大地の歌
昨日はサントリーホールへグスタフ・マーラーの「大地の歌」を聴きに行った。
東京交響楽団の定期演奏会である。
〈指揮〉 ジョナサン・ノット
〈メゾソプラノ〉 ドロティア・ラング
〈テノール〉 ベンヤミン・ブルンス
〈オーケストラ〉 東京交響楽団
「大地の歌」は、声楽(2人の独唱)を伴う交響曲であり、連作歌曲としての性格も併せ持っている。
作曲は1908年。6楽章からなり、テノールとアルト(またはバリトン)が交互に独唱をつとめる。
とても素晴らしい演奏だった。
マーラーの死生観が漂う重い曲だったが、魂の深いところに心地よく響いた気がした。
演奏中、なぜか昨年亡くなった義父の姿が頭に浮かんだ。
義父が亡くなる日、病室で火がゆっくり消えていくように義父の呼吸がだんだん浅くなり、息絶えていくのを夫と二人で最後までしっかり見届けた。
その光景が一瞬、蘇った。
オーケストラ全体の音がだんだん小さくなり消えてなくなっていく様が、自分の中で義父の臨終と重なったのだ。
音楽と呼吸
呼吸と生
呼吸と死
生と死と音楽と
謎かけのようだがしっかり繋がっているように感じた。
その音楽を操っていたのが、東京交響楽団の音楽監督であり今回の演奏会で指揮を振ったジョナサン・ノットだった。
終演後、オーケストラが袖にはけた後もスタンディングオベーションで拍手が鳴り止まなかった。
ようやく指揮者のジョナサン・ノットが1人で現れ、深々とお辞儀をし拍手のボルテージが上がったところで観衆はやっと納得し帰りはじめた。
オーケストラも上手かったが、やはり指揮者の力が大きいのだろう。
音楽とは不思議なもの。指揮によってオーケストラ全体の演奏がどんどん変わっていく。
この歳になってもまだまだわからないこと、不思議なことは山のようにある。
これだから人生は面白いのだと思う。
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