フラッシュバックに飲み込まれる
小学校の五、六年にかけて今でも後遺症が残るような、社会が定義する言葉でいういじめ、を受けた。
その中心にいたのは10人、その周りで傍観者あるいは加担していたのが30人くらい。
もっといたかな、
それくらいの人たちに言葉のナイフで心を殺された。
人格を否定されたりもした。
これ以上その声を聞いていたら死んでしまいそうで、
イヤホンで音楽を聴きながら、アップテンポの曲なのに、涙が止まらなかった。
塾につけばあの人たちにイヤホンを取られた。
もうだめだと思った。
死ぬしか逃げ道はないと思った。
でも、塾は受験のために来ているわけで、辞めることもできなかった。
なんせ、親に言えなかった。誰かに助けてが言えなかった。
朝学校に行くのが怖くなった。
人の視線全てがナイフだった。
いつ何時も体調が悪くなった。
もう死にたいとはじめて自分にナイフを向けたとき、まだ9歳だった。
家に一人になった瞬間にベランダに出て足をかけたり、
寝る前には自分の首を絞めるようになった。
どうにかしていなくなりたかった。
なんであの人たちのせいでこんな目に遭わなきゃ行けないの。
学校に行きたくないと行き渋りしていたら病院に連れて行かれて
自律神経失調症と診断された。
この時に心療内科に行ってたら、何個も名前がついただろう。
学校に行っても机に突っ伏したり、
とにかく負の感情に包まれていた。
平然を保っていてもふとした時に感情が溢れてしまう。
暗いことしか頭にはなかった。
学校の先生によく叱られるようになった。
精神状態が平常ではなかったから
何もかもが私を否定しているんだと傷ついた。
学校に行ける気がまるでしなくて、
家のドアを開けて
エアコンの室外機の裏に隠れていたこともある。
親には叱られた。
塾を辞めるか、と言われた。
やめたかったけどやめれなかった。
辞めると言ったらもっと叱られることがわかっていたから。
保健室に逃げるようになった。
同級生が保健室に来るたび泣けてきた。
体がこわばった。
担任は何度も私を連れ戻そうとした。
大人が怖くなった。
同級生なんて論外だ。
クラスメイトも私がおかしくなっているのを勘いていたようだった。
塾でのことは次第にエスカレートしていった。
模試での結果はなぜかみんなが把握していた。
毎授業の私の不正解をさらされた。
志望校をばらされた上で偏差値という物差しだけでばかにされた。
そんなところの過去問も解けないんだとばかにされた。嘲笑われた。
授業の休憩の度に私一人を攻撃するためにいろんな子が私の教室にやってきた。
おかしいものを見るように嘲笑いしに。
私が授業で当てられて答えられないとクラスのみんなが目配せをして笑う。
何にもない授業の時、あれは算数の時間だったかな。
涙が止まらなかった。顔も上げられないくらいに。
教室から逃げる体力も持ち合わせていなかった。
授業に出られなくなっていった。
吐き気も動悸も手汗も止まらなかった。
足が塾に向けられない日がやってきた。
これ以上、もう殺されると本能的に感知したのだろう。
毎日泣いては自分をどうしたら殺めるか考えていた。
できるだけ楽にできる方法を。
受験直前の一月、小さな転機があった。
これまた授業中のことだった。
私は当てられ、答えることができなかった。
あの人たちがいつものように、いや、クラス全員が笑った。
先生ははじめて大声で彼らに怒鳴ってくれた。
水を打ったように教室は静まり返った。
気まずそうなあの人たちの顔
先生は私を守ってくれた。
それから直接的なことはなくなった。
受験が終わってからまた始まった。
みんなにばかにされていた志望校には受からなくて、
少しレベルの低いところしか引っ掛からなかった。
だけど、私はここで頑張っていくんだって思っていた。
だけどやっぱりばかにされた。
進学先が張り出されていたからばれた。
心が苦しかった。
中学に上がってあの人たちから逃げることができた。
だけどある日通学路であの人たちの中の一人にばったり会ってしまって
全身を見下したような目で見て嘲笑われた。
あれからたまに見かけることはあっても話すことなどなくなった。
だけどあの時につけられた傷は治そうにも治らないみたい。
今私が持っている病気
不安障害
双極性障害
PTSD
強迫性障害
は間違いなくあの頃の後遺症だ。
何度も何度も思い出してしまって鬱に入ってしまう。
感情のコントロールが壊れて効かなくなる。
昨年のクリスマスの時期
久しぶりに塾の冬季講習に行った。
あの頃通っていた塾とは違う塾なのに引き金になったみたいだ。
死んでしまいたい。いなくなってしまいたい。
無気力に、そんな自分がやりきれなくて辛い、しんどい。
頭の中で過去が映画のように永遠と流れている。
どんどん吸い込まれていくような、胸の痛みも当時が再現されてしまう。
怯えて生きていたくない。
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