多座で来年2/4~2/25に上演されます歌舞伎NEXT朧の森に棲む鬼は、まず今月新橋演舞場で公演が始まります!
博多座公演では、来年2/14(金)の昼の部と夜の部の公演終了後に舞台上でバレンタインデーのプレゼント抽選会を行います!
当日の舞台をご観劇の方限定の特別なイベントです。ぜひご参加ください💕
参加者(予定)
松本幸四郎さん、尾上松也さん
当日博多座でご観劇のお客様の半券で抽選し終演後に舞台上で発表されます。
博多座の歌舞伎NEXT朧の森に棲む鬼は今年12/14(土)よりインターネット電話予約スタートです!
縁の一曲は、染五郎時代の松本幸四郎さんが2007(平成19)年に主演を勤められた 朧の森に棲む鬼より
♪木津茂理さんボーカル
朧の森instrumentalをお届けしました。
めでてえなぁ10/23-10/29
お誕生日を迎えられます歌舞伎役者さんをご紹介するめでてえなあのコーナーです。
10/23から10/29がお誕生日の皆さまでした。公演スケジュールが公開されている方のお名前と所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますので何卒ご了承ください。
10/26 中村雁大さん
四代目坂田藤十郎一門
10/27市村橘太郎さん
橘屋
10/27尾上まつ虫さん
尾上松也一門
10/28片岡仁三郎さん
松嶋屋
10/29 中村福助さん
成駒屋
今回5名の皆様でした。お誕生日おめでとうございます!
10/29アーカイブはこちらからどうぞ
次回は11/5(火)午前10時〜生放送です。前回全く放送に収まりきらずご紹介できませんでした、かぶきDOUさんぽ大阪編をお届けします♪
権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりませんのでご了承ください