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同じ人はいないよ

誰でもいいって、ずっと思ってきた。
自分じゃなくたっていいとも、何度も思ってきた。
必要ないって、いらないって、どこか卑屈にだって。

自己卑下していく無意識の暗示は、次第にひどくなる。
自分なんか、自分なんて、そうやって後ろ向きにさせる。
相手なんか、相手なんて、そんな攻撃はしたくない。
強い内向型さんほど自分に向け、たくさん苦しめている。
すべてが救われなくとも、守ろうとすることはできる。

耳を塞ぎ、閉ざされた心、目を伏せた過去。
自分の声がようやくはっきりと聞こえた頃、
その人にしかないものを知る。
誰でもいいはずがなかった。もちろん自分も。
何も見えてなかった。見ようとさえしなかった。

誰の代わりにもならなかった。
いくらでもいると思っていた人さえ、存在しなかった。
あれは理想、あれは幻、あれは夢の中。
あなたしかいない、もちろん自分しかいない。
止まった時間さえ、もう悲しくも戻らないんだ。

人間観察さえ嫌っていた。粗探しに見えた。
されることにも嫌悪して、そういう人から離れた。
でも、動ける人ほどちゃんと見てくれている。
きっとそういうことにも気付けたら、また違ったね。
内面を見せ合うことをせずに、誰が分かり合えるだろう。

本当は私も見れる人だった。見れなくなっただけ。
怖がる視線を解いていった。昔ほど稲妻は消えた。
いわゆる直感が磨かれると第六感が育つのだろう。
見えてしまい、気付いてしまうことに悩まされるけど、
肯定された気持ちはきっと自信へと守ってくれる。

毎日の繰り返しは、これほどまでに大切だった。
毎日のように再生される音楽も、声も、言葉も、
全部が自分に積もっていくカケラたちだ。

歌のように聞こえる、でも詩のように聞こえる。
語る気持ちのような、ただ並べた感情だけのような。
もうすっかり慣れたけど。これも私だ。

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