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【推薦図書】大江健三郎ノーベル賞30周年…

1994年10月13日、
今から約30年前に、
大江健三郎はノーベル文学賞に
選ばれました。

あれからもう30年が立つのか、
と思うと感慨深いですね。

90年代になって、
これが最後の長編作品になると
大江さんが自ら語っていた
『燃えあがる緑の木』。
これが94年のノーベル賞受賞の
対象作となっていましたが、
正直、これが読みにくいというか、 
大江健三郎ブシ全開なのです。
大江さんが自ら育った、
四国の森深くにある奇妙な村の物語、
全3巻。

当時のノーベル賞で湧き立つ
ニュース報道では、
この大作の単行本が書店で
並ぶ光景が必ずテレビに写ってました。

25歳の文学青年(私)は当然、
この大作『燃えあがる緑の木』を
読みたいと思っていたはずなんですが、
この本はなぜか買った記憶がありません。
立ち読みしても、さっぱり頭に
入って来なかったのです。
それは今も変わりはありません。

しかし、これは大江さん自身は
自らの作家生活を締めくくる
記念的な最後の作品とも
語っていましたが、
私は94年当時から、
この本は読まなくても大丈夫な 
作品だなと感覚的に思ってきました。

それがまた事実そうですし(汗)。
大江さんよりも大江ワールドが
よくわかっているという、
変な自信がなぜだかあったのです。
なぜだろう?(笑)。

大江ワールドを最低限で理解するには
『死者の驕り・飼育』
『個人的な体験』と
『万延元年のフットボール』
この3冊さえまず読めば、
大江健三郎の世界観に関して
大抵のことはわかるはずです。

それが面白いと感じるようであれば、
他の作品に手を広げればいいのでは
ないでしょうか。

大江さん自身、
自分としても大きな意味をもつ作品は
『個人的な体験』だと
エッセイ集『自分の木の下で』で
書いていました。

私も、学生時代に
『個人的な体験』を読み、
もう大江ワールドによって
脳みそをジャックされたようでした。

10代には太宰病にハマりましたが、
20代では脳みそを占領されたのは、
大江健三郎『個人的な体験』でした。

でも、本当いうと、
大江健三郎は初期の作品が
もう神がかっていますね。
デビュー作品「奇妙な仕事」や
「死者の驕り」や芥川賞「飼育」は
文字が光って見えるほど、
神がかっていることは確かです。

また、大江さんを、じっくり
読み返したくなりました。

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